生理中でも大腸カメラは受けられる?鎮静剤・ナプキン・延期の目安を医師が解説
大腸カメラの予約日と生理が重なってしまうと、「検査ができるのか」「結果に影響しないか」と不安になる方は多いですが、結論からいうと、生理中でも大腸カメラは原則として受けられます。月経による出血が大腸の検査精度を低下させることは通常ありません。ただし、体調によっては延期を検討すべきケースもあります。
生理中でも大腸カメラが受けられる理由
大腸カメラは肛門から内視鏡を挿入して大腸内部を観察する検査ですが、経血は膣から排出されます。解剖学的に大腸の通り道と経血の通り道は全く別であるため、経血がカメラの視野を妨げることはありません。
そのため、生理中であってもポリープの発見や炎症の診断精度が落ちることはなく、基本的には予定通りに検査を実施することが可能です。
生理中の鎮静剤使用について
生理中であることを理由に鎮静剤を避ける必要はない
生理中であっても、当日の体調に問題がなければ鎮静剤を使用して検査を受けられます。鎮静剤を使用することで、検査時の不安や痛み、不快感を軽減し、リラックスした状態で検査を受けられるメリットがあります。
ただし、薬の効き方には個人差があるため、完全に眠れるわけではない点に注意が必要です。
鎮静剤使用前の確認事項
鎮静剤には血圧低下などの副作用が生じる可能性があるため、安全管理のために以下の項目に該当する場合は、事前に医師や看護師へ伝えてください。
- 経血量が非常に多く、貧血気味である
- ふらつき、動悸、息切れなどの自覚症状がある
- 過去に鎮静剤や麻酔で具合が悪くなったことがある
- 現在、生理痛の薬や持病の薬を服用している
なお、鎮静剤を使用した当日は、自転車や自動車の運転は禁止されています。
検査当日の適切な服装
大腸カメラでは専用の検査着に着替えます。前処置(下剤の服用)で頻繁にトイレに行く必要があるため、着脱しやすく締め付けの少ない服装が推奨されます。
| おすすめの服装 | 避けたほうがよい服装 |
|---|---|
| 上下が分かれた服、ウエストゴムのパンツ | ワンピース、サロペット |
| ゆとりのあるスカート、着脱しやすい靴 | 補整下着、脱ぎ着に時間がかかる服 |
万一の経血漏れに備えて、替えの下着を持参しておくと安心です。
タンポン・ナプキン・月経カップの取り扱い
タンポンの使用
タンポンは大腸カメラの経路とは異なる膣内に装着するため、装着したまま検査を受けられる医療機関がほとんどです。長時間使用にならないよう、検査前後に交換する準備をしておきましょう。
ナプキンの使用
ナプキンを使用している場合、検査直前に外すよう指示されることが一般的ですが、施設によっては検査用パンツにナプキンを付けて対応できる場合もあります。看護師の指示に従いましょう。
月経カップの使用
月経カップについても解剖学的な干渉はありませんが、検査中の体位や衛生管理の観点から取り外しを求められる場合があります。必ず事前に受診先へ確認してください。
医療スタッフへ生理中であることを伝えるメリット
生理中であることをスタッフに伝えておくことで、心理的な安心感につながるだけでなく、適切な配慮を受けやすくなります。具体的には以下の対応が可能です。
- 生理用品を交換するタイミングの案内
- 経血漏れを防ぐための吸水シートやタオルの準備
- 生理痛や貧血症状に合わせた体調管理の強化
医療スタッフは生理中の対応に慣れているため、恥ずかしがらずに相談してください。
大腸カメラの延期を相談すべき4つの目安
医学的に検査が可能であっても、無理は禁物です。以下の症状がある場合は、延期を含め医療機関へ相談してください。
-
生理痛が非常に強い場合
起き上がれないほどの痛みや、吐き気・嘔吐を伴う場合は無理をせず相談しましょう。 -
経血量が異常に多い場合
1〜2時間ごとにナプキンを交換するような過多月経の状態では、前処置の下剤服用が大きな負担となります。 -
貧血症状(ふらつき・息切れ)がある場合
鉄欠乏性貧血による体調不良がある中で下剤を使用すると、脱水や血圧低下を招く恐れがあります。 -
前処置の下剤が飲めない場合
激しい腹痛や嘔吐で下剤が服用できないと、大腸をきれいにできず、正確な検査が行えません。
生理痛の薬(鎮痛剤)の服用について
生理痛の薬を飲んでいる場合は、必ずお薬手帳を持参するか、以下の情報をスタッフに共有してください。薬の種類によっては、ポリープ切除時の出血リスクを考慮して調整が必要な場合があります。
| 確認項目 | 薬の商品名、服用した量、服用した時刻 |
|---|---|
| 常用性 | 毎月使用しているか、今回のみの服用か |
| 他の薬との兼ね合い | 血液をサラサラにする薬などを併用していないか |
便潜血検査は生理中を避ける
大腸カメラと異なり、便潜血検査(検便)は生理中に行ってはいけません。経血が混入することで、大腸の病気がなくても陽性(判定エラー)になってしまうためです。採便は生理が終わってから数日後に行うのが基本です。
生理中の大腸カメラ持ち物チェックリスト
当日は通常の持ち物に加え、以下の準備をしておくとスムーズです。
- 替えのナプキン、タンポン、ショーツ
- 生理用品を入れるためのエチケット袋
- お薬手帳(生理痛の薬などを確認するため)
- ウェットティッシュ
よくある質問
生理初日や2日目でも受けられますか?
体調に問題がなければ可能です。ただし、出血量や痛みがピークの時期で辛い場合は、事前にクリニックへ相談しましょう。
検査中に経血が漏れたらどうなりますか?
医療スタッフが適切にクリーニングやシートの交換を行います。医療現場ではよくあることですので、過度に心配する必要はありません。
生理中に鎮静剤を使うと経血量が増えますか?
鎮静剤自体が原因で経血量が増えることは通常ありません。ただし、貧血がある場合は副作用が出やすくなるため注意が必要です。
まとめ
生理中でも大腸カメラは原則として受けられます。経血が検査結果に悪影響を与えることはありませんので、生理を理由に自己判断でキャンセルせず、まずは医療機関へ相談してみましょう。
ただし、生理痛や貧血がひどい場合は体への負担が大きくなるため、無理をせずに日程を調整することが大切です。スタッフのサポートを受けながら、安心して検査に臨んでください。
執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)
