【胸やけ=がんのサイン?】逆流性食道炎から始まる「バレット食道」のリスクとは
【逆流性食道炎はがんの前ぶれ?】胸やけの奥に潜む「バレット食道」と腺がんのリスクとは
「胸やけ」や「のどのつかえ感」は、ただの不快な症状で済ませてはいけません。
近年注目されているのが、逆流性食道炎の慢性化によって起こる「バレット食道」、そしてそこから進展する**「食道腺がん(バレット食道がん)」**です。
本記事では、逆流性食道炎とがんの関係性、バレット食道のリスク、早期発見のための内視鏡の重要性について、わかりやすく解説します。
🔍 バレット食道とは? 〜逆流性食道炎から始まる“粘膜の変化”〜
通常、食道は「扁平上皮」という構造で守られていますが、**長期間にわたる胃酸や胆汁の逆流(=逆流性食道炎)**があると、粘膜がダメージを受け、胃や腸のような“円柱上皮”に置き換わることがあります。
これが「バレット食道」です。
バレット食道は、胃酸に強くなるための“環境適応”とも言えますが、一方でがんの発生母地となる危険な変化でもあります。
⚠️ バレット食道の主な原因とリスク因子
主な原因 | 解説 |
---|---|
逆流性食道炎 | 胃酸や胆汁が繰り返し食道に逆流することで、粘膜が損傷・変化 |
肥満 | 腹圧上昇により逆流を助長し、バレット食道のリスク増加 |
食道裂孔ヘルニア | 胃の入り口がゆるみ、逆流が起きやすくなる |
喫煙 | 食道がん全般のリスク因子として知られる |
バレット粘膜の長さ(3cm以上) | がん化リスクが約2倍に上昇 |
📊 バレット食道の分類と日本人での頻度
種類 | バレット粘膜の長さ | 日本人の頻度 |
---|---|---|
SSBE(ショートセグメント) | 3cm未満 | 約15%に認められる |
LSBE(ロングセグメント) | 3cm以上 | 約0.3%と少ないが、がんリスク高 |
バレット食道を持つ人の多くは無症状です。
そのため、「胸やけがあっても内視鏡を受けていない方」は、知らない間にバレット食道が進行している可能性もあります。
🔥 バレット食道と「食道腺がん」の関係
バレット食道が進行すると、「腸上皮化生」と呼ばれる細胞変化が起き、**バレット食道がん(食道腺がん)**が発生することがあります。
欧米では、バレット食道を持つ人のがんリスクは30〜125倍とされており、日本でもLSBEの人はSSBEの約2倍の発がんリスクがあると報告されています。
💡 発がんリスクを高める因子
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バレット粘膜の長さ(LSBE)
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細胞異型の存在(異形成)
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喫煙(非喫煙者の2倍)
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男性、肥満、高齢
🩺 バレット食道の診断と管理
🔹 診断方法
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胃カメラ(上部消化管内視鏡)で発見可能
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粘膜の色調・構造・境界の変化を確認
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組織生検で腸上皮化生や異形成を判定
🔹 治療と管理
治療法 | 目的 |
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PPI(プロトンポンプ阻害薬) | 胃酸分泌を抑えて炎症を予防 |
生活習慣改善 | 食後すぐ横にならない、肥満解消、禁煙など |
定期内視鏡検査 | 状態に応じて半年〜年1回程度 |
✅ まとめ:胸やけを甘く見ないで。がんの前段階かもしれません
バレット食道は、逆流性食道炎の“その先”にある危険な状態であり、放置することでがん(食道腺がん)へと進行する可能性があります。
特に以下の方は、一度胃カメラ検査を受けることを強くおすすめします:
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胸やけが週に数回以上ある
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逆流性食道炎と診断された
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肥満・喫煙の習慣がある
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過去にバレット食道を指摘された