【医師が解説】デブ菌・ヤセ菌の正体とは?日本人に本当に必要な「痩せ菌」を増やす方法
デブ菌とヤセ菌とは何か?腸内細菌から考える本当に痩せやすい体の作り方
「デブ菌」「痩せ菌」は、腸内細菌(腸内フローラ)を“体型に直結する菌”みたいに呼んだ俗称です。結論から言うと、「これさえ増やせば痩せる」という単独の“痩せ菌”は確定していません。ただし、腸内細菌は代謝・炎症・食欲関連ホルモンなどに関わるので、“痩せやすい状態に寄与しやすい腸内環境”を作ることは現実的に狙えます。
デブ菌・痩せ菌って何?
日本のメディアや腸活系の文脈ではよく、
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デブ菌:Firmicutes(ファーミキューテス)門が多い
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痩せ菌:Bacteroidetes(バクテロイデーテス)門が多い
…のように説明されがちです。
ただ、この説明には注意点があります。
注意点1:それぞれ「門」=大きすぎる分類
FirmicutesもBacteroidetesも、**中にいろんな性質の菌が大量に含まれる“大分類”**なので、「Firmicutes=太る」とは言い切れません。
注意点2:Firmicutes/Bacteroidetes比(F/B比)は研究結果が一貫しない
昔は「肥満の人はFirmicutesが多くBacteroidetesが少ない」という話が広まりましたが、近年のメタ解析では研究ごとの違い(食事、地域、解析手法など)の影響が大きく、F/B比だけで肥満を説明するのは難しいとされています。
一般向けにも「でぶ菌・やせ菌の単純な結びつけは見直された」という解説があります。
“痩せ菌っぽい”と研究で言及されやすい菌(例)
「痩せ菌」というより、代謝に良い方向へ働く可能性がある菌として研究されやすいものです。
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Akkermansia muciniphila(アッカーマンシア)
過体重/肥満の成人で、3か月の補給(生菌/加熱処理菌)が安全で、インスリン感受性など代謝指標の改善が報告された試験があります(体重変化は“主目的として劇的”ではない点が大事)。
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Christensenellaceae / Christensenella(クリステンセネラ系)
観察研究で「痩せている人に多い」関連が報告され、動物研究では肥満由来の腸内細菌に加えると体重増加が抑えられた、などが示されています。
とはいえ、これらも「増やせば必ず痩せる」と断言できる段階ではなく、生活全体の中で“育ちやすい環境”を作るのが現実的です。
痩せ菌を増やす(=痩せやすい腸内環境を作る)方法
ポイントは 「菌を入れる」より「菌のエサと環境を整える」 です。
1) 食物繊維を増やす(最重要)
腸内細菌は食物繊維などを発酵して、短鎖脂肪酸(SCFA)など有益な代謝産物を作ります。
目安として、日本の「食事摂取基準(2025年版)」では食物繊維の目標量が示されています(例:成人女性は概ね18g以上、成人男性は概ね20〜22g以上など年齢で差)。
WHOも成人に**1日25g以上の“自然な食物繊維”**を推奨しています。
増やし方のコツ(続けやすい順)
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主食を 白米→雑穀/麦ごはん、食パン→全粒粉、麺→そば/全粒粉パスタへ
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豆類(納豆・豆腐・おから・レンズ豆)を週に何度も
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海藻・きのこ・野菜を毎食どれか入れる
※急に増やすとお腹が張るので、数日〜1週間単位で少しずつ+水分も増やすのがおすすめ
2) “レジスタントスターチ”を取り入れる
消化されにくいでんぷん(レジスタントスターチ)は腸内細菌のエサになりやすく、腸内環境に影響します。
また、レジスタントスターチ摂取と体重変化・腸内細菌の関係を示す研究報告もあります。
食品例
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冷ましてから食べる:ごはん、じゃがいも、さつまいも、パスタ
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オートミール
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青めのバナナ など
3) 発酵食品を「毎日少量」
発酵食品を多めにした食事で、腸内細菌の多様性が増えて炎症関連の指標が下がったという10週間の介入研究があります。
例(続けやすいもの)
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ヨーグルト、ケフィア
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キムチ、ぬか漬け
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納豆、味噌 など
※塩分が多いもの(漬物など)は量に注意
4) ポリフェノール(色の濃い植物)を増やす
食物繊維やポリフェノールが多い食事は、短鎖脂肪酸を作る菌(例:Faecalibacterium、Roseburia、Blautiaなど)を増やしうる、というレビューもあります。
例
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ベリー類、カカオ、緑茶、コーヒー
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ナッツ類 など
5) 超加工食品(UPF)を減らす
超加工食品の摂取が腸内細菌や腸管バリアに悪影響を与えうる、という研究のまとめ(レビュー)があります。
「痩せ菌を増やす」より、まず腸内環境を荒らしやすい要因を減らすのが効きやすいことが多いです。
6) 抗生物質は“必要なときだけ”、その後は食事で立て直す
抗生物質は腸内細菌の多様性を一時的に落としうる、という解説やレビューがあります。
自己判断で避けるのではなく、処方されたら指示通り。その上で、回復期は上の「繊維+発酵食品」を丁寧に。
7) 睡眠・ストレス・運動も“補助輪”になる
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睡眠不足が腸内細菌に影響しうる、というレビューがあります。
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運動は腸内細菌への影響が示唆される一方、ヒト研究では効果が一貫しない面もある、という系統的レビューがあります。
→ だからこそ、食事が主役で、生活習慣は底上げという位置づけが現実的です。
今日からできる「1日の例」(無理しない版)
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朝:オートミール or 麦ごはん+ヨーグルト+バナナ(青めだとさらに◎)
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昼:定食なら「ごはん少し減らす」より 野菜・海藻・豆の小鉢を足す
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夜:味噌汁(きのこ/わかめ/豆腐)+魚 or 肉+野菜多め+納豆
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間食:ナッツ少量、無糖ヨーグルト、果物
よくある落とし穴
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「痩せ菌サプリだけ」で解決は期待しすぎになりやすい
(Akkermansiaのように研究はあるが、体重目的の“魔法”ではありません) -
食物繊維を急増 → ガス・腹痛・下痢/便秘悪化
→ 少しずつが正解 -
IBS(過敏性腸症候群)などがあると、合う食物繊維が人によって違うこともあります
① まず結論:ヤセ菌を増やす“最短ルート”
👉 「白い主食+単品おかず」をやめて
「発酵食品+水溶性食物繊維+冷ました炭水化物」を毎日入れる
これだけで 腸内環境は確実に“ヤセ菌優位”に傾きます。
② 1日の具体的モデル(完全コピペOK)
🌅 朝(腸を目覚めさせる)
おすすめ固定セット
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ヨーグルト 100〜150g
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バナナ 1/2本(できれば少し青め)
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はちみつ 小さじ1(なくてもOK)
👉 目的
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ビフィズス菌を増やす
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ヤセ菌(短鎖脂肪酸産生菌)が働きやすい土台作り
❌ NG
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菓子パン+コーヒーだけ
→ デブ菌が喜びやすい
🍱 昼(ヤセ菌の“エサ”を入れる)
定食を選ぶなら
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主食:
白米 → 麦ごはん or 雑穀ごはん -
必須追加:
✅ 小鉢1つ(海藻・豆・きのこ)
例
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わかめ酢
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冷奴
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ひじき煮
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納豆(最強)
👉 これだけでOK
量を減らすより「種類を足す」
🌙 夜(ヤセ菌を“育てる”時間)
最強の組み合わせ
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冷ましたご飯(茶碗軽め1杯)
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味噌汁(わかめ・きのこ・豆腐)
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メイン(魚 or 肉)
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納豆 or 漬物 少量
👉 理由
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冷ましたご飯 → レジスタントスターチ
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味噌・納豆 → 発酵菌
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海藻・きのこ → 水溶性食物繊維
= 短鎖脂肪酸が最大化
③ 量の目安(重要)
食物繊維の目標
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1日20g前後(日本人の現実ライン)
目安感覚👇
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海藻・きのこ:毎日どちらか
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野菜:両手1杯×2回
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豆類:1日1品
❌ いきなり30g以上 → お腹が張る
⭕ 3〜5日かけて徐々に
④ 「冷ます」テクニック(超重要)
やることは1つ
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ご飯は
👉 炊く → 茶碗によそう → 少し冷ます
冷蔵庫でなくてもOK。
人肌〜常温で十分効果あり。
※ 再加熱しても
👉 レジスタントスターチは“完全には戻らない”
⑤ 生活習慣で「デブ菌を減らす」
❌ 控えたいもの(優先度順)
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清涼飲料水・甘い缶コーヒー
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超加工食品(菓子パン、スナック)
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人工甘味料の多用
👉 「ゼロにしろ」ではない
👉 頻度を下げるだけでOK
⑥ よくある失敗パターン
❌ サプリだけ飲む
❌ 食事はそのまま
❌ 3日で結果を求める
👉 腸内細菌は
変化が見えるまで2〜4週間かかります。
⑦ 体感できる“成功サイン”
早い人で👇
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便のニオイが減る
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ガスが減る
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食後の眠気が減る
その後👇
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内臓脂肪が落ちやすくなる
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体重が「戻りにくく」なる
⑧ 忙しい人用・最低限ルール(超要約)
これだけ守ればOK👇
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朝:ヨーグルト
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夜:味噌汁
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毎日:海藻 or きのこ
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ご飯:少し冷ます
執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)
