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血便の疑問にお答えします

[2024.09.08]

血便について知ろう

 

血便とは?

 

血便とは、便に血が混じる状態を指します。これは、便に鮮明な赤色の血液が混ざっていることもあれば、黒っぽい色の便となって現れることもあります。通常、便には血が混ざることはありませんので、血便は消化器系で何か異常が起きているサインである可能性があります。

 

正常な便との違い

 

正常な便は、色や形が一定で、血液が混じっていることはありません。しかし、血便の場合、便の色や質に異常が見られることがあります。例えば、トイレットペーパーに血がついていることに気づいたり、便そのものが赤みを帯びていたり、黒っぽいタール状の便が出ることもあります。これらの異常な便は、消化器系のどこかで出血が起きている可能性を示しているのです。

 

血便が示すサインとは?

 

血便は、消化器疾患の初期症状であることが多いです。特に、痔や大腸ポリープ、大腸がんなど、重大な疾患のサインとなることがあります。見過ごされがちな症状ですが、放置すると進行し、深刻な病気につながることもあります。ですから、少しでも血便に気づいたら、早めに医療機関を受診することが重要です。

血便は、消化器系の異常を知らせる重要なサインです。見逃さず、早期に対処することで健康を守りましょう。

 

血便の種類と色でわかること

 

血便は、色や状態によって体内のどこで出血が起きているかを推測することができます。大きく分けると、鮮やかな赤い色の便(鮮血便)と、黒っぽい便(タール便)の2種類に分けられます。

 

鮮血便と暗黒色便(タール便)の違い

 

  • 鮮血便:大腸や直腸、肛門周辺で出血が起きた場合、鮮やかな赤い血が便に混ざって見えることが多いです。痔や大腸ポリープ、大腸がんが原因で出血することがあります。少量の出血だからといって放置すると、症状が進行してしまうことがあります。例えば、「痔だろう」と思って様子を見ているうちに、実は大腸がんが進行していたというケースもあります。
  • タール便:便が黒っぽく、タールのような粘り気のある状態です。これは、胃や十二指腸などの上部消化管から出血していることを示しています。上部消化管の出血は、胃酸の影響で血液が変色するため、黒っぽい便になります。タール便に気づいたら、できるだけ早く医療機関で検査を受けることが重要です。特に、多量の出血が体内で起きている場合、貧血やショック状態に陥るリスクがあり、命に関わることもあります。

色によって推測される原因

 

  • 鮮やかな赤い便(鮮血便):出血が直腸や肛門付近で起きていることが多いです。痔や裂肛、大腸がん、直腸がんの可能性があります。
  • 黒い便(タール便):胃や十二指腸の出血が考えられます。消化性潰瘍や胃がん、十二指腸潰瘍が原因となることがあります。また、タール便の場合、出血量が多くなる傾向があるため、早急な対応が必要です。

 

少量の出血でも油断しないで!

 

「少量の出血だから大丈夫」と思う方は少なくありません。しかし、体の外から見える出血量が少なくても、消化管の中では多量の出血が起きていることがあります。持続的な出血が続けば、貧血やショック状態に陥る可能性もあるため、出血が少量でも放置せず、早めに医師に相談することが大切です。

血便や下血が見られた場合は、色や量に関わらず、早急に専門医に相談し、適切な検査を受けることをお勧めします。

 

血便の主な原因

 

血便は、消化器や直腸、肛門などのさまざまな原因で起こります。主な原因を以下に詳しく説明します。

 

1. 痔(いぼ痔・切れ痔)

 

痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)は、血便の最も一般的な原因です。いぼ痔では、便を排出する際に痔が擦れて出血し、鮮やかな赤い血が便やトイレットペーパーに付着することが多いです。切れ痔の場合、便が硬くて肛門の粘膜が裂け、出血と痛みを伴います。どちらも排便後に鮮血が見られ、便に血が混ざらずに分離していることが特徴です。

 

2. 大腸ポリープや大腸がん

 

大腸ポリープや大腸がんも、血便の原因となります。特に大腸ポリープは、便がポリープと擦れることで出血することがありますが、肉眼で見えるほどの大量の出血があることは稀です。便潜血検査などで、早期の出血を発見することが重要です。
大腸がんは、早期にはほとんど症状がありませんが、がんが進行すると、下行結腸や直腸付近では鮮血便が現れることがあります。進行がんでは、出血や貧血が見られることが多く、特に注意が必要です。

 

3. 消化器系の出血(胃や小腸)

 

胃や十二指腸からの出血は、タール便と呼ばれる黒っぽい便の原因となります。これは、胃酸によって血液が黒く変色するためです。消化性潰瘍や胃がん、十二指腸潰瘍が原因として挙げられます。タール便は少量の出血でも危険な場合が多いため、早急に専門医の診断が必要です。

 

4. 感染性腸炎

 

カンピロバクターやアメーバなどの細菌やウイルスによる感染性腸炎も、血便を引き起こすことがあります。感染性腸炎では、下痢や腹痛に加え、血液の混ざった便が出ることが特徴です。急激に発症し、短期間で症状が悪化することがあるため、早めの治療が必要です。

 

5. 虚血性大腸炎

 

虚血性大腸炎は、大腸に血液を送る動脈が何らかの理由で狭窄や閉塞を起こし、腸の一部が血液不足になることで炎症が生じる病気です。典型的な症状は、突然の激しい下腹部痛とともに血便が出ることです。高齢者や便秘の方に多く見られ、便秘による腸内圧の上昇が原因で虚血が引き起こされることがあります。

 

6. 大腸憩室出血

 

大腸憩室とは、大腸の壁に小さな袋状の突起ができる状態を指します。この憩室から出血すると、腹痛を伴わない突然の大量出血が起こることがあります。特に高齢者や肥満の方、解熱鎮痛剤やアスピリンを常用している方に多く見られます。出血量が多い場合には、早急な対応が必要です。

血便が見られた場合、少量の出血だからといって油断せず、必ず専門医に相談しましょう。がんや重大な疾患の早期発見・治療が、命を守るために非常に重要です。

 

血便時の検査方法について知る

 

血便時の検査方法

 

血便が出た場合、その原因を特定し、適切な治療を行うためにさまざまな検査が必要です。血便の色や頻度、その他の症状に基づいて、以下のような検査が行われます。

 

1. 問診

 

まず、医師は血便の状態や頻度、食事との関連性、過去の病歴を確認します。これにより、症状の原因を大まかに絞り込むことができます。例えば、「最近、便に血が混ざるようになった」「下痢が続いている」といった患者さんの訴えをもとに、必要な検査が決まります。

 

2. 血液検査

 

血液検査では、貧血の有無や体内で炎症が起きているかどうかを確認します。特に貧血が進行している場合は、体内で多量の出血が起きている可能性があるため、迅速な治療が必要です。また、炎症の程度を把握することで、感染症や炎症性疾患の存在を推測することができます。

 

3. 直腸診

 

肛門や直腸に異常がないかを確認するために、直腸診(指診)が行われます。医師が手袋をはめて指で直腸内を触診し、痔核(いぼ痔)や腫瘍、出血の有無を確認します。この検査は、特に肛門や直腸周辺に原因がある場合に有効です。

 

4. 腹部エコー

 

小腸や大腸の奥から出血している場合、腹部エコー(超音波検査)が行われます。腸管の浮腫や炎症、虚血(血流不足)などがないかを確認し、内臓の状態を詳しく調べることができます。痛みや放射線被ばくがないため、安全な検査方法です。

 

5. 胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)

 

黒っぽいタール便が見られる場合、胃や十二指腸で出血が起きている可能性があります。そのため、胃カメラを用いて上部消化管の状態を直接確認します。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどが原因として考えられます。

 

6. 大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡)

 

大腸から直腸にかけての出血が疑われる場合には、大腸カメラを使用して内視鏡検査を行います。この検査では、大腸ポリープや大腸がん、潰瘍性大腸炎などを詳しく調べることができ、異常が発見された場合はその場で治療も可能です。

 

7. CTMRI検査

 

必要に応じてCTMRI検査が行われます。これにより、体内の詳しい断層画像が得られ、腸の周囲や他の臓器との関連性、出血の位置を精密に確認できます。特に緊急性が高い場合や、腹部の腫瘍や出血が疑われる際には重要な検査です。

 

便潜血検査と大腸内視鏡検査について

 

便潜血検査の限界

 

便潜血検査は、便の中に血液が混ざっているかどうかを確認する検査で、進行した大腸がんを発見できることもあります。しかし、この検査には限界があり、特に早期の大腸がん前がん病変であるポリープを見つけることはほとんどありません。便潜血検査の目的は、大腸がんによる死亡率を下げることであり、実際に死亡率の低下には役立っていますが、見逃される大腸がんも少なくないため、「陰性だから大腸がんではない」と安心するのは危険です。

便潜血検査で陽性が出た場合には、次に大腸内視鏡検査を行い、確定診断を受ける必要があります。また、陰性であっても早期のがんやポリープを見逃してしまうリスクがあることを理解しておくことが大切です。

 

陽性と陰性の結果が示すもの

 

  • 便潜血検査「陽性」:陽性になる原因で最も多いのは「痔」ですが、進行した大腸がんも陽性になることがあります。これは、がんが大きくなり、便の通り道を狭めて便が通過する際にがんの表面が擦れて出血することが原因です。がんが小さい場合や、便が柔らかいと出血しないため、陽性にならないこともあります。
  • 便潜血検査「陰性」:陰性の場合でも、早期の大腸がんやポリープは小さいため、出血せず検出されないことがあります。また、進行したがんでも、便が通る際に出血が起こらない位置にがんがあると陰性になります。そのため、陰性だからといって安心せず、定期的な検査を受けることが重要です。

 

大腸内視鏡検査の重要性

 

大腸内視鏡検査は、早期の大腸がんやポリープを発見できる唯一の検査です。この検査では、腸内の粘膜を直接観察するため、非常に小さな前がん病変や微細な異常も見逃さずに発見できます。また、検査中にポリープが見つかれば、その場で切除することも可能です。これは、入院を必要とせず日帰りで行えるため、患者さんにとって負担の少ない治療です。

定期的な内視鏡検査が普及していない日本では、大腸がんががんによる死亡原因の上位を占めており、早期発見・早期治療が鍵となります。便潜血検査だけに頼らず、40歳を過ぎたら一度は内視鏡検査を受けることが推奨されます。

当院で行う大腸内視鏡検査

  • 苦しくない前処置:内視鏡検査では腸内を空にするために洗腸剤を飲む必要があります。当院では、複数の洗腸剤の中から、患者さんごとに飲みやすい方法を提供しています。
  • 無痛の内視鏡検査:鎮静剤を使用し、うとうとした状態で検査を受けられるため、痛みや不快感はありません。患者さんに合わせた適切な鎮静剤の量で、リラックスして検査を受けられます。
  • お腹の張りを軽減:当院では、検査時に使用する空気ではなく、吸収速度が速い炭酸ガスを使用するため、検査後のお腹の張りを軽減し、快適に過ごしていただけます。
  • 専門医による精密な検査:当院では、内視鏡の専門医が最新の機器を用いて検査を行います。経験豊富な医師による精密な診断で、早期がんやポリープを確実に発見します。

 

よくある質問(Q&A

 

Q1. 血便って本当に危ないの?放っておいても大丈夫?

 

A: 血便は、軽い症状から重篤な病気まで幅広い原因が考えられます。痔などによる軽い出血の場合もありますが、大腸がんや潰瘍性大腸炎、感染性腸炎など深刻な疾患が隠れていることもあります。少量の出血だからといって放置するのは危険です。特に出血が続く場合やタール便(黒い便)が出た場合は、早急に医師の診察を受けることが大切です。

 

Q2. 血便が出るときの色によって、どんな違いがあるの?

 

A: 血便の色は出血している場所によって異なります。鮮やかな赤い血(鮮血便)は、直腸や肛門、大腸の下部で出血している可能性が高く、痔や大腸ポリープ、大腸がんが原因かもしれません。黒っぽい便(タール便)は、胃や十二指腸など上部消化管で出血が起きている可能性があり、消化性潰瘍や胃がんが疑われます。色の違いは、病気の位置や緊急性を示す手がかりになります。

 

Q3. 痔があるから血便が出るだけ?他に心配な病気は?

 

A: 痔による血便は非常に一般的ですが、他にも大腸がんや大腸ポリープ、虚血性腸炎などが原因の場合があります。特に、痔だと思っていたら実は大腸がんが進行していたというケースもあります。血便が見られた場合は、自己判断せずに医療機関で検査を受けることが大切です。

 

Q4. 便に血が混ざっているのを見つけたら、すぐ病院に行くべき?

 

A: 便に血が混じっている場合は、できるだけ早く病院を受診することが推奨されます。特に、血便が続いている場合や、黒っぽい便や大量の鮮血が見られる場合は、重大な消化器疾患の可能性があります。診察を受けて原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。

 

Q5. 血便が続いたら、大腸がんの可能性は高いの?

 

A: 血便が続く場合、大腸がんの可能性を考慮する必要がありますが、他にもポリープや炎症性腸疾患、感染性腸炎などが原因のこともあります。便潜血検査では早期のがんや小さなポリープは見逃される可能性があるため、血便が続く場合には大腸内視鏡検査を受けることが最も確実です。

 

Q6. 血便の原因はストレス?それとも食べ物?

 

A: ストレスや食べ物が血便の直接的な原因になることは少ないですが、ストレスが引き金となって便秘や過敏性腸症候群が悪化し、それが血便を引き起こすことはあります。また、刺激物やアルコールなどが胃腸に負担をかけ、胃潰瘍や腸の炎症を悪化させることもあります。

 

Q7. 自分でできる血便の予防方法はあるの?

 

A: 血便の予防には、バランスの取れた食事と適度な運動が大切です。食物繊維を多く含む食事を摂ることで便秘を防ぎ、腸内環境を整えることができます。さらに、定期的に内視鏡検査を受け、ポリープや早期がんを早期に発見して治療することも予防に役立ちます。

 

Q8. どの診療科を受診すればいいの?内科?それとも外科?

 

A: 血便が見られた場合、まずは消化器内科を受診するのが一般的です。内視鏡検査や便潜血検査などを行い、原因を調べることができます。痔が原因だと思われる場合は、肛門外科一般外科でも対応できますが、原因がはっきりしない場合は内科での受診がおすすめです。

 

Q9. 血便が出た場合、どんな検査を受けるの?痛い検査はある?

 

A: 血便が出た場合、まずは問診や血液検査、便潜血検査が行われ、必要に応じて大腸内視鏡検査胃カメラ検査を受けることになります。内視鏡検査は腸内を直接観察するため、最も確実な診断方法です。当院では、鎮静剤を使用してリラックスした状態で検査を受けることができ、痛みや不快感を感じることなく検査ができます。

 

Q10. 血便は薬や治療で治せるの?手術が必要な場合もある?

 

A: 血便の原因によって治療方法が異なります。痔や軽度の炎症性疾患の場合、薬での治療が可能です。ポリープや早期の大腸がんが原因の場合、内視鏡検査中に切除できることが多く、入院の必要はありません。しかし、進行したがんや重症の疾患の場合には、手術や抗がん剤治療が必要になることもあります。早期発見であれば、手術を避けられる可能性が高いので、早めの検査と治療が重要です。

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