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「飲酒量を減らしたい方へ|アルコール依存症治療薬『セリンクロ』の効果と使い方を解説」第三弾

[2025.03.20]

 肝疾患や生活習慣病の診療を行う中で、ダイエットや減塩指導とあわせて、アルコール摂取量の減少もご指導しています。

アルコール依存症の場合は、本来断酒が望ましいですが、軽症の方や減酒を希望される方には、減酒補助薬(セリンクロ:一般名ナルメフェン)を用いた治療も選択肢の一つとして考えています。

そのため今回、アルコール依存症の診断と治療について理解を深めるため、eラーニングを受講しました。アルコールによる健康リスクやアルコール依存症の概要、一般的な治療法、そしてセリンクロによる治療について、学び直しまとめました。

なお、重症の方や健康被害・社会的影響が大きいケースについては、当院での対応が難しい場合もあります。その際は、心療内科や精神科など専門機関への適切な橋渡しができればと考えております。

3回に分けて説明いたします。この3回目は、「セリンクロ錠」についてです。

 

【飲酒量を減らしたいあなたへ】アルコール依存症治療薬「セリンクロ錠」

 

「お酒の量を減らしたいけど、なかなかうまくいかない」そんなお悩みはありませんか?
セリンクロ錠(一般名:ナルメフェン)は、アルコール依存症における飲酒量低減を目的とした治療薬です。

 

「完全な断酒は難しいけれど、飲む量を減らしたい」という方にとって、新しい選択肢となる可能性があります。

 

 

セリンクロ錠とは?【飲酒欲求を抑える薬】

 

セリンクロ錠は、飲酒への強い欲求(渇望)を抑える作用を持つ薬です。
これまでの治療薬が「断酒」を目指すものだったのに対し、セリンクロは飲酒量の低減をサポートすることが特長です。

「飲んだ時の快感」も「飲まない時の不快感」も抑えることで、
「無理して飲まなくてもいいかな」と感じる状態を目指します。

 

セリンクロは「オピオイド受容体拮抗薬」に分類され、

  • μ(ミュー)・δ(デルタ)オピオイド受容体に拮抗 飲酒による快感や依存を抑制
  • κ(カッパ)受容体には部分作用 飲酒欲求を鎮める可能性

ただし、詳しい作用メカニズムは完全には解明されていません。

 

セリンクロ錠の効果【飲酒量・頻度を減らす】

 

服用により、次のような効果が期待できます。

飲酒量の減少
大量飲酒する日の減少(二日酔いや記憶障害のリスク低下)
1日あたりの平均アルコール摂取量が減少
低リスク飲酒レベル(男性40g以下/女性20g以下)への改善例もあり

海外データでは、継続使用によって断酒に至ったケースも報告されています。

 

服用タイミング【飲酒12時間前に】
  • 飲酒予定の12時間前に1錠服用します
  • 飲酒後に気づいた場合は、服用しないでください
  • 飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用可(ただし飲み終えた後は不可)

 

副作用について【初期に出やすい症状】

主な副作用は以下の通りです(多くは軽度・一時的です):

  • 吐き気
  • めまい
  • 頭痛
  • 眠気

気になる症状があれば、医師にご相談ください。

 

セリンクロ錠使用上の注意【断酒が原則】

 

アルコール依存症治療の基本は断酒です。
セリンクロは、医師の判断で減酒からのアプローチが適切と考えられる場合に使用されます。

「お酒を減らしたい」という明確な意思がある方が対象です。
「とりあえず飲みながら治したい」という方への安易な処方は行いません。

 

こんな方におすすめ【減酒を目指したい方へ】

 

セリンクロは、以下のような方に適しています。

アルコール依存症と診断された方
まずは「減酒」から始めたい方
習慣的に多量飲酒をしている方
健康診断などで飲酒量を指摘された方
記憶を失うほどの飲酒経験がある方
お酒の量をコントロールしたい方

 

まずは専門医療機関にご相談ください

セリンクロ錠は医師による適切な診断と指導のもとで使用する薬です。
アルコール依存症の治療は、専門の医療機関で行うことが大切です。

「お酒の量が気になる」「治療を考えたい」と感じたら、お気軽にご相談ください。
当院では、飲酒に関するお悩みに専門医が丁寧に対応いたします。

 

【まとめ:大切なポイント】

セリンクロは飲酒欲求を抑え、飲酒量低減をサポートする薬
服用は飲酒予定の12時間前が基本
副作用は軽度・一時的なことが多い
断酒が原則で、医師との相談が重要
減酒を目指す方におすすめ

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