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むくみ(浮腫)の原因とは?足・顔・片足の腫れを医学的に解説|危険サインと改善策

[2026.01.07]

むくみ(浮腫)とは?原因・見分け方・改善策・受診の目安を医学的に解説

 

 

むくみは医学的に**「浮腫(ふしゅ/edema)」と呼ばれ、皮膚の下(間質)に余分な水分がたまって腫れぼったく見える状態です。体の水分は血管・腎臓・リンパ系などが協力して一定に保っていますが、その“巡り”が乱れると、足・顔・手などにむくみが出てきます。
成人の体内水分は体重の
平均で約60%(体格や体脂肪で幅があります)**とされます。 

 

むくみ自体は「よくある症状」ですが、**心不全・腎臓病・肝臓病・血栓(DVT)**など、急いで対応が必要な病気のサインのこともあります。この記事では、むくみの仕組み、見分け方、危険サイン、セルフケア、病院での検査までを整理して解説します。

 

むくみが起こる4つのメカニズム(スターリングの原理の要点)

 

むくみは、ざっくり言うと**「血管内 ↔ 組織のすき間」**の水分移動のバランスが崩れて、組織側に水が“滞留”することで起こります。医学的には次の4つが基本パターンです。 

 

1)毛細血管の圧(静水圧)が上がる

血管の中の圧が高いと、水分が外へ押し出されます。代表例は心不全静脈うっ滞(慢性静脈不全)、**静脈の閉塞(DVTなど)**です。 

 

2)血液中のたんぱく(膠質浸透圧)が下がる

血液中のアルブミンなどが減ると、血管内へ水分を引き戻す力が弱まり、外にしみ出しやすくなります。ネフローゼ症候群肝機能低下、栄養障害などが関連します。 

 

3)血管の“漏れやすさ”(透過性)が上がる

炎症やアレルギーなどで血管が漏れやすくなると、液体が組織へ移動しやすくなります。 

 

4)リンパの回収がうまくいかない(リンパうっ滞)

リンパ系は、血管から組織へ出た水分やたんぱく等を回収する“排水路”です。リンパ管が障害されると回収が滞り、リンパ浮腫につながります(手術・放射線・腫瘍などが原因になることがあります)。 

 

むくみの見分け方(原因を絞るコツ)

 

まずは「全身性」か「局所(片側)」か

  • 両足など左右対称に出やすい(全身性):心臓・腎臓・肝臓などの全身の問題や、薬の影響、体液量の変化が疑われます。 

  • 片足だけ、片腕だけなど局所的深部静脈血栓症(DVT)、感染(蜂窩織炎など)、リンパ浮腫、外傷などを優先して考えます。特に急に片脚が腫れたは要注意です。

 

また、体液量が増えるタイプのむくみは**重力の影響(dependent edema)**を受けやすく、立っている人は足に、寝ている人は背側に出やすいことがあります。 

 

次に「圧痕(あっこん)」が残るかをチェック

 

むくんだ部位を数秒押して、へこみ(dimple/pit)が残るかを見ます。

  • 圧痕性(pitting):押すとへこみが残る。心不全、静脈うっ滞、腎・肝疾患などでよくみられます。 

  • 非圧痕性(non-pitting):押しても戻りが早い/へこみが目立たない。慢性のリンパ浮腫などでみられやすいです(慢性化すると皮膚が硬く、線維化してくることがあります)。

 

※ただし、リンパ浮腫は初期に圧痕性のこともあるため、「圧痕がある=リンパ浮腫ではない」とは言い切れません。 

 

よくある原因・病気別:むくみの特徴

 

生活習慣・体調変化で起こるむくみ(まず多い)

  • 長時間の立ちっぱなし/座りっぱなし

  • 塩分の摂りすぎ

  • 体重増加(肥満)

  • 妊娠・月経前(ホルモン変動) nhs.uk+1

このタイプは、一時的で、休息や工夫で軽くなることも多い一方、「いつもと違う」「長引く」「片側だけ」は別の原因を見に行く価値があります。

 

薬の副作用(意外に多い)

むくみは薬の影響で起こることがあります。例として、一部の血圧の薬、ステロイド、ホルモン薬などが挙げられています。 


また、カルシウム拮抗薬の開始後に急なむくみが起こることがある、という臨床的な指摘もあります。

 

※自己判断で薬を中止せず、処方元に相談してください。 

 

心臓が原因(心不全など)

 

心臓のポンプ機能が落ちると、静脈側に血液がうっ滞し、足のむくみにつながることがあります。息切れ(労作時、横になると苦しい等)を伴うことが多いです。 

 

腎臓が原因(腎疾患/ネフローゼなど)

 

腎臓の問題で塩分・水分が体内にたまりやすくなったり、たんぱくが漏れて血中たんぱくが低下したりすると、むくみにつながります。腎疾患に関連するむくみは、脚だけでなく目の周りなどに出ることがあります。

 

肝臓が原因(肝硬変など)

 

肝機能低下でアルブミンが作れない、門脈圧が上がる、といった要因でむくみや腹水が出ることがあります。 

 

静脈の流れが悪い(慢性静脈不全)

 

足の静脈の弁機能低下などで血液が戻りにくいと、夕方に足がむくみやすくなります。

 

片足が急に腫れて痛い:深部静脈血栓症(DVT)に注意

 

72時間以内に起きた急な片脚の腫れは、DVTなどを疑う手がかりになります。 
DVTは血栓が肺に飛ぶと重篤化するため、急な片脚の腫れ+痛みなどは軽視しないでください。 

 

リンパ浮腫

 

リンパ管の閉塞・損傷により起こるむくみで、慢性化すると皮膚が硬く(線維化して)非圧痕性になっていくことがあります。治療は運動、圧迫、マッサージなどが中心で、完治は難しいが症状軽減・進行抑制が目標、という整理がされています。

 

受診の目安:危険サイン(今すぐ対応が必要なケース)

 

次のような症状があれば、早めの受診/救急要請を検討してください。

 

迷わず救急(呼吸・胸の症状)

  • 息苦しさ、呼吸困難

  • 胸の痛み・胸部圧迫感

  • 血痰(血を吐くような咳)

 

これらは肺塞栓症や肺水腫など緊急疾患の可能性があり、緊急対応が推奨されています。 

 

緊急度が高い「足のむくみ」

  • 原因不明で片足だけ腫れる

  • 突然、強い痛みを伴って腫れる

  • 腫れている部位が赤い・熱い/発熱がある 

 

妊娠中・産後のむくみで注意すべき症状

 

妊娠中のむくみはよくありますが、急に顔や手が腫れる、強い頭痛、視覚異常(チカチカ・かすむ)、みぞおち付近の痛み、嘔吐などは**妊娠高血圧腎症(pre-eclampsia)**の症状として挙げられています。該当する場合は速やかに医療者へ相談してください。 

 

自宅でできる「むくみ」対策(安全にできる範囲)

 

原因がはっきりしないむくみでも、次のようなケアは多くのケースで役立ちます(ただし痛みが強い・片側だけ・急激などは受診優先)。

 

今日からできるセルフケア

  • 可能な範囲で脚(むくんだ部位)を高くする

  • **軽い運動(歩行など)**で血流を促す

  • きつい靴下や靴を避け、足を清潔・保湿して皮膚トラブルを予防

  • 同じ姿勢を長時間続けない

 

食事で見直すポイント(むくみ改善の王道)

  • 塩分を控える(塩分は体液貯留を助長しやすい)

  • 体重管理(過体重はむくみを悪化させる一因になり得ます) 

 

圧迫(弾性ストッキング等)は“使い方”が重要

圧迫は、むくみ対策としてよく用いられます(医療機関では血栓後症候群予防などでも使われます)。 
ただし、足の血流障害がある場合などは注意が必要なことがあるため、持病がある人・痛みが強い人・しびれや冷感がある人は医療者に相談してからが安心です。 

 

病院では何をする?(検査・診断の流れ)

 

むくみの診療では、まずいつから/片側か両側か/姿勢で変わるか/薬の変更があったかなどを丁寧に確認します。急性(例:72時間未満)の片側腫脹はDVTなどを疑う材料になります。 

 

必要に応じて、以下の検査が組み合わされます。

  • 血液検査:心不全評価の指標(BNPなど)、腎機能(クレアチニン等)、肝機能、アルブミンなど

  • 尿検査:たんぱく尿の有無(腎疾患の手がかり)

  • 超音波(エコー):DVTが疑われる場合の第一選択(静脈エコー)

  • Dダイマー:低リスク例でDVT除外に用いることがある 

 

むくみは「体内の交通渋滞」:放置しないための考え方

 

むくみをイメージで捉えるなら、体内の交通渋滞です。

  • 道路(血管・静脈)が混む/戻りが悪い → 押し出されてたまる

  • 荷台の固定(血中たんぱく)が弱い → 水が外に漏れやすい

  • 道路が壊れて漏れる(炎症・アレルギー)

  • 排水路(リンパ)が詰まる → 回収できずにたまる 

「むくみ=水分の摂りすぎ」と決めつけず、どこで渋滞が起きているのかを見分けることが大切です。

 

よくある質問(むくみQ&A)

 

Q1. 夕方だけ足がむくむのは病気?
長時間の立位・座位や静脈うっ滞で夕方に目立つことがあります。一方で、心臓・腎臓・肝臓などの病気でも足のむくみは起こり得るので、長引く/息切れがある/悪化するなら相談が安心です。

 

Q2. 指で押すとへこむ(圧痕性)。危険?
圧痕性はむくみでよく見られる所見です。原因は幅広く、静脈うっ滞・心不全・低アルブミンなどで起こり得ます。片側だけ急に出た場合は早めに受診してください。 

 

Q3. 妊娠中のむくみは放っておいていい?
妊娠中のむくみはよくありますが、突然の顔・手の腫れ+頭痛や視覚異常などは要注意症状として挙げられています。迷ったら医療者へ連絡してください。 

 

Q4. むくみがあるとき、水分は控えるべき?
むくみの原因によって対応は異なります。自己判断で極端に水分制限すると別の不調につながることがあります。特に持病がある場合は、主治医の指示に従ってください(食塩の調整が重要になるケースは多いです)。 

 

まとめ:むくみで大切なのは「急変」「片側」「呼吸・胸の症状」を見逃さないこと

 

  • むくみ(浮腫)は、血管・たんぱく・炎症・リンパのバランスが崩れて起こる 

  • 両側か片側か、圧痕性かどうかで原因の方向性が見えてくる 

  • 息切れ・胸痛・血痰、原因不明の片脚の急な腫れは緊急度が高い 

  • 日常のむくみは、脚を上げる・軽い運動・塩分調整・同一姿勢を避けるなどが基本

 

執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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