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逆流性食道炎の治し方|今日から効く食事・寝方・NG習慣【医師監修】

[2025.10.22]

逆流性食道炎(GERD)を改善する生活指導:食事・姿勢・睡眠・運動の完全ガイド

 

 

はじめに

 

逆流性食道炎は、胃酸などが食道へ逆流して胸やけ・呑酸(酸っぱさが上がる)・のどの違和感・咳などを起こす病気です。
お薬(PPI/P-CAB 等)は効果的ですが、生活習慣の改善が治療の柱です。軽症なら生活改善だけで良くなることもあります。

 

まずはここから:今日からできる要点5

 

  1. 食事は腹八分目(普段の7~8割)

  2. 就寝2~3時間前は食べない・飲まない(水は可)

  3. 寝る姿勢は「頭を高く」「左向き」

  4. 体を締め付けない・前かがみを避ける

  5. 体重をゆっくり減らす(目標:月1~2kg)

 

1. 食事療法(最重要)

 

1-1. 量と食べ方

 

  • 腹八分目を徹底(1回量=いつもの7~8割)。

  • ゆっくり・よく噛む30回/ひと口、食事時間30分以上を目安。

  • 毎日3食、時間をそろえる(空腹→ドカ食いを防ぐ)。

  • 夜食はNG/夕食は就寝の2~3時間前まで(可能なら4時間前)。

 

1-2. 控えたいもの(症状悪化の引き金)

 

区分 具体例 ポイント
高脂肪 揚げ物、脂身、バター/チーズ、洋菓子、加工肉 胃に長く滞在+LES※を緩める
甘い物 チョコ、ケーキ、ドーナツ 長く胃に滞在、チョコはLES低下
酸味強 柑橘、トマト/ケチャップ、梅干し 食道粘膜を直接刺激
香辛料 唐辛子、カレー、ニンニク、ワサビ 等 胃酸分泌↑
カフェイン コーヒー、紅茶、緑茶 1日2杯までを目安
アルコール ビール・強い酒、就寝前の飲酒 胃酸↑、蠕動↓、LES低下
炭酸飲料 コーラ等 胃内圧↑で逆流促進
麺類のすすり ラーメン・そば等 空気を飲み込みゲップ↑

※LES=下部食道括約筋(逆流を防ぐ弁)

 

1-3. おすすめの食事・調理

 

  • 主菜:白身魚(さわら等)、鶏むね・ささみ、豆腐。

  • 調理煮る・蒸す・茹でる(油を控える)。食材は小さく・やわらかく

  • 胃にやさしい野菜:キャベツ(ビタミンU)、にんじん、かぶ、じゃがいも。

  • 水分多めの料理:おかゆ、雑炊、具だくさんスープ。

  • 間食:プレーンヨーグルト、牛乳、クラッカー少量など。

 

1-4. 食後の過ごし方

 

  • 横にならない(2~3時間)

  • 前かがみ作業を避ける

  • 入浴は食後1時間以上あけてから

 

2. 姿勢・理学療法(夜間症状対策に効く)

 

2-1. 就寝時の工夫

 

  • 頭側挙上:ベッドの頭側を10~20cm上げる(ブロック・傾斜クッション)。

  • 左向きで寝る(左側臥位):胃が食道より下に保たれやすく逆流減少。

  • 避けたい眠り方:右向き・平らな仰向け(症状悪化しやすい)。

 

2-2. 日中の姿勢・腹圧対策

 

  • きついベルト・ガードル・コルセットは避ける

  • 猫背・前かがみを減らす(PC作業は画面を目線の高さへ)。

  • 重い物持ち・強くいきむ行為を控える。

  • 腹式呼吸を毎日1~2分×数回(横隔膜を鍛え、逆流予防に有利)。

 

3. 体重・運動・嗜好品

 

3-1. 体重管理

 

  • 肥満は最大のリスク。内臓脂肪→腹圧↑→逆流増。

  • 目標:月1~2kgのゆっくり減量(急激なダイエットは逆効果)。

 

3-2. 運動

 

  • 有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、水中運動など)を1日20~30分、週5日目安

  • 食後すぐ・激しい筋トレ(腹筋・重量挙げ)は逆流を誘発しやすいので時間帯・強度に注意。

 

3-3. 喫煙・飲酒

 

  • 禁煙で改善例が多い(唾液↓・LES↓・胃酸↑の悪影響を断つ)。

  • 飲酒は控えめに。特に就寝前の飲酒は避ける

 

4. お薬との付き合い方(受診指示に従って)

 

  • PPI/P-CAB等は、医師の指示どおり内服(例:起床時の空腹に内服→30分後朝食など、薬剤により異なります)。

  • 制酸薬・粘膜保護薬の頓用で“今の胸やけ”を和らげることも。

  • 相互作用の注意:主治医・薬剤師に、常用薬・サプリを必ず申告。

  • 自己判断での中断・市販薬の多用は避ける(症状の裏に別疾患が隠れることあり)。

 

5. 1日のモデルスケジュール(例)

 

  • 06:30 起床 → 指示あれば空腹で内服

  • 07:00 朝食(腹八分目)

  • 12:00 昼食(ゆっくり30分以上)

  • 15:30 間食少量(ヨーグルトなど)

  • 18:30 夕食(就寝2~3時間前までに)

  • 20:00 入浴(食後1時間以上あける)

  • 22:30 就寝(頭を高く・左向き

 

6. 1週間チェックリスト(○×で記入)

 

  • 3食とも腹八分目にできた

  • 就寝2~3時間前は飲食しなかった

  • 左向き+頭高で眠れた

  • きつい服を避けた/前かがみ時間を減らした

  • 炭酸・アルコール・カフェインを制限できた

  • 有酸素運動を週5日以上できた

  • 体重が先週より±0~−0.5kg(ゆっくり減量)

→ ○が増えるほど、症状改善が期待できます。達成できない項目は次週の目標に。

 

7. よくある質問(FAQ)

 

Q. コーヒーは完全禁止ですか?
A. 量がポイントです。1日2杯まで・薄め・食後に。症状が出る方は控えましょう。

Q. 牛乳は胸やけに効きますか?
A. 一時的に和らぐ方もいますが飲みすぎは逆効果になることも。少量を食事と一緒に。

Q. 市販の胃薬だけで治せますか?
A. 一時的な軽減はありますが、長引く場合は必ず受診し、内視鏡などで確認しましょう。

Q. 痛み止め(NSAIDs)は?
A. 悪化要因になり得ます。必要時は主治医に相談し、胃薬の併用を検討します。

 

8. すぐ受診してほしい“赤旗”症状

 

  • のみ込みづらさ・食べ物がつかえる

  • 体重減少(意図せず)

  • 吐血/黒色便

  • 強い胸痛(心臓の病気との区別が必要)

  • 夜間目が覚めるほどの咳や喘鳴が続く

これらは別の病気が隠れている可能性があります。早めに消化器内科へ。

 

9. まとめ

 

  • 逆流性食道炎は、食事量・就寝前断食・寝る姿勢の3本柱で改善しやすい病気です。

  • 生活改善とお薬の両輪で治し、再発予防まで意識しましょう。

  • 良くならない・赤旗症状がある場合は、早めに受診してください。

 

付録:1日の簡単モデル献立(例)

  • :おかゆ+温奴+蒸し野菜(キャベツ・にんじん)/麦茶

  • :鶏ささみと野菜のうどん(麺はすすらず静かに)+ヨーグルト

  • :牛乳またはプレーンヨーグルト少量

  • :白身魚の蒸し物+やわらか煮野菜+ごはん少なめ+味噌汁
    ※味つけは薄め・油控えめ。揚げ物・辛味・酸味強は控える。

 

この指導書は一般的なご案内です。個々の病状・服薬状況により最適解は異なります。
必ず主治医・管理栄養士の指示に従って調整してください。

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