見逃すと危険!鋸歯状ポリープと大腸がんの深い関係とは?切除の基準も解説
【見逃さないで】鋸歯状ポリープとは?大腸がんの“新たな前ぶれ”と治療のポイント
🔍 鋸歯状病変とは?
大腸ポリープにはさまざまな種類がありますが、最近特に注目されているのが「鋸歯状(きょしじょう)病変」と呼ばれるタイプです。
これは、大腸がんにつながるもう一つの発がんルートとされ、近年の研究で重要性が明らかになってきました。
鋸歯状病変には、以下の3つのタイプがあります:
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過形成性ポリープ(HP)
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古典的鋸歯状腺腫(TSA)
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無茎性鋸歯状腺腫・ポリープ(SSA/P)
これらはすべて、大腸がんへ進行する可能性(発がんリスク)を持つ「前がん病変」と考えられています。ただし、がん化のリスクや治療方針はそれぞれ異なります。
① 過形成性ポリープ(HP)
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多くは小さく(5mm以下)、直腸や左側の大腸にできやすい
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通常はがんになりにくいため、切除せずに様子を見ることが多いです
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ただし、6mm以上のものはがんのリスクがあるとの報告もあり、最近では5mmを超えた場合には切除が推奨されることもあります
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多数のHPが見つかることもあり、すべてを切除するかは医師の判断によります
② 古典的鋸歯状腺腫(TSA)
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直腸や下行結腸にできやすく、見つけにくいことがあります
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TSAは前がん性病変として位置づけられ、**がん化のリスクは1.5〜20%**とされています
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5mm以上のTSAは基本的に切除の対象です
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内視鏡でしっかり観察し、他のポリープとの区別が重要です
③ 無茎性鋸歯状腺腫・ポリープ(SSA/P)
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右側の大腸(上行結腸や盲腸)に多く、見た目が平らで色も目立たないため、見逃されやすい
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がんの元になるリスクが高く、特に10mm以上のものは切除が推奨されています
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最近では5mm以上でも切除すべきという意見もあります
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SSA/Pはゆっくり大きくなり、症状を出す前にがんになることもあるため、早めに発見して切除することが重要です
④ 鋸歯状ポリポーシス症候群(SPS)
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多数の鋸歯状ポリープが見つかる症候群で、大腸がんのリスクが非常に高い(合併率25〜54%)とされています
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定期的な内視鏡検査(年に1回など)と、ポリープのくり返し切除が必要です
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ご家族にこのような病気がある場合は、近親者も大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます
🩺 ポリープ切除の意味と、がん予防の重要性
大腸がんはポリープから始まることが多いため、ポリープの早期発見と切除が最大の予防策です。
特に、鋸歯状病変は発見が難しく、内視鏡医の経験がものを言います。
きだ内科クリニックでは、高精度の内視鏡検査と丁寧な観察で、見逃しのない検査を心がけています。
がんを未然に防ぐために、「まだ小さいから大丈夫」と思わず、5mm以上のポリープが見つかった場合は、切除について医師としっかり相談することをおすすめします。
✅ まとめ
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鋸歯状病変は大腸がんの“新しい前兆”として重要視されています
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特にSSA/PやTSAは前がん病変であり、早期発見・切除が推奨されます
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5mm以上のポリープは、たとえ小さくてもがんのリスクがあるため、切除を検討しましょう
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家族歴がある方や、複数のポリープが見つかった方は、定期的な内視鏡検査が大切です