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【医師が解説】プール熱(咽頭結膜熱)とは?大人も注意すべき症状・原因・治療・予防法まで徹底解説

[2025.05.08]

【医師が解説】プール熱(咽頭結膜熱)とは?大人も注意すべき症状・原因・治療・予防法まで徹底解説

こんにちは、きだ内科クリニックです。
当院は呼吸器疾患や小児科の専門ではありませんが、感染力が非常に強く、近年再び注目されている「プール熱(咽頭結膜熱)」について、自学・情報提供のためにまとめました。

「子どもの病気」と思われがちなプール熱ですが、大人にも感染し、高熱やのどの痛み、目の症状などを引き起こすことがあります。
この記事では、プール熱の原因、主な症状、大人への影響、感染経路、出席・出勤のルール、治療・予防方法まで、知っておくべき情報をわかりやすく解説します。


プール熱(咽頭結膜熱)とは?|夏に多い「三大症状」を引き起こす感染症

プール熱とは、アデノウイルスによって引き起こされる感染症で、正式には「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」と呼ばれます。
夏に流行のピークを迎えることが多いため、**“夏風邪の代表格”**として知られていますが、冬など季節を問わず流行することもあります。

主に子ども同士の集団生活で感染が広がりやすい病気ですが、大人も感染する可能性があり、特に家庭や保育現場で注意が必要です。


原因ウイルスは「アデノウイルス」

プール熱の原因となるのはアデノウイルスです。
このウイルスには現在67種類以上の型が報告されており、3型を中心に、2型・4型・7型・11型・14型などが咽頭結膜熱の原因となります。

アデノウイルスは非常に感染力が強く、環境にも強いウイルスであり、手指や物品を介して広がりやすいことが特徴です。


プール熱の主な症状|三大症状とその他の症状

潜伏期間

感染後5~7日程度の潜伏期間を経て発症します。

典型的な症状(3大症状):

  1. 38〜40℃の高熱(4~5日続くことも)

  2. のどの痛み・咽頭炎(赤み・腫れ・飲み込みづらさ)

  3. 結膜炎による目の充血や目やに(片目から始まり、両目に広がる)

その他の症状には以下も含まれます:

  • 頭痛、悪寒、食欲不振、腹痛、下痢、嘔吐

  • 鼻水、咳、首のリンパ節の腫れ

  • 大人では目の症状が軽いか、出ないこともあります


感染経路|非常に感染力が強いのが特徴

● 主な感染経路

  • 飛沫感染:咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む

  • 接触感染:ウイルスのついたタオル、ドアノブ、食器などを介して

プール熱」という名前は、かつてプールを介した集団感染が多かったことに由来しますが、現在ではプール以外での感染が主流です。

● 注意点

  • 喉からは1~2週間、便からは1か月以上ウイルスが排出される

  • 症状がなくなっても感染源となることがあるため、手洗いや消毒が重要


診断方法|迅速検査も可能

医師は、発熱・のどの赤み・目の充血の3つの症状と流行状況から診断します。
確定診断には以下の方法があります:

  • 迅速抗原検査(喉やまぶたを綿棒でこすり、15分程度で判定)

  • 血液検査(抗体の有無を確認)

  • PCR検査(必要に応じて)


治療法|特効薬はなく、対症療法が中心

アデノウイルスに対する特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が基本です。

● よく使われる治療法:

  • 解熱剤(熱が高い場合)

  • 喉の痛みに対する消炎鎮痛剤

  • 脱水予防のためのこまめな水分補給(経口補水液など)

  • 目の症状が強い場合は、眼科での点眼薬治療

  • 食事はのどに優しいもの(豆腐、ゼリー、冷製スープなど)


大人がかかった場合の特徴

  • 目の症状が目立たないことが多い

  • 高熱やのどの痛みで仕事や日常生活に支障が出ることも

  • 家族内感染が多く、子ども→大人にうつるケースが増加中


重症化するケースは?

ほとんどの場合は自然に回復しますが、以下のような方は重症化するリスクがあります:

  • 乳幼児

  • 心肺機能が弱い方

  • 免疫力が低下している方

  • アデノウイルス7型による感染では、肺炎や呼吸障害、二次感染のリスクも

※高熱が続く・呼吸が苦しい・元気がないなどの症状がある場合は、すぐに医療機関へ


出席停止・出勤停止の目安

● 学校・保育園

咽頭結膜熱は、学校保健安全法で定められた第二種感染症です。

  • 主要な症状が消えてから2日経過するまで出席停止

  • 症状が軽くても、ウイルス排出期間中は注意が必要

● 大人の場合

明確な出勤停止の法律はありませんが、症状が消えてから2日程度は出勤を控えるのが望ましいとされています。


プール熱の予防法|ワクチンはありません

有効な予防法は次の通り:

  • こまめな手洗い(石けん+流水)

  • 咳エチケット・マスク着用

  • ドアノブやおもちゃ、共有タオルの定期的な消毒(次亜塩素酸など)

  • プールの後は目と体を洗い流す

  • 感染者の排泄物を扱うときは特に注意

※アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいため、物理的除去と塩素系消毒が有効です。


まとめ|プール熱は正しい知識と予防で防げる感染症です

  • プール熱(咽頭結膜熱)は子どもに多い夏風邪の一種ですが、大人にも感染・発症の可能性があります

  • 感染力が非常に強く、症状消失後もウイルス排出が続くため、家庭内感染・集団感染に注意が必要です。

  • 特効薬はなく、早めの受診と丁寧な対症療法が回復への近道です。

  • ワクチンは存在しないため、手洗い・消毒・マスク着用が最大の予防策となります。

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