エアコンの冷気が苦手で体調不良に…原因と対策を医師が解説|山形県米沢市のきだ内科クリニック
【医師監修】エアコンの冷気が苦手で体調不良に…原因と対策を解説|山形県米沢市のきだ内科クリニック
エアコンの冷気が苦手なのは「気のせい」ではありません
夏の暑さをしのぐために欠かせないエアコンですが、**「冷気が苦手で体調が悪くなる」**と感じる方は少なくありません。
この症状は単なる「冷え性」や「好み」の問題ではなく、医学的に説明できる理由があります。
当院にも、「エアコンを使うと体がだるくなる」「職場の冷房で肩こりや頭痛がひどくなる」といったご相談が寄せられます。
この記事では、医師の視点からその原因と対策を解説します。
エアコンの冷気で体調不良を起こす主な原因
1. 自律神経の乱れ
冷気による急激な温度変化は、体温調節を担う自律神経に大きな負担をかけます。
特に室内外の温度差が5℃以上になると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、以下の症状が出やすくなります。
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全身のだるさ
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頭痛・めまい
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消化不良
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不眠
2. 冷房病(クーラー病)
長時間冷房の効いた環境にいると、体が冷え続け、体温調節機能が低下します。
血流が悪くなり、肩こり・腰痛・むくみなどの症状を引き起こします。
冷房病は特に、
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更年期の方
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冷え性体質の方
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長時間座り仕事の方
に多く見られます。
3. 筋肉・関節の冷え
冷風が首や肩、腰に直接当たると、筋肉がこわばり血流が悪化します。
これにより肩こり・背部痛・神経痛の悪化が起こることがあります。
4. 呼吸器への影響
冷たい空気を吸い続けることで、気道が収縮し、咳・喉の痛み・喘息症状が出る場合があります。
鼻炎やアレルギー体質の方は特に注意が必要です。
5. 消化器への影響
体の冷えにより内臓の血流が減少すると、胃腸の働きが低下します。
その結果、食欲不振・胃もたれ・腹痛・下痢などの症状が出やすくなります。
冷気による体調不良を防ぐための対策
室温と湿度の管理
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室温は**26〜28℃**を目安に設定
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室内外の温度差は5℃以内に抑える
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湿度は**50〜60%**を保つと快適
冷風を直接当てない
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風向きを上向きに設定
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座る位置を移動して冷風を避ける
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デスクワークではひざ掛けやカーディガンを活用
冷えた体を温める習慣
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温かい飲み物をこまめに摂る
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シャワーでなくぬるめの湯に浸かる
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就寝前に軽くストレッチを行い血流促進
外出時の工夫
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屋外と室内を行き来する際は、羽織物で温度差を調整
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帰宅後すぐに冷房に当たらず、徐々に室温を下げる
医療機関に相談すべき症状
以下のような症状が続く場合は、単なる冷えではなく自律神経失調症や他の疾患が背景にある可能性があります。
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強い倦怠感が1週間以上続く
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頻繁な頭痛やめまい
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夜眠れない・動悸がある
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消化器症状(腹痛・下痢)が慢性化
西洋医学的治療
自律神経を整える薬
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トフィソパム(グランダキシン®)
→ 自律神経のバランスを整え、だるさ・頭痛・消化不良を軽減 -
必要に応じて、緊張時の動悸・冷えを抑える**β遮断薬(プロプラノロールなど)**を短期間使用
症状別の対症療法
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肩こり・頭痛 → 鎮痛薬や筋弛緩薬
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消化器症状 → 胃腸薬(整腸剤、消化促進薬など)
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むくみ → 循環改善薬やビタミンB群
漢方による体質改善
冷えの感じ方や伴う症状により、体質に合った処方を選びます。
漢方薬 | 適したタイプ | 主な効果 |
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当帰芍薬散 | 冷え性・むくみ・疲れやすい | 血流と水分代謝を改善 |
防已黄耆湯 | 冷え+多汗・だるさ | 体の防御力UP・むくみ軽減 |
真武湯 | 下痢・冷え・胃腸虚弱 | 内臓の冷えを改善 |
加味逍遥散 | ストレス・情緒不安定 | 自律神経安定・肩こり改善 |
五苓散 | むくみ・頭重感 | 余分な水分排出 |
五積散 | 冷え+胃腸不良+肩こり、腰痛 | 冷え・血流・水分代謝を総合改善 |
当院での対応
きだ内科クリニックでは、
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生活習慣・室内環境の改善指導
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自律神経調整薬や漢方薬の処方
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必要に応じた対症療法
を組み合わせ、患者さん一人ひとりの体質・症状に合わせた治療を行います。
きだ内科クリニックでできること
当院では、エアコンの冷気による体調不良について、
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自律神経バランスの評価
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栄養・生活習慣の改善指導
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必要に応じた漢方薬や内服薬の処方
などを行っています。
冷房による不調は、日常の工夫と適切な治療で改善できます。
「エアコンが苦手で夏がつらい」と感じる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
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エアコンの冷気が苦手な症状は医学的に説明できる
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自律神経の乱れ、冷房病、血流障害、呼吸器・消化器への影響が関与
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室温・湿度の調整や生活習慣の工夫で予防可能
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改善しない場合は医療機関での評価が必要