「糖尿病と認知症の関係|原因・症状・予防方法を医師が解説」
糖尿病と認知症の関係|糖尿病患者は認知症になりやすい?
糖尿病と認知症のリスク
糖尿病患者は、そうでない人に比べて 認知症を発症するリスクが高い ことが分かっています。
特に、以下の認知症リスクが増加することが報告されています。
✅ アルツハイマー型認知症:発症リスクが約1.5~2倍
✅ 血管性認知症:発症リスクが約2.5倍
糖尿病は アルツハイマー型認知症と血管性認知症の両方に関与 しており、血糖コントロールが重要になります。
糖尿病が認知症リスクを高める原因
糖尿病が認知症を引き起こすメカニズムは 3つの主な要因 によって説明できます。
① 血管のダメージ
- 高血糖が続くと全身の細い血管が傷つき、動脈硬化 を引き起こします。
- 脳の血流が悪くなり、神経細胞がダメージを受け、認知機能が低下 します。
② インスリン分解酵素の不足とインスリン抵抗性
- インスリン分解酵素 は、インスリンだけでなく、アルツハイマーの原因物質「アミロイドβ」 も分解します。
- 糖尿病ではインスリン分泌が増え、この酵素が インスリンの分解に優先的に使われる ため、アミロイドβが脳に蓄積しやすくなります。
- インスリン抵抗性 により、アミロイドβの蓄積がさらに進み、認知症リスクが上昇します。
③ 長期にわたる神経細胞のダメージ
- 高血糖や低血糖 が長期間続くと、神経細胞がダメージを受け、認知症の発症リスクが高まります。
糖尿病性認知症の特徴
糖尿病に伴う認知症は、アルツハイマー型認知症や血管性認知症とは異なる特徴 があります。
🧠 アルツハイマー型認知症:記憶障害が目立つ
🧠 糖尿病性認知症:注意力や遂行機能(計画・判断力)の低下が顕著
例えば、次のような症状が現れることがあります。
✔ 冷蔵庫を開けたのに、何を取りに来たか忘れる
✔ 部屋を移動した際、何をしに来たのか思い出せない
✔ 料理の手順がスムーズにできなくなる
しかし、血糖コントロールによって症状が改善する可能性 もあります。
認知症の種類と糖尿病との関連
アルツハイマー型認知症
- 脳内にアミロイドβ が蓄積し、認知機能が低下。
- 糖尿病によるインスリン抵抗性が、アミロイドβの蓄積を促進 すると考えられています。
- 糖尿病患者はアルツハイマー型認知症の発症リスクが約2倍。
血管性認知症
- 脳の血管障害(脳梗塞・脳出血)による認知症。
- 糖尿病による動脈硬化が発症リスクを約2.5倍に。
認知症予防のための糖尿病対策
認知症を予防するためには 血糖コントロールと生活習慣の改善 が不可欠です。
✅ 血糖コントロール
- 低血糖を避けつつ、適切な血糖管理を行う
- HbA1c 7.0%以上で認知症リスクが上昇 するため注意
- 食後高血糖 もリスクを高めるため、食事の工夫が必要
✅ 生活習慣の改善
- バランスの取れた食事(野菜・果物の積極摂取)
- 適度な運動(ウォーキング、ストレッチなど)
- 禁煙
- 良質な睡眠
- 社会との交流(孤独を避ける)
✅ その他のリスク管理
- 高血圧・脂質異常症・肥満を改善
- 抗酸化作用のある野菜(ほうれん草・ブロッコリーなど)を摂取
認知症の早期発見と治療が重要
認知症は 早期発見・早期治療が鍵 です。
📝 認知症のサイン
- 物忘れが増えた(名前や予定を忘れる)
- 日常生活に支障が出る(料理の手順が乱れる)
- 心理状態の変化(イライラしやすい、不安感が増す)
💡 「最近おかしいかも?」と感じたら、早めに医師へ相談しましょう。
認知症のある方の糖尿病治療
認知症が進行すると、血糖管理が難しくなる ため、次の点に注意が必要です。
✔ 食事療法・運動療法を継続する
✔ 低血糖を起こしにくい薬を選ぶ
✔ 服薬管理を家族や医療スタッフと連携する
✔ 介護サービスを活用する(訪問看護・デイケアなど)
📢 糖尿病と認知症を同時に管理することで、生活の質(QOL)を維持できます!
まとめ
糖尿病は 認知症の発症リスクを高める ため、血糖コントロールと生活習慣の改善が重要 です。
🟢 早期の血糖管理が認知症予防につながる
🟢 認知症が疑われたら早めに医師に相談
🟢 生活習慣の改善で認知機能の低下を防ぐ
慢性疾患ないし消化器内科でご予約ください。