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食べ物・異物による食道粘膜損傷とは?原因・症状・治療法を医師が徹底解説

[2025.10.17]

【医師監修】食べ物や異物による食道粘膜損傷とは?原因・症状・治療法を徹底解説

 

 

**食道粘膜損傷(逆流性食道炎を除く)**は、日常生活の中で誰にでも起こりうる食道のトラブルです。
本記事では、医学的ソースに基づき、原因・症状・治療法・注意点を分かりやすく解説します。

 

食道粘膜損傷とは?

 

食道は、口から胃へとつながる管状の臓器で、その内側は重層扁平上皮という強い粘膜で覆われています。
しかし、この粘膜も熱・化学物質・物理的刺激などによって容易に損傷を受けることがあります。
損傷の主な原因は次の5つに分類されます。

 

1. 異物や鋭い食べ物による損傷(食道異物・食道穿孔)

 

誤って食道内に異物が入った場合や、鋭い食べ物を飲み込んだ際に起こる損傷です。

主な原因

  • **魚骨・薬剤シート(PTPシート)**などの鋭利な異物の誤飲

  • 食物の塊や誤嚥(よく噛まずに飲み込む)

  • 子どもの誤飲、義歯の不適合、アルコール摂取後の誤嚥

  • 食道の3つの生理的狭窄部(喉・気管支部・横隔膜通過部)で詰まりやすい

症状

  • 喉の違和感や痛み

  • 飲み込みづらさ(嚥下困難)

  • 咳や嘔吐

  • 穿孔時は胸や背中の痛み・発熱・呼吸困難

治療

  • 内視鏡検査で異物の除去

  • 鋭利な異物ではオーバーチューブや透明フードを使用し安全に摘出

  • 穿孔疑いではCTや造影検査を行い、重症例では外科治療を検討

 

2. 熱い食べ物・飲み物による損傷(食道熱傷)

 

原因

70℃以上の高温食品が食道を通過すると、わずかな接触でも粘膜が炎症を起こします。
特に注意が必要なのがたこ焼き・おでん・グラタン・湯豆腐・熱いスープなど。
中でもたこ焼きは内部温度が100℃を超え、粘性が高く停滞しやすいため、食道熱傷の代表例です。

症状

  • 胸の痛み・つかえ感

  • 飲食時のしみる痛み

  • 数日後に胸焼けや発熱が出る場合も(遅延型症状)

治療・応急処置

  • 軽度なら自然軽快することも多いが、症状が強ければ内視鏡検査が推奨

  • 制酸薬・粘膜保護薬による対症療法

  • 直後の応急処置:冷水やぬるま湯で食道を冷やす

 

3. 化学薬品・薬剤による損傷(腐食性・薬剤性食道炎)

 

腐食性食道炎

強酸・強アルカリ(洗剤、漂白剤など)の誤飲によって生じます。
アルカリ性物質は組織深くまで溶解壊死を起こし、食道狭窄の原因になります。
酸性物質は表層に留まりやすいものの、重症例もあります。

禁忌事項

  • 催吐や胃洗浄は厳禁(再び粘膜損傷を起こす)

  • 中和処置も禁忌(発熱反応を起こす)

  • 緊急時はまず気道確保が最優先

薬剤性食道炎

錠剤を水なしで服用したり、服用直後に横になることで薬が食道に停滞して炎症を起こすもの。
特に抗生物質・鉄剤・ビスホスホネート系薬剤で起こりやすい。

症状と対応

  • 内服後数時間〜12時間以内に胸の痛み・不快感

  • 原因薬を中止し、制酸薬+粘膜保護薬を使用

 

4. 嘔吐による裂傷(マロリー・ワイス症候群)

 

激しい嘔吐により、食道下部から胃噴門部に縦方向の裂け目が生じ、出血を起こします。

主な原因

  • アルコールの過剰摂取後の嘔吐

  • 過食、咳、妊娠悪阻などでも発症

症状

  • 嘔吐後の吐血

  • 胸や腹の痛み

  • 大量出血時はショック状態に陥る危険も

 

5. アレルギーによる炎症(好酸球性食道炎)

 

**好酸球性食道炎(EoE)**は、アレルギー反応で好酸球が食道に集まり、慢性炎症を引き起こす疾患です。

特徴

  • 原因:食物アレルギー(牛乳・小麦・卵など)

  • 症状:食べ物のつかえ感・胸やけ・嚥下障害

  • 診断:胃カメラでの生検により好酸球浸潤を確認

  • 治療:PPI投与・ステロイド局所療法・除去食療法

 

🔥【特集】たこ焼きによる食道熱傷の実態

 

なぜたこ焼きでやけどする?

  • 内部温度が100℃以上

  • 粘性が高く食道に付着・停滞しやすい

  • 食道粘膜は70℃で炎症を起こすほどデリケート

症状と治療

  • 強い胸の痛み、つかえ感、吐き気

  • 数日後に胸焼けや発熱を伴うことも

  • 制酸薬・粘膜保護薬で治療、多くは数日で軽快

予防法

  • よく冷ます・小さく切る・よく噛む」を徹底

  • 熱傷直後は冷水で口腔・食道を冷やす

 

まとめ:食道の損傷は早期対応が鍵

原因 主な特徴 対応のポイント
異物・魚骨 詰まり・痛み・穿孔リスク 胃カメラで除去
熱傷(たこ焼き等) 高温食による粘膜炎症 冷却+制酸薬
化学物質・薬剤 酸・アルカリ・錠剤停滞 禁忌処置に注意
嘔吐 裂傷・吐血 内視鏡止血
アレルギー 慢性炎症・つかえ感 PPI・除去食療法
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