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「お酒がやめられない…アルコール依存症の症状・診断・治療まとめ【専門医解説】」第二弾

[2025.03.20]

【悩んでいませんか?】お酒との付き合い方を見つめ直す アルコール依存症とは?

 

「最近、お酒の量が増えた気がする」「飲まないと落ち着かない」そんなふうに感じたことはありませんか?
アルコール依存症は、決して他人事ではありません。お酒を飲む人なら誰でもかかる可能性がある病気です。

全国で100万人以上がアルコール依存症と推計されていますが、治療を受けているのはごく一部に過ぎません。

アルコール依存症とは? 意志の弱さではなく「脳の病気」

アルコール依存症は、長年の大量飲酒により脳が変化し、自分の意思で飲酒をコントロールできなくなる病気です。

最初は楽しいはずのお酒が、やがて「飲まずにはいられない」という強い欲求へと変わっていきます。これは単なる「飲み過ぎ」や「習慣」ではなく、アルコールがもつ依存性によるものです。

アルコール依存症は、専門的な治療が必要な病気です。

※当院は専門医療機関ではございません。主には、心療内科・精神科が該当します。

 

 

気づかぬうちに進行するアルコール依存症の段階

 

アルコール依存症は、徐々に進行します。

 

  • 習慣飲酒:晩酌や外飲みが習慣化
  • 境界期
    • 飲酒量が増え、酔うためには以前より多くの量が必要に(耐性の形成)
    • 酔って記憶を失う「ブラックアウト」が起こり始める
  • 初期(精神依存)
    • 飲まないと落ち着かない
    • 飲酒量のコントロールができなくなり、生活の中心が酒になる
  • 中期(身体依存)
    • 飲まないと「離脱症状」(手の震え・発汗・不安など)が現れる
    • 症状を抑えるためにさらに飲む悪循環へ
    • 嘘や隠しごと、朝からの飲酒(迎え酒)が始まる
  • 後期
    • 飲酒が生活を破綻させ、仕事や家庭、健康にも深刻な影響が出る

 

アルコール依存症の主な症状

 

  • 強い飲酒欲求(渇望):仕事中でも「飲みたい」と感じる
  • コントロール困難:飲み始めると止まらない
  • 離脱症状:手の震え・寝汗・不眠・吐き気・不安・幻覚・幻聴など
  • 耐性の亢進:酔うために必要な量が増える
  • 飲酒中心の生活:飲酒や酔いの回復で1日が終わる
  • 問題が起きても飲酒継続:健康・家族・仕事に支障が出てもやめられない
  • 罪悪感・自己嫌悪:飲酒後に後悔する
  • 記憶障害(ブラックアウト):前夜の記憶がない
  • 迎え酒:不快感を抑えるために朝から飲む

 

アルコール依存症がもたらす影響

 

アルコール依存症は、本人だけでなく家族や周囲にも大きな影響を与えます。

  • 健康被害:肝臓病・膵炎・高血圧・糖尿病・がんなどのリスク増加
  • 社会生活への支障:仕事の低下・欠勤・失業・飲酒運転など
  • 家庭崩壊のリスク:不和・経済的困窮・別居・離婚、子どもへの悪影響

 

アルコール依存症のスクリーニングテスト「AUDIT」とは?

 

AUDITAlcohol Use Disorders Identification Test は、
世界保健機関(WHO)が開発した、アルコール依存症や飲酒問題を早期に発見するための質問票です。

AUDITの特徴】

  • 10問の質問に答えるだけ
  • 飲酒量や頻度、飲酒による問題(健康・人間関係など)をチェック
  • 得点によってリスクを判定

AUDITの判定目安】

総得点

判定

内容

07

低リスク

節度ある飲酒

814

中リスク

飲酒による健康リスクあり。見直しが必要

15点以上

高リスク(依存症疑い)

専門医への相談をおすすめ

 

AUDITをお試しいただけます。こちらのサイト

 

アルコール依存症の診断基準(ICD-10より)

 

アルコール依存症は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-10)でも「病気」として定義されています。
以下の 6つの項目のうち、過去1年間で3つ以上が当てはまる場合、アルコール依存症と診断されます。


ICD-10 アルコール依存症診断基準】

 

  1. 強い飲酒欲求(渇望)
    • 「どうしても飲みたい」「飲まずにいられない」と強く感じる
  1. コントロール障害
    • 飲み始めたら止められない・量や時間を自分で調整できない
  1. 離脱症状の出現
    • 飲まないと手の震え・発汗・不安・イライラ・不眠などの症状が出る
  1. 耐性の増大
    • 以前より多く飲まないと酔えなくなる
  1. 飲酒中心の生活
    • 飲酒や回復が生活の中心になり、他の興味や活動が失われる
  1. 明らかな害があっても飲酒を続ける
    • 健康・仕事・家族などに悪影響が出ても、飲むのをやめられない

 

【もう一人で悩まないで】アルコール依存症は治療できる病気です

 

「やめたいのに、お酒がやめられない」「家族の飲酒で困っている」――
そんな悩みは、決してあなただけではありません。

アルコール依存症は専門的な治療で回復が可能な病気です。
専門医療機関では、一人ひとりに合わせた治療で、断酒や減酒、社会復帰までしっかりサポートします。

 

治療の目標は「断酒」でも、状況によって「減酒」も選択肢

 

基本的には**断酒(完全にやめる)を目指しますが、
軽症の場合や社会生活が保たれている方には減酒(飲酒量を減らす)**から始めることもあります。

ただし、以下の場合は断酒が必要です:

  • 入院が必要なほど症状が重い
  • 生活や健康への深刻な影響がある
  • 重い離脱症状が出ている

 

アルコール依存症の主な治療法

 

1. 薬物療法(飲酒欲求や離脱症状を抑える)

 

■ 断酒補助薬【レグテクト(一般名:アカンプロサート)】

対象となる方

  • 断酒を目標としている方
  • 渇望感が強く、断酒がつらいと感じる方

作用・効果

  • 脳の興奮を抑えて、「飲みたい気持ち(渇望感)」を和らげる
  • 断酒期間を伸ばし、再飲酒のリスクを下げます

主な副作用

  • 下痢が出ることがあります(整腸剤で改善することも)

注意点

  • 腎臓の機能が悪い方は使用できない場合があります
  • 肝臓には負担が少ない薬です

 

■ 抗酒薬【ノックビン(ジスルフィラム)/シアナマイド】

対象となる方

  • 強い意志で断酒したい方
  • 家族や周囲のサポートが得られる方

作用・効果

  • 飲酒すると頭痛・吐き気・動悸など強い不快な症状が出る
  • 「飲んだらつらい」ことで飲酒を防ぐ

主な副作用・注意点

  • 少量のアルコールでも重い反応が出るため厳重注意
  • 化粧品や料理酒などにもアルコール成分が含まれる場合がある
  • 医師・家族の管理のもとで服用することが大切

 

■ 飲酒量低減薬【セリンクロ(一般名:ナルメフェン)】

対象となる方

  • 「完全な断酒は難しいが、お酒の量を減らしたい」と考えている方
  • 減酒から始めたい方

作用・効果

  • 飲酒による「快感」や「飲まないと気持ち悪い」という感覚を抑える
  • 飲酒量が自然と減り、飲み過ぎる日が減ることが期待されます

主な副作用

  • 吐き気、めまい、頭痛、眠気など(多くは軽度)

注意点

  • 飲酒予定の1~2時間前に服用
  • 減酒への意欲がある方が対象
  • 「飲み続けたいから薬を飲む」という使い方はできません
  • 状況によっては断酒治療が優先される場合もあります

 

■ 離脱症状を和らげる薬(例:ベンゾジアゼピン系)

対象となる方

  • 断酒開始時に不安・不眠・手の震えなどの症状が出る方

作用・効果

  • 不安・不眠・イライラを和らげ、断酒を安全にスタートさせる

主な副作用

  • 眠気やふらつき(長期連用は依存性のリスクがあるため短期間使用)

 

2. 認知行動療法(GTMACKSMARPPなど)
  • 飲酒のきっかけを知り、対処法を学ぶ
  • ストレス解消法や生活改善を実践

 

3. 内科治療
  • 肝臓やその他の体の不調も同時にケア
  • 長期フォローで健康を守ります

 

4. 自助グループ(AAや断酒会)
  • 同じ悩みを持つ仲間と支え合い、断酒を続ける力に

 

5. デイケア
  • 通院しながら生活リズムを整え、人との交流を深めます

 

治療を続けるために大切なこと

 

  • 本人の「治したい」気持ちが何より大切
  • 家族の理解と支えが回復の力になります
  • 万が一再飲酒しても、諦めずにまた一緒に立て直せば大丈夫

 

まずは専門医療機関に相談を

アルコール依存症は、治療できる病気です。
専門機関では医師・看護師・心理士などがチームで支援します。

「もしかして」と思ったら、勇気を出して相談してみましょう。
あなたの一歩が、健康な未来につながります。

※当院は専門医療機関ではございません。主には、心療内科・精神科が該当します。

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