「過敏性腸症候群(IBS)の症状と治療法|原因と対策を徹底解説」
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome : IBS)とは?簡単に理解できる解説
過敏性腸症候群(IBS)は、お腹の痛みや不快感に加え、便秘や下痢などのお通じの異常が数ヵ月以上続く場合に考えられる病気です。これは主に大腸の運動機能や感覚、分泌の異常によって引き起こされますが、通常の検査では炎症や潰瘍などの異常は確認されません。
IBSは命に関わる病気ではないものの、お腹の痛みや便秘・下痢、不安感といった症状により、日常生活に支障をきたすことが多々あります。たとえば、次のようなケースが見られます:
- 検査で異常がないのに、腹痛や膨満感が長期間続く
- 通勤・通学中や大事な会議の前に、必ずと言っていいほどお腹が痛くなる
- おならを我慢できず、その臭いが気になってしまう
- 便秘と下痢が交互に続く
IBSは検査で異常が見つからないことが特徴のため、命に関わる病気ではありませんが、患者さまにとっては非常に深刻な問題です。例えば、いつお腹が痛くなるか分からないため、行動が制限されることや、下痢の心配から外出が不安になることがあります。その結果、仕事に支障をきたし、場合によっては転職を余儀なくされることもあります。
現在、日本では10人に1人がIBSを発症しているといわれており、特に10代から20代の若年層に多く見られます。また、男女比では女性の方が多いのも特徴です。
過敏性腸症候群(IBS)の主な症状と種類
過敏性腸症候群(IBS)の主な症状は、排便によって軽減する腹痛と便通の異常(下痢や便秘など)です。これらの症状は慢性的に続き、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。IBSは主に以下の4つのタイプに分類され、それぞれに特徴的な症状があります。
1. 下痢型
このタイプでは、突然の下痢が主な特徴です。授業中や仕事中、移動中など、すぐにトイレに行けない状況でお腹が痛くなり、その不安から症状が悪化することがあります。特に緊張した場面で腹痛が起こりやすく、朝食後や通勤・通学の途中で症状が現れることが多いですが、帰宅後には症状が落ち着くことがよく見られます。
2. 便秘型
腸管がけいれんを起こし、便秘が続くタイプです。便は水分を失って硬くなり、兎の糞のようにコロコロとした便が出るため、排便が非常に困難です。また、排便しても残便感が残り、スッキリしない状態が続きます。
3. 交替型(混合型)
このタイプでは、下痢と便秘を交互に繰り返すのが特徴です。数日間下痢が続いたかと思うと、次の日には便秘になるというサイクルを繰り返します。ストレスが引き金となって症状が変化することが多く、若い男性には下痢型、女性には便秘型が多いとされています。
4. 分類不能型(ガス型)
このタイプは、腸内にガスが溜まることによって腹痛や膨満感が引き起こされます。ガスによるお腹の張りや、おならが出そうになる不安があり、日常生活に影響を与えることが多いです。このタイプは国際的な分類には含まれませんが、臨床的に多く見られるため、分類不能型として扱われています。
過敏性腸症候群のチェックリスト
次の症状に心当たりがある方は、IBSが疑われます。
- お腹の調子が長期間(数週間)続いて不調、もしくは痛みがある
- 便通に異常(下痢や便秘)がある
- 便の形が悪く、変化が続いている
- 排便をすると痛みが軽減する
- 排便回数が不規則
- 排便後に残便感がある
- 便秘が続き、コロコロした硬い便しか出ない
注意: 次の症状がある場合は、IBS以外の重篤な病気の可能性がありますので、すぐに医師の診察を受けましょう。
- 便に血が混ざる
- 体重が減少する
- 夜中に腹痛で目が覚める
過敏性腸症候群(IBS)の診断基準
IBSの診断は、ローマⅢ基準を用います。最近3ヵ月間に、月に3日以上の腹痛や不快感が繰り返し起こり、以下の2項目以上を満たす場合、IBSが疑われます。
- 排便によって症状が軽減する
- 症状に伴って排便の回数が変わる
- 便の形状が変わる(硬くなったり、柔らかくなったりする)
IBSは男女で異なる傾向があり、男性には下痢型、女性には便秘型が多く見られます。性差の背景には、腸の働きにホルモンが影響していると考えられています。
IBSの原因:ストレスと腸内環境の影響を徹底解説
過敏性腸症候群(IBS)を理解するためには、脳と腸の密接な関係に注目する必要があります。脳と腸は、自律神経やホルモンを介してお互いに影響を及ぼし合っており、これを「脳腸相関(Brain-Gut Axis)」と呼びます。脳からの信号は腸の運動や分泌機能に影響を与え、逆に腸からの情報が脳に伝わり、精神状態にも影響を与える双方向の関係です。
ストレスと脳腸相関
例えば、ストレスを感じると、脳から腸に信号が送られ、腹痛や便秘、下痢などの症状を引き起こします。逆に、腸内環境が悪い場合には、腸から脳に信号が送られ、不安やうつ症状が現れることもあります。このように、ストレスや精神的な状態が腸の働きを変化させることがあり、これが過敏性腸症候群(IBS)の発症や悪化に大きく関係していると考えられています。
脳と腸内細菌の相互作用
近年では、腸内の常在菌と脳の機能との関係にも注目が集まっており、これを「脳-腸-腸内細菌相関(Brain-Gut-Microbiota Axis)」と呼びます。腸内細菌は、腸の健康だけでなく、脳の働きや精神状態にも影響を与えることが分かってきています。例えば、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸は、脳内で免疫機能の調整に関わり、炎症を抑える働きがあるとされています。
セロトニンと腸内環境
腸内では、脳内で「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが作られています。腸で作られたセロトニンは、腸の運動を促進し、便通を改善する役割を果たします。また、脳でセロトニンを作るために必要なトリプトファンという物質は、食事を通じて腸から吸収され、脳へ送られます。腸内環境を整えることが、便秘の改善や精神状態の安定にも繋がる可能性があるのです。
脳から腸への影響
ストレスや緊張が続くと、脳からの信号が腸の機能を乱し、腹痛や不快感を引き起こすことがあります。これが過敏性腸症候群の症状に深く関わっており、日常生活でのストレス管理が重要です。
脳-腸-腸内細菌相関と病気
この脳-腸-腸内細菌相関は、過敏性腸症候群(IBS)だけでなく、うつ病やパーキンソン病、認知症などの病気とも関連していることが研究で示されています。腸内環境の改善が、これらの病気の発症や進行にどのような影響を与えるかは、今後の研究が期待されていますが、腸と脳の関係が病気の予防や治療に重要であることは間違いありません。
IBS診断のポイントと検査方法【安心して受けられる】
セルフチェックリスト
以下の項目に該当する症状があるか確認してみてください:
- 便秘や下痢が続いている
- 数週間にわたりお腹の調子が悪い、もしくは痛みがある
- 数週間にわたり便の形が悪い
- 排便してもスッキリしない
- 便秘が続き、便が出てもコロコロとした便しか出ない
- 排便後にお腹の痛みが一時的に和らぐ
- 排便回数が日によって不規則である
- 便に血が混ざっている
- 寝ている時にお腹が痛くて目が覚める
- 体重が急激に減少している
1~7の症状がある場合、**過敏性腸症候群(IBS)**が疑われます。しかし、8~10の症状がある場合は、より深刻な病気が隠れている可能性があるため、すぐに医師に相談することをおすすめします。
過敏性腸症候群が疑われるときは?
過敏性腸症候群(IBS)の診断には、国際的に認められた「ローマⅣ基準」が使用されます。
ローマⅣ基準による診断
過去3ヶ月間のうち、少なくとも1ヶ月に3日以上お腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、次の2つ以上の特徴を満たす場合、IBSが疑われます。
- 排便後に症状が和らぐ
- 症状に伴って排便の回数が変わる(増加または減少)
- 症状に伴って便の形状が変わる(硬くなる、または柔らかくなる)
精密検査の重要性
これらの症状はIBSに特有なものではなく、他の病気と似ている場合があります。そのため、確定診断には精密検査が不可欠です。特に内視鏡検査(大腸カメラ)を行うことで、がんなどの重篤な病気を早期に除外する必要があります。検査を行わずに治療を始めると、早期がんや他の重篤な疾患を見逃す可能性があり、適切な治療が遅れるリスクがあります。
鑑別診断が必要な病気
IBSと似た症状を引き起こす大腸がんや甲状腺機能亢進症などの疾患との鑑別も重要です。以下に該当する方は、内視鏡検査が推奨されます。
- 50歳以上で初めて症状が現れた
- 直腸からの出血がある
- 最近3kg以上の体重減少がある
- 発熱がある
内視鏡検査で異常が確認されなければ、IBSの診断が下されます。
診断の流れ
IBSの診断は、血液検査や便潜血検査などで異常が見られないことが多いため、以下の手順で進められます。
- 問診: いつから症状が出始めたか、症状の悪化要因などを詳しく確認します。
- 検査: 血液検査や便潜血検査を行い、他の疾患の可能性を排除します。
- 内視鏡検査やX線検査: より詳しい検査が必要な場合には、内視鏡検査や注腸X線検査を行います。
これらの検査で大腸がんや潰瘍性大腸炎などが否定されれば、IBSの診断基準に従って確定診断が行われます。
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IBSの治療法:個々の患者に合った最適なアプローチ
薬物療法:下痢・便秘に応じた処方薬
IBSの薬物治療
IBSの薬物治療では、腸内環境を整える薬や、便の水分量を調整する薬、乳酸菌製剤、緩下剤などが症状に応じて組み合わされます。精神的な要因が大きい場合には、神経伝達物質やセロトニンを調整する薬が使用されることもあります。
主な薬物治療の種類
- 高分子重合体(ポリフル、コロネル): 水分を吸収してゲル化し、便に適度な水分を持たせます。下痢型・便秘型両方に有効で、IBSの基本的な治療に使われます。
- 腸管蠕動調整薬(セレキノン): 下痢型、便秘型、混合型いずれにも効果が期待でき、腸の運動を調整します。
- セロトニン受容体拮抗薬(イリボー): 腸管運動を抑制し、下痢を改善する薬です。特に下痢型の治療に有効で、内臓知覚過敏も改善します。
- 腸管蠕動抑制薬(トランコロン): 活発すぎる腸管の運動を抑え、腹痛が強い下痢型の患者に適しています。副作用があるため、前立腺肥大や緑内障の方は使用できません。
- 止痢剤(ロペミン): 下痢型のIBSに使用されます。他の下痢止めは推奨されていません。
- セロトニン受容体刺激薬(ガスモチン): 便秘型に対して効果が高く、便通を促進します。
- 緩下剤(酸化マグネシウム、モビコール): 浸透圧性下剤が推奨され、便秘型に効果的です。
- 粘膜上皮機能変容薬(リンゼス、アミティーザ、グーフィス): 腸液の分泌を促進して便を柔らかくし、便通をスムーズにします。便秘型に使用されます。
- 抗不安薬: カウンセリングや生活改善と併用されることが多く、三環系抗うつ薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が使用され、腹痛や不安を軽減します。
- 漢方薬(桂枝加芍薬湯、大建中湯): 腹痛の改善や便秘に有効です。
症状に応じた薬の使用
過敏性腸症候群(IBS)は、症状が時間とともに変化することがよくあります。そのため、薬を「下痢型に使用する」「便秘型に使用する」といったように明確に分類することは難しい場合があります。各薬は「どちらかといえば」どの型に有効かという程度の目安と考えてください。
副作用に注意
一般的に、下痢型に使用する薬は排便を抑制し、便秘型に使用する薬は排便を促進します。このため、便秘型の薬で下痢が、副作用として下痢型の薬で便秘が起こることがあるため、副作用に注意が必要です。
薬の詳細
・ポリカルボフィルカルシウム(コロネル/ポリフル)
この薬は腸内で水分を吸収し、ゲル状に膨張することで便に適度な水分を与えます。下痢型でも便秘型でも使用できるため、IBSの型にかかわらず効果的です。服用の際はコップ一杯の水でしっかり飲むことが重要です。
・プロバイオティクス製剤(ビオフェルミン、ラックビー、ミヤBMなど)
腸内細菌のバランスを整えることで、腸内環境を改善します。特に下痢型・便秘型に関係なく使用でき、比較的安全な薬とされています。
・トリメブチン(セレキノン)
腸の運動を調整し、腹痛や排便の回数をコントロールします。穏やかな作用を持つため、補助的な薬として使用されることが多いです。
・ラモセトロン(イリボー)
下痢型のIBSに特に効果があり、腸管運動を抑制して下痢を改善します。男女ともに使用でき、女性は男性より少ない量で効果が出ることが多いです。
・酸化マグネシウム(マグミット)
便を柔らかくするための薬で、便秘型の患者に使用されます。水分量を増やし、便通を改善します。
・大腸刺激性下剤(ラキソベロン、プルゼニド)
腸の運動を活性化し、便秘を解消します。ただし、長期使用は腸の運動機能を弱める可能性があるため、短期間での使用が推奨されます。
・抗うつ薬(パキシル、アモキサンなど)
ストレスやメンタル面の影響が大きいIBSの症状を改善するため、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や三環系抗うつ薬が使用されます。下痢型には三環系抗うつ薬が特に効果的です。
食事療法:FODMAP制限食の効果と具体例
FODMAP制限食とは?過敏性腸症候群(IBS)への効果
FODMAPとは、小腸で消化・吸収されにくい糖質の総称です。この糖質を摂りすぎると、腸内に水分やガスが溜まりやすくなり、腹痛や下痢、お腹の張りなどの症状が引き起こされることがあります。過敏性腸症候群(IBS)の患者さんでは、これらの症状が特に顕著になることがあり、FODMAPを制限する食事が効果的とされています。
FODMAPとは?
FODMAPは、以下の英単語の頭文字から構成されています:
- F: Fermentable(発酵性の)
- O: Oligosaccharides(オリゴ糖)
- D: Disaccharides(二糖類)
- M: Monosaccharides(単糖類)
- P: Polyols(ポリオール:糖アルコール)
これらの糖質は小腸でうまく消化・吸収されず、大腸に届くと発酵してガスが発生します。その結果、腹部膨満感やガスの増加、さらには下痢や便秘など、IBSの症状を引き起こすことがあります。
低FODMAP食とは?
低FODMAP食は、FODMAPを多く含む食品を控え、消化しやすい食品を中心に摂取する食事法です。この方法を実践することで、過敏性腸症候群の症状が改善されることが多く報告されています。
低FODMAP食の目的は、体に合わない食品を特定することにあります。まず、高FODMAP食品を数週間制限し、その後少しずつ再導入して、どの食品が症状を悪化させているかを確認します。
低FODMAP食と高FODMAP食の例
低FODMAP食品の例
- 肉類、魚類(加工されていないもの)
- 米、玄米、オート麦
- 人参、ジャガイモ、ズッキーニ
- キウイ、イチゴ、ブルーベリー
- ラクトースフリーの牛乳、硬いチーズ
高FODMAP食品の例
- タマネギ、ニンニク、アスパラガス
- りんご、桃、スイカ、梨
- はちみつ、ヨーグルト、牛乳
- 人工甘味料(ソルビトールなど)
低FODMAP食を実践する方法
まず、高FODMAP食品を2~3週間避け、その間に症状の改善が見られるかを確認します。改善が見られた場合は、その後5~6週間かけて一つずつ高FODMAP食品を再導入し、体に合わない食品を特定していきます。
注意点
- 調理方法に注意: 同じ食材でも調理方法によってFODMAPの量が変わる場合があります。たとえば、白菜や唐辛子は低FODMAPですが、キムチにすると高FODMAP食品になります。
- 栄養バランスに注意: 極端な制限は栄養バランスを崩す可能性があります。特に、便秘を防ぐためには適切な食物繊維の摂取も必要です。
- 個別対応が必要: 低FODMAP食は厳しい制限ではなく、体に合わない食品を特定することが目的です。自分に合わない食品がわかったら、それを避けつつバランスの取れた食事を心がけましょう。
医師の指導のもとに実践
低FODMAP食は、自己流で行うと栄養不足になる危険があります。実践を始める前に、医師や栄養士に相談し、アドバイスを受けながら進めることが大切です。
心理療法:ストレス管理とカウンセリングの活用
過敏性腸症候群(IBS)は、「こころ」と「からだ」が相互に影響しあって起こる心身症の一つと考えられています。心身症とは、ストレスや精神的な負担が体に症状を引き起こしたり、悪化させたりする状態を指します。IBSもこの一例で、精神的なストレスが強く影響を与える病気です。
脳と身体は、自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系を通じて密接に繋がっており、常にお互いに影響を与え合っています。特に腸は、「腸脳相関」と呼ばれるほど脳の影響を強く受ける臓器です。そのため、IBSは不安や緊張などの精神的なストレスが深く関わっていることが多く、他のストレス性障害や自律神経失調症と関連して現れることもあります。
ストレスが心に負担をかけると、体にも様々な不調が現れやすくなり、逆に体調が悪くなると、精神的なストレスも強く感じるようになります。このように、「こころ」と「からだ」は密接に関連しており、IBSの治療にはストレスの管理や生活習慣の改善が非常に重要です。
腸の働きは、食事や生活習慣、運動、冷えなどの身体的な要素にも影響されます。さらに、睡眠や運動の習慣も自律神経のバランスと密接に関わっているため、これらを改善することで根本的な治療に繋がります。
心理療法の重要性
IBSは、ストレスや不安が主な要因となることが多いため、これらに対処する心理療法も重要な治療の一つです。治療ガイドラインでも、認知行動療法、カウンセリング、バイオフィードバック法などが推奨されています。
- 認知行動療法(CBT): この心理療法は、物事に対する捉え方や考え方を見直し、不安やストレスを軽減するための行動に取り組むものです。IBS患者が感じやすい不安や緊張に対処し、建設的な方法で対処する力を養います。
心理療法は、時間やコストがかかる場合がありますが、心療内科の外来診療では、心理的なアプローチを少しずつ積み重ねることで、ストレスや不安に対処しやすい状態を目指して治療が進められます。
ライフスタイル改善:適切な運動や睡眠の重要性
腸の健康は、生活習慣と深く結びついています。過敏性腸症候群(IBS)の治療では、医師による治療に加えて、生活習慣を見直し、少しずつ改善していくことが重要です。自律神経のバランスを崩すような習慣が続いていないか振り返り、着実に改善することで、症状の緩和や予防が期待できます。
睡眠
質の良い睡眠は、IBSの症状を改善するために欠かせません。睡眠時間を十分に確保するだけでなく、毎日同じ時間に起床・就寝することが、自律神経を整え、腸の働きを正常化させるために重要です。
食生活
食事は、腸の健康と直接関係しています。1日3食を規則正しくバランス良く摂ることが、自律神経の安定と便通の改善につながります。
早食いや過食、辛い食べ物や冷たい食べ物、消化に悪いものは腸を刺激し、下痢や便秘を引き起こしやすくなるため、消化に良い温かい食べ物を、ゆっくりと噛んで食べることを心がけましょう。便通を整えるためにヨーグルトや発酵食品の摂取が勧められますが、体質により相性が異なるため、医師と相談しながら取り入れることが大切です。
適度な運動
適度な運動は、腸の健康に非常に効果的です。特に便秘型IBSの方には、階段を使ったり、ウォーキングをするなど、リズムのある運動が腸の活動を促進します。軽いストレッチや体操も、腸の緊張をほぐし、症状緩和に役立ちます。運動が習慣化すると、腸の活動をサポートするセロトニン神経も活発になり、精神状態の安定にも繋がります。
カフェイン
コーヒーなどに含まれるカフェインは、腸を刺激し、不安や緊張を強めることがあるため、IBSの患者さんにはカフェインを控えることが推奨されます。
飲酒
アルコールは一時的にリラックスをもたらすものの、長期的には不安や緊張を悪化させ、腸に負担をかけます。過度な飲酒は腸の刺激となり、下痢を悪化させる原因にもなります。アルコールが習慣化している場合は、医師と相談しながら対策を考えましょう。
喫煙
喫煙もニコチンによって不安やイライラが増し、腸にも悪影響を及ぼします。禁煙は難しいかもしれませんが、禁煙外来などのサポートを受け、少しずつ控えるようにしましょう。
IBS症状の悪化を防ぐために避けるべき習慣
IBS症状を悪化させると考えられる要因として、過食、ガスのたまり、薬、チョコレート、乳製品、アルコール、カフェインなどが挙げられます。IBSの症状を軽減するためには、これらをできるだけ避けるとともに、規則正しい食生活や十分な睡眠を心がけ、ストレスを管理することが大切です。
また、可溶性食物繊維を多く含む食品を適度に摂取し、不溶性食物繊維の摂り過ぎには注意しましょう。不溶性繊維が多すぎると、ガスが発生しやすくなり、腹部膨満感や不快感を引き起こすことがあります。
日本に多い潜在的な乳糖不耐症
日本人には、潜在的な乳糖不耐症を持つ方が多く、乳製品によって下痢症状が悪化する可能性があります。乳製品を摂取した後に下痢を感じる場合は、医師に相談しましょう。
生活習慣の改善がIBS改善の鍵
IBSの症状を改善するためには、バランスの取れた食事や十分な睡眠、定期的な排便習慣を心がけることが大切です。また、ストレスを解消するための趣味やリラクゼーションの時間を持つことも、IBSの改善に役立ちます。過敏性腸症候群は生活習慣を改善することで、症状を効果的に緩和できる疾患です。
きだ内科クリニックでは、専門医が患者様の食生活や運動、ストレス管理をサポートし、個々のライフスタイルに合わせた最適な治療方法を提案しています。
IBSに関するよくある質問(FAQ)
IBS(過敏性腸症候群)は完全に治るのか?
過敏性腸症候群(IBS)は、現時点では完全に治す治療法はありません。しかし、症状は時間とともに改善したり、管理することが可能です。多くの患者さんが適切な治療や生活習慣の改善によって症状をコントロールし、普段の生活を快適に過ごしています。治療には、薬物療法、食事療法、そしてストレス管理などを組み合わせて取り組むことが重要です。
市販薬と病院での治療の違いは?
市販薬は一時的に腹痛や下痢、便秘を緩和することができますが、IBSの原因に直接働きかけるものではありません。病院での治療では、専門的な診断を行い、症状に応じて適切な薬を処方したり、個別の治療プランを作成します。病院では、腸内の運動を調整する薬やストレスを軽減する薬など、IBSの根本的な原因にアプローチする治療を行えるため、より効果的な治療が期待できます。
日常生活で気をつけるべきことは?
IBSの症状を和らげるために、以下の点に気をつけることが重要です:
- 食事の管理: 消化に良い食べ物を選び、特に脂っこい食べ物や辛いもの、アルコールは避けるようにしましょう。小さな食事を複数回に分けて食べることも有効です。
- ストレス管理: ストレスがIBSの症状を悪化させることが多いので、リラックスする時間を作り、瞑想や軽い運動、趣味を楽しむなど、ストレスを軽減する方法を見つけましょう。
- 定期的な運動: 軽い運動や散歩は、腸の動きを正常に保ち、便通を促進する助けになります。
- 十分な水分摂取: 水分をしっかり取ることが、特に便秘型のIBSに役立ちます。
腸内環境を整えるために自宅でできることは?
腸内環境を整えるためには、次のような取り組みが効果的です:
- プロバイオティクスを摂取する: ヨーグルトや発酵食品(納豆、味噌など)には、腸内細菌を良好に保つ働きがあります。また、サプリメントも効果的です。
- バランスの取れた食事: 野菜、果物、全粒穀物など、食物繊維を含む食品を適量摂取しましょう。特に便秘型IBSには効果的ですが、食物繊維の摂り過ぎには注意が必要です。
- 低FODMAP食の実践: FODMAP(消化しにくい糖質)を控えた食事法がIBSの症状を軽減することが多く、特に下痢型や腹部膨満感がある場合に有効です。具体的な食品の選択には専門家の助言を受けることをおすすめします。
- 規則正しい生活リズム: 食事や睡眠のリズムを整えることで、腸内環境の改善に繋がります。毎日同じ時間に食事を摂り、適度な運動を心がけましょう。
これらの方法を続けることで、腸内環境を改善し、IBSの症状が緩和されることが期待できます。
きだ内科クリニックのIBS治療の特長とサポート
・個別に対応した診療プラン
IBSの症状が患者によって異なることを考慮し、個別に対応した診療プランを提供しています。お一人おひとりの症状や生活習慣に合わせた最適な治療方法を提案し、薬物療法や食事療法、ストレスケアなど、症状に応じて幅広いアプローチを組み合わせて治療を進めます。患者さんが安心して治療を続けられるよう、細やかなケアを重視しています。
・定期的なフォローアップと改善への支援
IBSは一度の治療だけで改善が難しいため、定期的なフォローアップを行い、治療の進行状況や効果を確認します。症状の変化に応じて治療プランを柔軟に調整し、必要に応じて追加のサポートや治療方法を提案します。患者さんが長期的に改善を感じられるよう、継続的なサポートを提供しています。
・最新の内視鏡技術による迅速かつ安心な検査
当院では、最新の内視鏡技術を使用してIBSの診断に必要な検査を行っています。高精度の機器を用いることで、迅速かつ正確な診断が可能です。検査は安全性を考慮し、患者さんに安心して受けていただける環境を整えています。これにより、より正確な診断をもとに適切な治療を進めることができます。
・ストレスケアとメンタルヘルスサポートの強化
IBSはストレスや心理的要因が大きく関わることが多いため、当院ではストレスケアやメンタルヘルスサポートにも力を入れています。患者さんの心の健康を考慮した治療プランを提供し、必要に応じてカウンセリングや精神的なケアを組み合わせた総合的なアプローチを行っています。
きだ内科クリニックの予約方法
・初診での診療の流れ
まず詳細な問診を行います。患者さんの症状やこれまでの経過、生活習慣などを丁寧にお聞きし、その後に必要な検査を行います。検査結果に基づいて診断を行い、個々の患者さんに最適な治療プランを提案します。初診からスムーズに診療が進むように、専門スタッフがしっかりサポートします。
・ オンライン予約の手軽さとメリット
きだ内科クリニックでは、オンライン予約が可能です。オンライン予約は、24時間いつでも利用でき、忙しい患者さんにとって非常に便利です。電話でのやり取りを省けるため、手間が少なく、自分の都合に合わせて診療時間を簡単に選ぶことができます。さらに、予約の確認や変更もオンラインで簡単に行えるため、柔軟にスケジュールを調整できる点がメリットです。
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