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胆嚢結石とは?症状・原因・治療法を消化器内科医がわかりやすく解説|山形県米沢市のきだ内科クリニック

[2026.06.28]

胆嚢結石とは、胆のうの中に「石」のような固まりができる病気です。一般的には「胆石」と呼ばれることも多く、健康診断や腹部エコー検査で偶然見つかることもあります。胆石症は石ができる場所によって「胆のう結石」「総胆管結石」「肝内結石」に分けられますが、胆石症全体の約80%を占めるのがこの胆嚢結石です。

 

 

 

胆のうの役割と胆嚢結石ができる仕組み

 

胆のうは、肝臓で作られた胆汁を一時的にためて濃縮する袋状の臓器です。食事をすると胆のうが収縮し、胆汁が十二指腸へ流れ、脂肪や脂溶性ビタミンの消化・吸収を助ける役割を担っています。

 

胆嚢結石は、胆汁に含まれる成分が固まることで形成されます。主な胆石には、コレステロールを主成分とする「コレステロール石」と、ビリルビンなどが関係する「色素石」があります。コレステロール石は、胆汁中のコレステロールが多くなりすぎることで結晶化し、石になると考えられています。

 

胆嚢結石で見られる主な症状

 

胆嚢結石は、症状がないことも少なくありません。日本消化器病学会の資料では、胆のう結石がある人の約8割には自覚症状がないとされています。一方で、症状が出る場合には以下のような特徴があります。

 

右上腹部やみぞおちの痛み 典型的には右の肋骨の下あたりやみぞおちに痛みが出ます。右肩や背中に抜けるような痛みを感じることもあり、食後しばらくしてからの発生が特徴です。
吐き気・嘔吐 胆石による痛みが強い場合に併発します。胃痛や胃もたれと勘違いされることも多いため、繰り返すみぞおちの痛みには注意が必要です。
発熱 細菌感染が起こると発熱を伴います。胆のうで炎症が起これば急性胆のう炎、胆管で炎症が起これば急性胆管炎と診断されます。
黄疸 石が胆汁の流れを妨げると、白目や皮膚が黄色くなる黄疸が出ることがあります。尿の色が濃くなる、皮膚にかゆみが出るなどのサインも重要です。

 

すぐに受診が必要な危険なサイン

 

次のような症状がある場合は、合併症が起きている可能性が高いため非常に危険です。

 

強い腹痛が続く、高熱が出る、白目や皮膚が黄色い、意識がぼんやりするといった場合は、直ちに医療機関を受診してください。胆管感染が重症化すると敗血症という命に関わる状態につながる恐れがあります。

 

胆嚢結石の原因となりやすい人の特徴

 

胆嚢結石の発症には、胆汁の成分変化や胆のうの動きの低下が関係しています。古典的な危険因子として、年齢、女性、肥満、妊娠・出産などが挙げられます。特に注意したいのは急激なダイエットによる体重減少です。短期間で大きく体重を落とすと、胆汁のバランスが崩れて石ができやすくなります。

 

  • 肥満および脂質異常症
  • 急激な体重減少や極端なダイエット
  • 妊娠や長期間の経口避妊薬の使用
  • 高カロリー食の過剰摂取
  • クローン病や胃切除などの手術歴
  • 家族に胆石がある家族歴

 

胆嚢結石の診断に向けた検査の流れ

 

胆嚢結石を疑う場合、まずは症状の経過を確認した上で、段階的に検査を行っていきます。

  1. 基本検査(血液検査・腹部超音波検査)
    お腹にプローブを当てる腹部超音波検査で石の有無を確認し、血液検査で炎症反応や肝機能の数値を調べます。
  2. 精密検査(CT・MRI/MRCP)
    超音波だけで判断が難しい場合や、総胆管結石の併存が疑われる場合に、CTやMRIを用いてより詳しく評価します。
  3. 特殊な内視鏡検査(EUS・ERCP)
    必要に応じて、超音波内視鏡(EUS)や、診断と治療を兼ねた内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行うことがあります。

 

胆嚢結石は放置しても大丈夫?

 

胆嚢結石が見つかったからといって、全員にすぐ手術が必要なわけではありません。無症状の場合、日本消化器病学会のガイドラインでは予防的な手術の意義は少ないとされており、定期的な経過観察となるのが一般的です。

 

ただし、胆のうがんのリスクが否定できない場合や、一度でも痛みや発熱などの症状が出た場合は、放置せずに適切な治療を検討する必要があります。

 

胆嚢結石の主な治療法

 

治療方針は、症状の有無や炎症の程度、合併症の有無などを総合的に判断して決定します。

 

有症状の場合の標準治療

 

症状がある胆嚢結石では、腹腔鏡下胆嚢摘出術が基本的な治療となります。これは、お腹に小さな穴を開けてカメラと器具を挿入し、胆のうそのものを取り除く手術です。傷跡が小さく、術後の回復が比較的早いのがメリットです。

 

薬物療法(溶解療法)

 

一部の小さなコレステロール石に対しては、ウルソデオキシコール酸などの薬で石を溶かす治療が検討されることもあります。ただし、対象となる石が限定される上に長期間の内服が必要であり、再発率も高いという側面があります。

 

総胆管結石の治療

 

石が胆管に落ちている場合は、ERCPという内視鏡治療を用いて、胆管内の石を優先的に取り除く処置が行われます。

 

食事による予防と日常生活の注意点

 

食事だけで石を消すことはできませんが、予防や悪化防止には食生活の見直しが欠かせません。以下のポイントを意識しましょう。

  • 食物繊維を意識して摂取する(野菜、海藻、きのこ類など)
  • 高脂肪・高カロリーな食事に偏らないようにする
  • 極端な食事制限や長時間の絶食を避ける
  • 適度な運動を取り入れ、適正体重を維持する

 

すでに症状を繰り返している場合は、食事改善だけで解決することは難しいため、早めに消化器内科や外科の専門医に相談してください。

 

よくある質問

 

胆嚢結石は自然に消えますか?

 

胆嚢結石が自然に消失することは稀です。薬で溶ける場合もありますが、多くは持続するため、症状があるなら専門的な治療が必要です。

 

胆のうを摘出しても生活に支障はありませんか?

 

胆のうは胆汁をためる場所ですが、生命維持に必須ではありません。摘出後は肝臓で作られた胆汁が直接腸へ流れるようになります。術後一時的に下痢をしやすくなる方もいますが、次第に慣れていきます。

 

痛みがない場合でも検査は必要ですか?

 

はい、必要です。無症状でも胆のうがんが隠れている可能性や、将来的に炎症を起こす可能性があるため、定期的な画像検査を受けることが推奨されます。

 

まとめ

胆嚢結石は、放置して良いものから緊急手術が必要なものまで様々です。特に右上腹部の痛みや背中の違和感を繰り返す場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。現代では身体への負担が少ない手術法も普及しており、早期に適切な対処をすることで、重篤な合併症を防ぐことができます。

執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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