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ピロリ菌の除菌療法を受ける方へ

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜にすみつく細菌です。アンモニアをつくって胃酸を中和するため、強い酸性の胃の中でも生きることができます。感染は主に口から起こり、乳幼児期に成立すると考えられており、成人になってからの新たな感染はまれです。ピロリ菌の持続感染は、慢性胃炎や胃がんの原因になります。

 

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ピロリ菌の除菌が必要な理由:胃がん予防と疾患の改善

 

ピロリ菌の除菌を勧める最大の理由は、将来の胃がんリスクを減らすためです。国立がん研究センターの研究では、除菌によって胃がんの発症リスクを下げることが「確実」と評価されています。日本では胃がんの約90%以上がピロリ菌に関連しており、除菌により新しいがんができるリスクを大幅に抑えられることが分かっています。

 

また、ピロリ菌は胃潰瘍十二指腸潰瘍の大きな原因です。除菌に成功すると、ピロリ菌が原因の潰瘍再発はほとんどなくなります。さらに、胃MALTリンパ腫や免疫性血小板減少症といった関連疾患の改善にもつながるほか、次世代への家庭内感染を防ぐという大きな意義もあります。

 

除菌治療の具体的な流れと成功率

 

通常、除菌治療は「胃酸を抑える薬1種類」と「抗菌薬2種類」の計3剤を、1日2回、7日間続けて服用します。最も大切なのは、処方された通りに飲み切ることです。自己判断で中断すると除菌に失敗するだけでなく、薬が効かない耐性菌を生む原因になります。

 

治療段階 内容 成功率(目安)
一次除菌 胃酸抑制薬+抗菌薬2種(7日間服用) 約70〜90%
二次除菌 一次除菌不成功時に抗菌薬を変更して実施 約80〜90%
 
  1. 1週間の内服治療
    1日2回、7日間連続して薬剤を服用します。計14回の服薬を完遂することが不可欠です。
  2. 休薬・待機期間
    正確な判定を行うため、服用終了後、少なくとも4週間以上の期間をあけます。
  3. 除菌判定検査
    尿素呼気試験や便中抗原検査を行い、ピロリ菌が完全に消えたかを確認します。

 

治療前に必ず確認すべきアレルギーと常用薬

 

過去にペニシリン系の抗菌薬などで、発疹やじんましん、息苦しさといったアレルギー症状が出た方は、治療前に必ず医師へお伝えください。また、常用薬の種類によっては除菌薬との飲み合わせに注意が必要なため、事前にお薬手帳などでの確認が必要です。

 

薬を飲み忘れたときの適切な対処法

 

飲み忘れに気づいた際は、できるだけ早く1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飛ばして次から1回分を飲みます。2回分を一度に飲んではいけませんボノサップパックを使用している場合、次の服用まで5時間以内のときは1回飛ばすことが推奨されます。

 

治療中の生活習慣:禁煙と禁酒の重要性

 

喫煙は除菌の成功率を下げることが判明しているため、治療期間中は禁煙が強く勧められます。また、二次除菌で使用するメトロニダゾールはアルコールと反応し、腹痛や吐き気を引き起こすことがあります。服用中から終了後3日間は禁酒を徹底してください。

 

副作用の種類と医療機関へ連絡する目安

 

除菌治療中には、軟便や軽い下痢、味覚異常などの症状が出ることがあります。日常生活に支障がない程度であれば、自己判断で中止せずに内服を続けてください。

 

よくある副作用 軟便・下痢(10〜30%)、味覚異常(5〜15%)
直ちに中止すべき症状 強い発疹、呼吸困難、発熱、強い腹痛を伴う下痢、血便

 

もし、強い発疹や息苦しさ、激しい腹痛や血便が見られた場合は、重い副作用の可能性があります。直ちに服用を中止し、速やかに当院へご連絡ください。

 

正確な結果を得るための除菌判定検査

 

薬を飲み終えても、すぐに除菌が成功したかは分かりません。判定検査で菌がいないことを確認して初めて治療完了となります。判定には精度の高い尿素呼気試験や便中抗原検査が用いられます。血液検査などは除菌後もしばらく陽性が出るため、判定には適しません。

 

検査は、一時的な減少を陰性と誤認する偽陰性を防ぐため、内服終了から4週間以上あけて行います。当院では精度をより高めるため、3か月以上あけてからの検査を推奨しています。また、胃薬や抗菌薬は結果に影響するため、検査前には一定期間の休薬が必要です。

 

尿素呼気試験(呼気テスト)の注意点

 

尿素呼気試験は、検査薬を飲む前後の息を採取するだけの、痛みのない非常に正確な検査です。検査当日は空腹時である必要があり、水で速やかに服用してください。

 

胃薬整腸剤、抗菌薬は検査結果を左右することがあります。服用中の方は必ず事前にお申し出ください。また、検査前の喫煙は厳禁です。3か月経過し、注意事項を守っていただければ、予約なしで検査を受けていただけます。

 

除菌成功後も定期的な経過観察が必要な理由

 

除菌に成功しても、一度ダメージを受けた胃の胃がんリスクはゼロにはなりません。除菌後もがんが見つかるケースがあるため、年1回程度の定期的な胃カメラを継続することが非常に重要です。また、除菌後に一時的な逆流性食道炎の症状が出ることもありますが、多くは時間とともに落ち着きます。

 

一次除菌で不成功だった場合の二次除菌

 

もし一次除菌で菌が残ってしまった場合でも、二次除菌を行うことで多くの方が成功されます。「失敗したから治らない」と諦めず、適切なステップで治療を継続しましょう。二次除菌でも不成功の場合は、専門的な追加治療を検討いたします。

 

まとめ

ピロリ菌除菌の目的は、将来の胃がんや潰瘍を防ぎ、胃の健康を守ることにあります。1週間の内服を確実に完遂し、その後の判定検査まで忘れずに受診することが大切です。除菌成功後も定期的なチェックを欠かさず、健康な胃を維持していきましょう。

 

執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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