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血糖値の乱高下がメンタルに与える影響|不安・うつ・自律神経・睡眠との関係

[2025.12.14]

血糖値スパイクとメンタルヘルスの深い関係|イライラ・不安・うつ・集中力低下を招く「血糖値の乱高下」とは

 

 


血糖値スパイク(血糖値の乱高下)は、イライラ・不安・眠気・集中力低下・不眠など心身の不調と関係します。反応性低血糖やストレスとの関係、今日からできる食事・運動・睡眠の対策をわかりやすく解説。

 

気分の波、イライラ、不安、集中力の低下、眠気、そして不眠。 これらは「性格」や「気合い」だけの問題ではなく、血糖値の変動(特に血糖値スパイク=急上昇と急降下)が引き金になっているケースがあります。

 

血糖値は脳の主要エネルギーであるブドウ糖の“供給の安定度”を左右します。 血糖値が乱高下すると、神経伝達物質やホルモン、自律神経のバランスが崩れやすくなり、メンタル面・身体面の不調が連鎖しやすくなります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。強い症状や日常生活への支障がある場合は、医師に相談してください。

 

この記事でわかること

  • 血糖値スパイクがメンタルに影響する主なメカニズム

  • 反応性低血糖(食後の急降下)で起きやすい症状

  • 糖尿病・うつ病・不安障害、ADHD特性と血糖値の関係

  • 今日からできる血糖値を安定させる対策(食事・運動・睡眠・ストレス)

 

血糖値の乱高下がメンタルに影響する3つの理由

 

血糖値が大きく上下すると、次の“3ルート”で心身に負担がかかります。

  1. 脳のエネルギー供給が不安定になる(集中力・判断力が落ちやすい)

  2. 交感神経が過剰に働きやすい(動悸・焦り・緊張・怒りっぽさ)

  3. 神経伝達物質やホルモンの調整が乱れやすい(気分の上下が大きくなる)

 

低血糖(食後の急降下・反応性低血糖)が起きるとどうなる?

 

食後に血糖値が急上昇 → インスリンが多く出る → その反動で血糖値が急降下すると、脳は“ガス欠”に近い状態になります。結果として、自己制御や注意力などの高次機能が落ちやすくなります。

 

低血糖で出やすい症状

  • イライラ・怒りっぽさが増える
    低血糖を補うために、体はアドレナリンやノルアドレナリンなどのストレス関連ホルモンを出しやすくなり、交感神経が優位に。過敏・短気・落ち着かなさにつながることがあります。

  • 不安感・焦燥感・恐怖感が強まる
    動悸、手の震え、冷や汗などが伴うと、体感としては不安障害やパニック症状に近く感じることもあります。

  • 眠気・だるさ・集中力低下
    エネルギー不足で、ぼーっとする/思考が回らない/ミスが増えるなどが起こりやすくなります。

  • 衝動的になりやすい(甘いもの、間食、衝動買い)
    前頭前野(自制・判断)が働きにくいタイミングと重なると、瞬間的な快楽(糖質、買い物など)に流れやすい傾向が出ます。

  • 不眠・中途覚醒
    夜間に低血糖気味になると、交感神経が刺激されて目が覚める/寝汗/悪夢などが起こることがあります。

 

高血糖(血糖値スパイク・高血糖の持続)でもメンタルは不安定になりやすい

 

「低血糖だけが問題」というより、急上昇と急降下を含む“乱高下”そのものが負担になります。

 

高血糖・血糖値スパイクで出やすい症状

  • 疲れ・だるさ・無気力感
    高血糖が続くと、エネルギーがうまく使われにくい感覚につながり、疲労感が出やすくなります。

  • 感情の起伏が大きくなる
    血糖値の波が大きいほど、自律神経への負担も増えやすく、焦り・落ち込み・不安定さの土台になることがあります。

 

糖尿病とうつ病・不安障害は「双方向」に関連しやすい

 

研究では、糖尿病とうつ病・不安症状には相互に影響し合う関係が示唆されています。

  • メンタル不調があると、睡眠や食事、運動などのセルフケアが崩れやすく、血糖コントロールが乱れがち

  • 血糖コントロールが不安定だと、心身の不調が積み重なり、気分にも影響しやすい

また、反応性低血糖の症状(動悸、不安、イライラ、倦怠感など)が精神症状と似るため、原因に気づきにくいケースもあります。

 

ADHD特性(不注意・衝動性)と血糖値の不安定さ

 

ADHD特性がある人は、自己制御を担う前頭前野が“安定した燃料供給”を必要としやすいと言われます。
そのため、血糖値が急降下すると、

  • 集中力の維持がさらに難しくなる

  • 衝動性が強まりやすい
    といった形で「もともとの困りごと」が増幅する可能性があります。

さらに、衝動的に糖質を摂る → 血糖値が乱高下 → また不調、という負のループに入りやすい点も要注意です。

 

ストレスは血糖値を上げやすく、乱高下の引き金にもなる

 

ストレスがかかると、コルチゾールやカテコラミン(アドレナリン等)が増え、血糖値を上げやすくなります。さらに、

  • インスリン抵抗性が強まりやすい

  • ストレス解消のための過食・飲酒・睡眠不足が起きやすい
    といった行動面の変化も加わり、血糖値が不安定になりがちです。

 

メンタルを安定させる「血糖値コントロール」実践法

 

ここでは、検索ニーズが高い対策を「今日からできる形」で整理します。ポイントは、急上昇を抑え、急降下を防ぐことです。

 

食事で血糖値スパイクを防ぐ

  • 食べる順番(ベジファースト)
    野菜・海藻・きのこなど → たんぱく質・脂質 → 炭水化物の順にすると、吸収が緩やかになりやすい。

  • 低GIを意識
    白米・白パン中心より、玄米・全粒粉・そば・豆類・ナッツなどを選ぶ。

  • 欠食しない/食事間隔を空けすぎない
    朝食抜きは昼食後の急上昇につながりやすい。

  • よく噛んで、ゆっくり食べる
    早食いはスパイクを招きやすい。

  • 間食は“血糖が上がりにくいもの”へ
    例:ナッツ、チーズ、無糖ヨーグルト、ゆで卵、無糖豆乳など(摂りすぎ注意)

 

セロトニンなど「気分」に関わる材料も不足させない

  • たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品)をベースに

  • ビタミンB群、食物繊維、脂質(オメガ3系など)も偏りすぎないように
    ※特定サプリの推奨ではなく、まずは食事全体の安定が優先です。

 

運動は“食後ちょい足し”が効率的

  • 食後15〜30分の軽い運動(10〜15分)
    散歩・軽い家事などで筋肉が糖を取り込み、スパイクを抑えやすい。

  • 余裕があれば、週に数回のウォーキングや筋トレでインスリン感受性を底上げ

 

睡眠とストレス管理は「血糖×メンタル」の土台

  • 睡眠不足はコルチゾール増 → 血糖が乱れやすい
    目安として7〜8時間を確保(個人差あり)。

  • 深呼吸、瞑想、ヨガ、入浴、趣味、会話などでストレスを“抜く時間”を作る

  • 必要に応じて、認知行動療法(CBT)やマインドフルネス等の心理的アプローチも選択肢

 

血糖値の乱高下セルフチェック(当てはまる人は要注意)

  • 食後に強い眠気・だるさが出る

  • 空腹になるとイライラ・不安・集中力低下が出る

  • 甘いものがやめられない/一気食いしやすい

  • 夕方〜夜に気分が落ちやすい

  • 夜中に目が覚める、寝汗、悪夢がある(他要因も多い)

複数当てはまり、生活に支障がある場合は、自己判断で抱え込まず相談が安全です。

 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. 血糖値スパイクって結局なに?

食後に血糖値が急上昇し、その後に急降下しやすい状態のことを指すことが多いです。急上昇・急降下どちらも負担になります。

 

Q2. 反応性低血糖は誰でも起きる?

体質や食事内容、ストレス、睡眠不足などで起きやすくなります。頻度が高い・つらい場合は医療機関で相談すると安心です。

 

Q3. 「菩薩モード」みたいに感情がブレない状態は作れる?

極端な表現はさておき、血糖値の安定は“感情の土台”を整える有力な手段になり得ます。まずは「スパイクを作りにくい生活」に寄せるのが現実的です。

 

まとめ|メンタルの波を「血糖値」から整えるという発想

 

血糖値を安定させることは、体重や健康診断のためだけではなく、
イライラ・不安・集中力・睡眠といった“日常の質”を底上げするための戦略にもなります。

  • 急上昇を抑える(食べ方・低GI・ゆっくり食べる)

  • 急降下を防ぐ(欠食しない・間食の質・睡眠)

  • ストレスと運動で“波”を小さくする

この3点を軸に、できるところから調整していくのがおすすめです。

 

執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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