高濃度ビタミンC点滴療法をご希望の方へ – 治療内容と注意点のご案内
高濃度ビタミンC点滴療法をお考えの方へ
この度は、きだ内科クリニックの「高濃度ビタミンC点滴療法」にご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
当院では、がん治療の補助や健康維持、美容目的として、高濃度ビタミンC点滴療法を提供しております。安心して治療を受けていただくために、内容や注意点について詳しくご案内いたします。
高濃度ビタミンC点滴療法とは
高濃度ビタミンC点滴療法は、1回あたり25g以上の高濃度ビタミンCを点滴により直接血管内に投与する治療法です。
通常の食事やサプリメントからでは、十分な血中濃度に達することが難しいため、点滴で体内に直接届けることで、より高濃度かつ効率的な作用が期待できます。
この療法は、アメリカではがんの補完療法として広く研究され、現在では日本国内でもがん治療や健康管理、美容の目的で用いられるようになっています。
がん治療におけるメカニズム
高濃度ビタミンCには、以下のような抗がん作用があるとされています。
-
選択的にがん細胞を攻撃
ビタミンCが体内で酸化されると、過酸化水素が発生します。正常細胞は過酸化水素を分解する酵素(カタラーゼ)を持っているため影響を受けにくい一方、がん細胞はこの酵素が少なく、過酸化水素によって死滅しやすいと考えられています。 -
免疫力の向上
ビタミンCは免疫細胞の活性を高め、体の防御機能をサポートします。 -
インターフェロンの生成促進
抗がん作用を持つインターフェロンの生成を助ける可能性があります。 -
新生血管の抑制
がん細胞が栄養供給のために作る新しい血管の成長を妨げる働きがあると考えられています。 -
糖の取り込みを阻害
がん細胞が糖を取り込む代わりにビタミンCを取り込むことで、がんの成長が抑制される可能性があります。
期待される効果
高濃度ビタミンC点滴は、がん治療の補助としてだけでなく、次のような効果も期待されています。
-
QOL(生活の質)の改善
痛み・倦怠感・食欲不振・不眠などの緩和 -
抗がん剤や放射線治療の副作用軽減
吐き気、貧血、脱毛などの軽減 -
免疫力の向上
風邪や感染症の予防 -
疲労回復・抗ストレス
ストレスによるビタミンCの消耗を補い、回復を促進 -
美肌効果
シミ・そばかす・肌荒れの改善、ハリのある肌へ -
動脈硬化の予防
コレステロールの排出を助け、血管の健康を維持
治療の流れと頻度
患者様の体調や目的に応じて、投与量や頻度を調整いたします。
-
初回診察
医師による診察とG6PD酵素活性検査(副作用リスクを事前に評価)を行います。 -
点滴開始
G6PD検査の結果を確認後、25gから点滴を開始。副作用の有無を確認しながら、必要に応じて50g以上に増量します。※ G6PD検査の結果が分かるのは約1週間後のため、それまでは12.5gの点滴となります。 -
点滴時間
通常、1〜2時間程度です。 -
頻度の目安
- がん治療の補助: 週2回程度
- がん予防: 月1回程度
- 美容・健康目的: 2週間に1回~月1回程度
最適な頻度や期間については、医師とご相談ください。
注意事項
以下に該当する方は、治療を受けられない、または注意が必要です。
-
G6PD欠損症の方:溶血のリスクがあるため、治療不可
-
腎機能に障害がある方・透析中の方:要相談
-
心不全・腹水・高度のむくみがある方:病状悪化の恐れあり
-
インスリン使用中の糖尿病の方:点滴後、簡易血糖測定器で一時的に高値が出ることがあります(※自己判断でインスリン調整はしないでください)
-
一部の薬剤を使用中の方(例:メトトレキサート、ベルケイドなど):併用に注意が必要
また、点滴前は軽食をとるようにし、空腹での施行は避けてください。
点滴中は利尿作用による脱水を防ぐため、こまめな水分補給をお願いいたします。
施術後は激しい運動や長時間の入浴は避け、安静にお過ごしください。
想定される副作用
比較的安全な治療法ですが、まれに以下のような副作用がみられることがあります。
-
点滴部の痛みや血管痛
-
喉の渇き(利尿作用による)
-
低カルシウム血症(けいれん・しびれ)
-
低血糖(空腹時に起こりやすい)
-
血糖測定値の一時的上昇(糖尿病患者)
-
発疹などのアレルギー反応
-
吐き気、頭痛、眠気、だるさ
-
非常にまれですが、尿路結石や皮下出血など
不快な症状が出た場合は、すぐにスタッフにお申し付けください。
◆ 当院が採用しているビタミンC製剤
柳澤厚生会長監修 国産・高品質ビタミンC製剤を使用
当院では、**点滴療法研究会の柳澤厚生会長が監修した、国内産・防腐剤無添加の高濃度ビタミンC製剤(1本25g)**を使用しています。
この製剤は、高濃度点滴に適した国内製の安全性が高い注射薬であり、一般的に流通している国産のビタミンC製剤(1本2g・防腐剤添加)とは異なります。
● なぜ防腐剤無添加が重要なのか?
高濃度ビタミンC点滴療法では、25g〜50g以上のビタミンCを一度に投与します。
そのため、防腐剤を含んだ製剤を複数本使用することは、体への負担や安全性の面で大きな問題となります。
実際に、現在でも防腐剤入りの製剤を使用している医療機関もありますが、きだ内科クリニックでは、患者様の安心と安全を最優先に考え、防腐剤不使用の製剤のみを厳選しております。
◆事前にG6PD活性の定量検査が必要です
高濃度ビタミンC点滴療法を安全に行うためには、G6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)活性の事前検査が必須です。
G6PDは赤血球の安定に関わる酵素であり、活性が低い方に高用量のビタミンCを投与すると、溶血(赤血球が壊れる)を引き起こす可能性があります。
日本人でも約0.1~0.5%の割合で、G6PD活性が低い方(G6PD欠損症・低下症)が存在すると報告されています。
このような方が50g以上の高濃度ビタミンC点滴を受けた場合に溶血発作を起こすリスクがあるため、25gの継続投与でも注意が必要です。
そのため当院では、すべての患者様にG6PD活性を「定量検査」で測定させていただいております。
G6PD活性が低い方への対応
-
G6PD欠損症と診断された方は、高濃度ビタミンC点滴療法を受けることはできません。
-
G6PD活性が軽度低下している方についても、十分な安全管理のもと慎重な判断が必要となります。
(治療の可否は医師とご相談の上で決定いたします)
なぜ「定量検査」が必要なのか?
G6PD活性の検査には「定性検査」と「定量検査」の2種類がありますが、
点滴療法研究会の国際基準(リオルダンプロトコル)では、より精密な
➡️ 「定量検査(数値で正確に測定)」を推奨しています。
当院ではこの基準に則り、株式会社リバース IVC分析センターと連携した信頼性の高い定量検査を採用しています。
同センターは、日本国内でも最も多くのG6PD検査実績と豊富な統計データを有し、大学の研究施設からも検査委託を受けている検査機関です
よくあるご質問(FAQ)
Q:保険は適用されますか?
A:自由診療のため、保険は適用されません。
Q:抗がん剤や放射線治療と併用できますか?
A:はい、併用は可能です。副作用の軽減や治療効果の相乗効果が期待できますが、必ず主治医とご相談ください。
Q:どのくらいの期間治療を続けますか?
A:患者様の目的や体調により異なります。医師と相談しながら決定していきます。
Q:効果はすぐに実感できますか?
A:個人差はありますが、疲労回復などの効果は比較的早く感じられる場合があります。がんへの効果は継続的な評価が必要です。
ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
皆さまの健康を支えるパートナーとして、安心・安全な医療を提供してまいります。
きだ内科クリニック