🩺 チャンピックス(バレニクリン酒石酸塩)診療手順
🔹Ⅰ. 保険診療としての条件確認(診察前)
✅ チャンピックスを保険で使用できる条件(ニコチン依存症管理料の要件)
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禁煙治療を受けたいという強い意思がある
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ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数 × 喫煙年数)が200以上
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TDSスコア(ニコチン依存症テスト)が5点以上
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初診日から1年以内に同治療を受けていない
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医師の説明に同意し、「禁煙宣言書」に署名している
→ これら全てを満たすと**保険算定(ニコチン依存症管理料)**が可能。
🔹Ⅱ. 初診時(第1回目)【0週】
1️⃣ 問診・評価・動機づけ
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喫煙歴・過去の禁煙歴・ニコチン依存症の程度を確認
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**TDS(ニコチン依存度スクリーニングテスト)**実施
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COアナライザーで呼気CO濃度を測定(初期値記録)
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禁煙宣言書に署名(本人の意思を明文化)
🗒 CO値・TDSスコア・喫煙年数をカルテに必ず記録。
2️⃣ 治療計画の説明(医師)
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禁煙の仕組みと離脱症状について説明
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チャンピックスの効果・副作用・運転制限・服用スケジュールを説明
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禁煙開始日(服薬8日目)をカレンダーで明示
3️⃣ 処方内容
チャンピックス スタートパック(0.5mg×11錠+1mg×14錠)
| 日数 | 用量 | 回数 |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 0.5mg 1日1回(食後) | 朝または夕 |
| 4〜7日目 | 0.5mg 1日2回(朝・夕) | 食後 |
| 8日目以降 | 1mg 1日2回(朝・夕) | 食後 |
| 禁煙開始 | 服薬8日目〜 | 🚭完全禁煙 |
🩵 吐き気対策 → 「必ず食後に多めの水で服用」と説明。
🩵 不眠・夢が強い場合 → 夕食後ではなく“早めの時間”に服用。
4️⃣ 事務対応・算定
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「ニコチン依存症管理料(初回:230点)」を算定
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処方箋に「ニコチン依存症管理料の算定に伴う処方である」と明記
🔹Ⅲ. 再診1(第2回目)【2週後】
1️⃣ COアナライザー測定(呼気CO値)
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初回からの変化を確認(理想:6ppm以下)
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上昇していれば再喫煙の有無を確認
2️⃣ 副作用の聴取・対応
| 主な副作用 | 対応 |
|---|---|
| 吐き気 | 食後・水多め、必要に応じ制吐剤投与 |
| 不眠・夢 | 夜の服薬時間を早める |
| めまい・眠気 | 運転禁止指導 |
| イライラ・気分変化 | 精神症状注意、医師へ即報告 |
→ 症状が強い場合は「1mg→0.5mg×2回」へ減量可能。
3️⃣ 医師評価・処方
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禁煙継続を確認
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チャンピックス1mg錠 2回/日 × 2週間分を処方
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ニコチン依存症管理料(184点)算定
🔹Ⅳ. 再診2(第3回目)【4週後】
内容
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CO値の継続低下確認(0〜6ppmで禁煙維持を評価)
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禁煙継続状況と離脱症状の有無を確認
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副作用軽減していればそのまま継続
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服薬アドヒアランスを確認(飲み忘れないか)
処方
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チャンピックス1mg錠 2回/日 × 4週間分
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ニコチン依存症管理料(184点)算定
🔹Ⅴ. 再診3(第4回目)【8週後】
内容
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CO測定(安定0〜6ppm)で成功を実感させる
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体重増加・ストレス管理・代替行動(ガム・深呼吸など)を指導
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禁煙継続を称賛・再発防止のカウンセリング
処方
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チャンピックス1mg錠 2回/日 × 4週間分
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ニコチン依存症管理料(184点)算定
🔹Ⅵ. 最終回(第5回目)【12週後】
内容
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CO値測定(非喫煙者レベルで0〜6ppm)
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離脱症状なし・禁煙維持を確認
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禁煙成功証書(任意)を発行し、再発防止指導
処方・評価
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治療終了 or 必要に応じて延長投与12週(自費)
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ニコチン依存症管理料(180点)算定
🔹Ⅶ. 延長治療(希望者・再喫煙者)
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12週治療後も「吸いたくなる」「夢に出る」などがある場合、
さらに12週(合計24週)まで延長可能(自由診療扱い) -
副作用が出ない限り、チャンピックス1mg 1日2回継続。
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医師が効果・副作用を評価しながら投与を継続または終了判断。
🔹Ⅷ. 禁忌・慎重投与の確認(初回問診時)
| 分類 | 状況 | 対応 |
|---|---|---|
| 禁忌 | 成分過敏症 | 投与不可 |
| 慎重投与 | 精神疾患(うつ病、統合失調症など) | 状態安定時のみ開始 |
| 慎重投与 | 腎機能障害(CrCl < 30mL/min) | 減量(0.5mg×1回/日) |
| 慎重投与 | 妊娠・授乳中 | 原則避ける、メリット>リスクの場合のみ |
| 併用注意 | シメチジン(胃薬) | チャンピックス血中濃度上昇に注意 |
🔹Ⅸ. スタッフ業務フロー(実務)
| スタッフ | 具体的な業務内容 |
|---|---|
| 医師 | 初診評価・禁煙宣言確認・処方・副作用判断 |
| 看護師 | CO測定・服薬指導・体調聴取・生活支援 |
| 医療事務 | 条件確認・レセプト算定・処方箋備考記入 |
| 栄養士(任意) | 体重増加防止指導(禁煙後) |
🔹Ⅹ. 現場で使う定型文・声かけ例
| 場面 | 声かけ例 |
|---|---|
| 禁煙宣言時 | 「この日からタバコをやめる、という覚悟を書面にしてみましょう」 |
| 2週後 | 「CO値が〇ppm下がりました!体が確実にきれいになっていますね」 |
| 副作用訴え | 「吐き気は食後に飲むと和らぐことが多いですよ」 |
| 再喫煙時 | 「失敗ではありません。次のステップに進むための経験です」 |
🔹Ⅺ. まとめ:診療フロー
🔹Ⅻ. 成功率を高めるポイント
| 要素 | 成功率上昇度 |
|---|---|
| COアナライザーで毎回測定 | ×1.6 |
| 家族への説明同席 | ×1.4 |
| 看護師によるフォロー電話 | ×1.5 |
| 禁煙証書の交付 | ×1.2 |
