40代から増える大腸ポリープ|症状がなくても大腸カメラが重要な理由【山形県米沢市】
40代から増える大腸ポリープ:症状がない人こそ大腸カメラ(大腸内視鏡)が重要な理由
40代から大腸がんリスクは増加します。大腸がんの多くはポリープから時間をかけて進行します。便潜血検査の役割と限界、症状が軽い人が受診すべきサイン、鎮静やCO2で負担を減らす工夫を米沢市のきだ内科クリニックが解説します。
大腸がんの現状
大腸がんは「身近な病気」です(日本の最新統計)
大腸がんは日本で診断される人数・亡くなる人数ともに多いがんのひとつです。国立がん研究センターのがん統計では、2021年に大腸がんと診断された方は約15万人、2023年の死亡数は約5.3万人と報告されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
また、部位別のがん死亡数(2023年)では、女性は大腸がんが最多、男性でも上位に位置しています。jcancer.jp
40代からリスクが上がる理由:年齢とともに「増え始める」
「大腸がんは高齢の病気」という印象がありますが、実際には40代から増え始め、年齢とともに高くなることが示されています。National Cancer Center Japan
だからこそ、40代は“まだ大丈夫”ではなく、予防と早期発見のスタートラインになりやすい年代です。
大腸がんの進行とポリープの関係
大腸がんの多くは「ポリープ」から時間をかけて進行します
大腸がんは、いきなり突然できるというよりも、良性のポリープ(腺腫など)→前がん病変→がんへと段階を踏むケースが多いことが知られています(いわゆるadenoma–carcinoma sequence)。National Cancer Center Japan
この過程には一般に5〜10年程度かかると考えられており、裏を返すと、がんになる前の段階で見つけて治療できる“時間の猶予”があるということです。JFCR
検査の重要性
症状がない人こそ検査が重要な理由
大腸ポリープや早期の大腸がんは、自覚症状がほとんど出ないことが少なくありません。National Cancer Center Japan
そして大腸がんは、早期(Stage I)で発見できれば5年生存率93%と報告されており、早期発見が結果を大きく左右します。National Cancer Center Japan
「症状が出たら受診しよう」と思っていても、症状が出る時点で病変が進んでいる場合があるため、
“症状が強くないうちに、検査のきっかけを逃さない”ことが大切になります。
便潜血検査(FIT)は大切。でも“万能”ではありません
大腸がん検診として広く行われている便潜血検査(免疫法・2日法)は、40歳以上で年1回の受診が推奨されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト+1
便潜血検査は死亡率減少効果の根拠があり、対策型検診としても強く推奨されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
一方で、便潜血検査は「出血を拾う検査」なので、
- 出血がない/少ないタイミング
- 小さなポリープや早期病変では、陰性になることもあり得ます(感度は対象病変や条件で幅があります)。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
便潜血“陽性”が出たら、再検査ではなく「精密検査」が基本
国立がん研究センターの解説でも、大腸がんは毎日出血しているとは限らないため、1日でも陽性なら精密検査が必要で、便潜血のやり直しは精密検査の代わりにならないと示されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
大腸カメラ(大腸内視鏡)は「診断の精度」と「予防」を両立できる検査
便潜血検査が“ふるい分け”だとすると、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は精密検査の中心です。
実際、がん情報サービス(医療関係者向け情報)では、大腸がんに対する全大腸内視鏡検査の感度は高いことが示されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
さらに大腸内視鏡の大きな利点は、病変を見つけた際に、状態によってはポリープ切除など“予防的な治療”につながる可能性があることです。National Cancer Center Japan+1
大腸カメラを検討すべきケース
どんな人が「大腸カメラ」を検討すべき?
特に次のような方は、早めの受診相談をおすすめします。
1)症状がある(=保険診療の判断材料になります)
- 便秘・下痢が続く/便通が以前と変わった
- お腹の張り、腹部不快感、腹痛
- 便が細い、残便感
- 血便、黒っぽい便、粘液便
- 原因不明の貧血、体重減少
- 便潜血陽性
※便潜血が陰性でも、腹痛や便の性状変化がある場合は次回検診を待たず受診するよう案内されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
保険診療で大腸カメラを行うかどうかは、症状や診察所見、検査結果を踏まえて医師が判断します(症状が重要なポイントになります)。
2)家族に大腸がんの方がいる(家族歴)
一親等(親・きょうだい・子)に大腸がんの方がいる場合、リスクが2〜3倍になることが多くの研究で一貫して示されています。Cancer Information Japan
大腸カメラの苦痛を軽減する工夫
「つらそう」「怖い」を減らす:苦痛を軽減する工夫
大腸カメラは不安が強い検査と思われがちですが、現在は負担を減らす選択肢があります。
鎮静(ウトウトして受ける)
鎮静を行うことで不安や苦痛を軽減しやすくなります。安全に実施するための評価・モニタリング等については、日本消化器内視鏡学会が鎮静のガイドラインを示しています。J-STAGE
※鎮静を使用した場合、当日は車・バイク・自転車の運転ができない等の注意があります(詳細は医療機関の説明に従ってください)。
CO₂送気(検査後のお腹の張りを軽減)
大腸を観察するために腸を膨らませますが、空気よりも吸収・排出が速いCO₂を用いることで、検査後の腹部不快感が減ることが、RCTの系統的レビュー・メタ解析でも示されています。PMC+1
よくある質問(FAQ)
Q1. 便潜血が陰性なら大腸カメラは不要ですか?
便潜血検査は重要ですが、検査の性質上「陰性=完全に安心」とは言い切れない面があります(感度には幅があります)。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
一方で、血便・腹痛・便通変化など症状がある場合は、次回検診を待たず受診するよう案内されています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
Q2. 痔があるので、便潜血陽性でも大丈夫?
痔があっても、その出血が痔なのか大腸の病変なのかは、精密検査をしないと判断できないとされています。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト
Q3. 異常なしと言われたら、次はいつ受ければいい?
状況によって異なりますが、検診として大腸内視鏡を行う場合、異常がなければ次回は5年後を目処に提案されることがある、と学会FAQで説明されています。JGES
(ただし、便潜血陽性が繰り返す場合などは個別判断になります)
きだ内科クリニックへ
山形県米沢市で大腸カメラをご検討の方へ(きだ内科クリニック)
大腸の病気は、症状がはっきり出る前に見つけられるかどうかで、その後が大きく変わります。National Cancer Center Japan+1
「最近、便通が変わった気がする」「お腹の張りが続く」「健診で便潜血陽性だった」など、少しでも気になることがあれば、まずはご相談ください。
※本記事は一般的な医学情報です。症状や検査の適応、保険診療の可否は診察のうえで判断します。
執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)
