【医師が解説】大人も注意!RSウイルス感染症の症状・感染経路・重症化リスク・予防法を徹底解説
【医師が解説】大人も注意!RSウイルス感染症の症状・感染経路・重症化リスク・予防法を徹底解説
こんにちは、きだ内科クリニックです。
当院は呼吸器疾患を専門としていませんが、**感染力が強く、近年注目されている「RSウイルス感染症」**について、医師の視点でわかりやすくまとめました。
RSウイルス(RSV)は、乳幼児に多い感染症として知られていますが、大人も何度でも感染しうるウイルスです。特に高齢者や基礎疾患を持つ方は重症化のリスクが高く、注意が必要です。
RSウイルスとは?|大人も繰り返し感染する呼吸器ウイルス
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、急性呼吸器感染症を引き起こすウイルスであり、年齢に関係なく一生のうちに何度も感染する可能性があるとされています。
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乳幼児では細気管支炎や肺炎を引き起こすことが多く、
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大人では軽い風邪症状で済む場合が多い一方で、高齢者や慢性疾患のある方では重症化するリスクもあります。
感染経路と潜伏期間|家庭内感染が多い
● 主な感染経路:
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飛沫感染:咳やくしゃみによる飛沫を吸い込む
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接触感染:ウイルスが付着した手や物に触れたあと、目・鼻・口の粘膜を触ることで感染
※空気感染はしないと考えられています。
● 感染しやすい場面:
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子どもと同居している家庭内
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保育園・高齢者施設・医療現場などの集団生活環境
● 潜伏期間:
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通常4~6日間
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稀に2~8日間の報告もあり
大人のRSウイルス感染症の症状
症状は年齢や基礎疾患の有無で異なります。
● 若年成人の場合:
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鼻水・鼻づまり(最も多い症状)
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咳
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軽度の発熱
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倦怠感、息切れ(まれに長引くことも)
● 高齢者の場合:
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咳(90〜97%)
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鼻漏・鼻づまり(67〜92%)
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喀痰、声枯れ、呼吸困難
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発熱は少なめ(20~56%)
● 基礎疾患・免疫不全のある方:
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咳、発熱、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)
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呼吸困難、肺炎、気管支炎への進行
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X線での肺の異常影
● 特に注意すべき症状:
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陥没呼吸(胸がへこむような呼吸)
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呼吸数の増加(特に子どもでは目安30回/分以上)
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顔色や唇が紫がかる(チアノーゼ)
これらの症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。
RSウイルスで重症化しやすい人とは?
以下に該当する方は重症化リスクが高く、特に注意が必要です:
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65歳以上の高齢者
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COPD、喘息、心疾患などの基礎疾患がある人
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糖尿病の方
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免疫力が低下している方(HIV、抗がん剤、ステロイド使用者など)
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初感染の成人
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保育士や医療従事者などウイルスに多く曝露する人
RSウイルスの検査・診断はされるの?
● 診断方法:
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抗原迅速検査(一般的だが、成人では感度が低い)
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PCR法・血清学的検査(自費で対応する医療機関もあり)
大人の場合、確定診断が治療方針に大きく影響しないことから、流行時期や症状からの総合判断で診療されることが多いです。
治療法|基本は風邪と同じ対症療法
現在、RSウイルスに有効な特効薬はありません。
● 対応方法:
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咳止め・去痰薬・解熱鎮痛剤の使用
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症状に応じて吸入薬や気管支拡張薬
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水分補給、十分な休養
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重症例では入院・酸素投与・点滴治療
※乳児には「パリビズマブ」という予防薬がありますが、大人には使われません。
RSウイルスに感染したら出勤は?出席停止のルールは?
RSウイルス感染症は、法律による出席・出勤停止義務はありません。
ただし、感染力が強いため、以下を目安に行動しましょう:
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発熱や強い咳が治まってから出勤・登園・登校
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高齢者や乳幼児がいる職場では配慮が必要
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体調が悪い間は無理をせず、自宅で安静に
RSウイルスの予防法|基本対策がカギ
● 有効な予防策:
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石けんによる手洗い・うがい
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マスクの着用
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ドアノブ・おもちゃのこまめな消毒
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感染者との濃厚接触を避ける
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換気を心がける
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免疫力を保つ生活(睡眠・栄養・ストレス対策)
高齢者向けRSウイルスワクチンが登場(2024年)
2024年から、60歳以上の高齢者や基礎疾患のある方を対象にRSウイルスワクチンの接種が可能になりました。
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ワクチン名:アレックスビー/アブリスボ
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重症化を防ぐ効果が期待されており、接種は任意(自費)
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接種を希望する方は医師に相談を
まとめ|大人のRSウイルス感染症で知っておくべきこと
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RSウイルスは乳児だけでなく、大人にも感染するウイルス
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多くは風邪程度の軽症で済むが、高齢者・基礎疾患のある人は重症化の恐れ
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感染力が非常に強く、家庭内感染が多い
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治療は対症療法が中心。早めの受診が重症化防止のカギ
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日常の手洗い・マスク・換気・ワクチン接種が予防の基本