月経困難症の疑問にお答えします
月経困難症でお悩みの方は多くいらっしゃいます。生理周期に伴う腹痛や便通異常を主訴として当院を受診される方も少なくありません。
当院では、下痢や便秘に対して整腸剤や緩下剤を処方し、腹痛には芍薬甘草湯などの漢方薬や鎮痛剤を使用して対応しています。しかし、症状が重い場合や専門的な診断・治療が必要と判断される場合は、産婦人科の受診をお勧めすることがあります。以下の情報をご参考になさってください
月経困難症とは、生理期間中に起こる様々な不快な症状を指します。代表的な症状として下腹部痛や腰痛がありますが、これに加えて吐き気・嘔吐、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、下痢、便秘、イライラ、抑うつなどが生じることがあります。症状は生理の直前または開始とともに現れ、生理の終了前または終了とともに消失することが特徴です。
月経困難症の種類
月経困難症は以下の2種類に分類されます。
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機能性月経困難症
- 原因: 病気が原因ではなく、生理に伴って増加するプロスタグランジンという物質が通常よりも多いことが原因とされています。
- 対象: 特に10歳代の若い女性に多く見られます。
- 治療: 鎮痛剤、ピル、漢方薬(当帰芍薬散、桂皮茯苓丸、加味逍遥散など)を用いた治療が中心です。
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器質性月経困難症
- 原因: 子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が存在します。
- 好発年齢:
- 子宮内膜症:20~30歳代
- 子宮筋腫:30~40歳代
- 子宮腺筋症:30歳代後半以降
- 治療: 原因となる病気の治療が必要です。鎮痛剤やピル、漢方薬、GnRH療法なども有効ですが、根治には手術が選択されることもあります。
診断と検査
月経困難症の診断は、詳細な問診を基に行われます。次に内診や経腟超音波検査を行い、病気の有無を調べます。初交前などで内診が難しい場合には、経腹超音波検査やMRI検査が代用されます。
治療法
治療法は、機能性と器質性によって異なります。
- 機能性月経困難症: 鎮痛剤やピル、漢方薬を用いて症状をコントロールします。鎮痛剤で改善されない場合や重い症状の場合にはピルが用いられます。
- 器質性月経困難症: 原因となる病気の治療が中心となりますが、症状の軽減や病気の進行抑制には鎮痛剤やピル、漢方薬、GnRH療法が用いられます。根治には手術も選択肢に含まれます。
早めの受診の重要性
月経困難症の多くは機能性ですが、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症といった病気が潜んでいる可能性もあります。症状が日常生活に支障をきたす場合は、生活の質(QOL)を向上させるためにも婦人科を受診することが推奨されます。
月経困難症は、個々の症状や原因によって適切な治療が必要となりますので、専門医に相談することが重要です。