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ピロリ菌の3次除菌とは?4次除菌まで含めた最新治療を消化器内科がわかりやすく解説

[2026.03.31]

ピロリ菌の除菌治療は、1次除菌・2次除菌で除菌が成功しなかった場合に、3次除菌を検討します。日本で成人の3次除菌を考えるうえで大切なのは、ガイドライン上の標準治療と、実臨床で重視される個別化治療の両方を理解することです。

 

結論からいえば、現時点で日本の3次除菌の基本は、ボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシンを7日間投与する方法です。一方で、より適切な治療を目指すなら、二次除菌不成功後に薬剤感受性検査を行い、その結果に応じて治療を選ぶという考え方が重要になってきています。

 

 

 

ピロリ菌3次除菌の最新標準治療

 

日本の2024年版ガイドラインでは、成人の3次除菌の第一候補として、ボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシンの7日間治療が示されています。一般的に用いられる薬剤の組み合わせと用量は以下の通りです。

 

薬剤名 1回の用量と回数
ボノプラザン 20mgを1日2回
アモキシシリン 750mgを1日2回
シタフロキサシン 100mgを1日2回

 

つまり、ピロリ菌の3次除菌における標準治療を検討する場合、まず押さえるべきはこのレジメンです。感受性検査が難しい一般診療では、まずこの標準治療を軸に考えるのが実際的です。

 

薬剤感受性検査に基づく個別化治療の重要性

 

最近では薬剤感受性に基づく個別化治療がより重視されています。特に、シタフロキサシンが効くかどうかによって、3次除菌の治療戦略は大きく変わります。

 

検査結果に応じた主な治療法は以下の通りです。

  • VAS療法:シタフロキサシンに感受性がある場合に選択される(ボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシン)
  • VAR療法:シタフロキサシン耐性が疑われる、あるいは確認された場合に検討される(ボノプラザン+アモキシシリン+リファブチン)

 

最新の国内研究では、こうした感受性検査ベースの個別化治療で高い除菌率が報告されています。そのため、専門施設で検査が可能な場合は、一律に治療を行うよりも検査結果に応じて選ぶ方が合理的といえます。

 

研究ベースで報告されている投与プロトコル

 

療法名 具体的な投与内容(7日間)
VAS療法 ボノプラザン20mg(1日2回)+アモキシシリン500mg(1日4回)+シタフロキサシン100mg(1日2回)
VAR療法 ボノプラザン20mg(1日2回)+アモキシシリン500mg(1日4回)+リファブチン150mg(1日1回)

 

VAR療法とガイドラインの位置づけ

 

現時点では、VAR療法を日本の3次除菌の新しい標準第一選択と断定する段階ではありません。理由は、2024年版ガイドラインで第一候補とされているのは、あくまでボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシンの組み合わせだからです。

 

また、日本におけるピロリ菌除菌の保険適用は1次除菌・2次除菌までが基本であり、3次除菌以降は自費診療(自由診療)として検討されるケースが多くなります。そのため、VAR療法は有力な選択肢ですが、専門施設で感受性検査の結果を踏まえて選ぶべき治療と捉えるのが適切です。

 

3次除菌の保険適用と費用について

 

日本では、ピロリ菌除菌において保険適用の中心となるのは1次除菌と2次除菌です。3次除菌は、使用する薬剤や治療内容によっては保険外での対応(自費診療)となることがあります。

 

3次除菌を検討する際は、薬の種類だけでなく、保険適用の範囲や費用、受診先をあわせて確認することが大切です。特にリファブチン併用などを考える場合は、消化器内科や専門外来で相談するのが安心です。

 

ペニシリンアレルギーがある場合の選択肢

 

ペニシリンアレルギーがある方はアモキシシリンを使用できないため、別の薬剤を組み合わせます。この場合、事前に感受性検査を行ったうえで、以下のような組み合わせが候補となります。

  • ボノプラザン+クラリスロマイシン+メトロニダゾール
  • ボノプラザン+メトロニダゾール+シタフロキサシン
  • PPI(プロトンポンプ阻害薬)+メトロニダゾール+シタフロキサシン

 

ただし、アレルギーがある方の3次除菌はエビデンスが十分とはいえないため、専門医と相談しながら慎重にレジメンを選ぶことが極めて重要です。

 

4次除菌が必要になった場合の考え方

 

3次除菌でも成功しなかった場合、4次除菌には全国一律の標準的な正解はありません。ここから先は、より一層感受性試験ベースの個別化治療が重要となります。

 

実臨床では、3次除菌でシタフロキサシンを使用し不成功だった場合、VAR療法を第一候補として検討するのが現実的です。一方で、シタフロキサシンの効果が期待できる場合は、再度VAS療法が選択肢に残ります。

 

4次除菌で大切なのは「4回目専用の薬」を探すことではなく、これまでの治療歴と薬剤耐性を踏まえて治療を組み立てることです。

 

治療における副作用と注意点

 

3次除菌で使用されるシタフロキサシンは「フルオロキノロン系」の抗菌薬です。そのため、腎機能低下時の用量調整や、腱障害、QT延長などの副作用に注意を払う必要があります。また、妊娠中の方は使用できません。

 

4次除菌で検討されるリファブチンは、血液障害やぶどう膜炎などの重篤な副作用が起こる可能性があるため、より専門的な管理が求められます。3次除菌以降は、有効性と安全性の両面から戦略的に治療を選ぶ段階といえます。

 

まとめ

日本における成人のピロリ菌3次除菌の標準治療は、ボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシン7日間です。しかし、除菌成功率を最大限に高めるには、二次除菌不成功後の感受性検査に基づいた個別化治療が推奨されます。

 

主なポイント 内容
第一選択 ボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシン(VAS療法)
個別化の判断 シタフロキサシン感受性ならVAS、耐性ならVAR(リファブチン併用)
アレルギー対応 ペニシリンアレルギーがある場合は、専門医による慎重な薬剤選択が必要
4次除菌以降 これまでの治療歴と耐性検査の結果から個別に戦略を立てる

 

ピロリ菌の3次除菌は、単に薬の種類を増やすだけではありません。保険適用や副作用リスク、これまでの経過を総合的に判断することが、除菌成功への近道となります。

 

よくある質問

 

Q. ピロリ菌の3次除菌は保険適用ですか? 公的な保険適用の範囲は原則として2次除菌までです。3次除菌以降は保険外(自費診療)として扱われることが一般的です。
Q. 3次除菌の第一候補は何ですか? 2024年版のガイドラインでは、ボノプラザン+アモキシシリン+シタフロキサシンの7日間投与が推奨されています。
Q. 3次除菌に失敗したらどうなりますか? 4次除菌を検討します。その際は、感受性試験に基づいた個別化治療が中心となり、リファブチンなどの薬剤が選択肢に入ります。

 

執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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