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大腸カメラで「ポリープなし」次回はいつ?5年・10年の目安と例外|山形県米沢市 きだ内科クリニック

[2025.12.16]

大腸カメラで「ポリープなし」…次回はいつ?再検査(サーベイランス)間隔の目安と例外

 

 

前回の大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で「ポリープなし」「異常なし」と言われると、ひとまず安心できます。 ただし今後もずっと大腸がんにならないという保証ではありません。大腸がんは多くがポリープ(腺腫)から時間をかけて進行する一方で、検査の条件や体質・家族歴によっては、検査間隔の考え方が変わります。

 

この記事では、国内外のガイドラインと、検査の質・リスク因子の観点から、「次回はいつ受けるべきか」を分かりやすく整理します。

 

大腸カメラ正常後の再検査:基本は定期的な便潜血検査

 

日本消化器内視鏡学会の「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランス」ガイドラインでは、初回スクリーニング大腸内視鏡で腫瘍性病変(腺腫など)を認めない場合は、定期的なFIT(便潜血検査)が推奨されています。さらに、海外の大規模研究では、“異常なし”の場合に10年以上、罹患・死亡リスク低下が続くこと、またnegative colonoscopy後のadvanced neoplasia(進行病変)の5年発生率が3%以下にとどまる報告が示されています。

 

また、日本の対策型検診(住民検診)の基本は、40歳以上で年1回の便潜血検査(免疫法2日法)です。

 

サーベイランスと検診の違い

 

一般に「サーベイランス」は、ポリープ切除後大腸がん治療後炎症性腸疾患など、再発や新規病変リスクが高い方を、計画的に追跡する意味で使われます。

 

一方、前回「ポリープなし(腫瘍性病変なし)」の場合は、原則として“高リスクの追跡”ではなく、通常の検診に戻るという考え方が中心になります(ただし例外あり)。

 

「ポリープなし」だった場合の次回の検査目安

 

あなたの状況 次に優先される検査 目安の間隔
平均的リスク・前回が高品質で異常なし 便潜血(FIT) 年1回(日本の対策型検診)
便潜血をせず「最初から大腸内視鏡で検診」をしている 大腸内視鏡 5年後を目処(ガイドラインで提案)
海外(米国)の平均的リスク・正常で高品質な大腸内視鏡 大腸がん検診 10年後(USMSTF)
便潜血陽性、血便、貧血、便通異常など症状あり 大腸内視鏡(精密検査) 間隔に関係なく早めに(医師判断)
家族歴など高リスク 大腸内視鏡 例:5年ごとなど(条件により個別化)

 

※「何年後」と断定するより、どの検診ルート(便潜血中心/内視鏡中心)で管理するかを先に決めるのがポイントです。日本では全大腸内視鏡を“対策型検診として一律に行う”ことは推奨されず、任意型(人間ドック等)で行う場合は利益・不利益を共有して判断する考え方が示されています。

 

「ポリープなし」でも検診が必要な理由

 

新しいポリープは将来できる

 

大腸がんの多くは腺腫(ポリープ)から発生し、一般に5〜10年ほどの経過でがん化すると考えられています。
だからこそ、前回が正常でも「もう一生不要」ではなく、適切な間隔での検診継続が合理的です。

 

大腸カメラにも見落としがある

 

大腸内視鏡は最も精度が高い検査の一つですが、研究上はポリープの見逃し率(pooled miss rate)が約22%と報告されています(特に小さな病変ほど見逃しやすい傾向)。
このため、次回間隔を考えるときは「前回が高品質だったか」を必ず確認します。

 

前回の検査品質チェックリスト

 

次回の間隔を延ばせるかどうかは、前回の条件で大きく変わります。

  • 盲腸(回盲部)まで観察できたか(全大腸観察が完了したか)

  • 腸管洗浄(下剤)の効き具合は十分だったか(便が残っていないか)

  • 観察が「急ぎ足」ではなかったか(※施設の品質管理の範囲)

 

腸管洗浄が不十分・観察条件が悪い場合は、早めの再検査が勧められることがあります。

 

大腸カメラを早めに検討すべきケース

 

「ポリープなし」でも、次の条件があると話は別です。検査間隔より“今のリスク”が優先されます。

 

新しい症状が出た場合

  • 血便、黒色便

  • 便秘と下痢を繰り返す/便が細くなった/残便感

  • 原因不明の体重減少

  • 鉄欠乏性貧血 など

 

症状が出た場合は、前回が正常でも早めの受診・精密検査が必要です。

 

便潜血(FIT)が陽性になった場合

 

日本の検診設計上、便潜血陽性は精密検査(大腸内視鏡)の対象です。
ただし、直近2回の大腸内視鏡で異常がない場合など、状況によっては担当医と相談して判断する余地があることも、学会Q&Aで触れられています。

 

家族歴がある場合

 

近親者(第一度近親者)に大腸がん・進行ポリープがある場合は、平均的リスクより検査計画を前倒し・短縮する考え方があります(例:40歳または発症年齢より10年若く開始、以降5年ごと等)。

 

炎症性腸疾患や遺伝性腫瘍が疑われる場合

 

これらは別枠で、より短い間隔のサーベイランスが組まれます(主治医と個別計画)。

 

大腸カメラの再検査に関するよくある質問

 

「ポリープなし」なら便潜血検査は不要?

 

いいえ。日本では、40歳以上を対象に年1回の便潜血検査(免疫法2日法)が対策型検診として行われ、ガイドラインでも継続が推奨されています。

 

大腸カメラは5年後?10年後?

 

どちらも“あり得ます”。

  • 米国の推奨では、正常で高品質な大腸内視鏡なら10年後に再度の大腸がん検診が推奨されます。

  • 一方、日本消化器内視鏡学会のQ&Aでは、便潜血を行わず最初から大腸内視鏡で検診をする仕組みの場合、異常なしなら5年後を目処とする提案が示されています。

 

つまり「あなたがどの検診ルートにいるか」「前回の検査条件」「個人リスク」で決まります。

 

日本では“全員に大腸カメラ検診”が広がらないのはなぜ?

 

国立がん研究センターの整理では、全大腸内視鏡は死亡率減少効果が示唆される一方、現状では対策型検診として一律に推奨するには不利益や証拠の不確実性があるとされ、任意型で行う場合は利益・不利益を共有して判断する考え方が示されています。

 

大腸カメラを受診する目安

  • 前回「ポリープなし」で、特に症状がなく、検査の質も問題なければ
    年1回の便潜血(FIT)を継続が基本。

  • 症状がある/便潜血陽性/家族歴など高リスク
    検査間隔に関係なく早めに医療機関へ相談(大腸カメラを含めて検討)。

 

山形県米沢市で大腸カメラをご検討の方へ

 

きだ内科クリニックでは、大腸カメラで腫瘍性ポリープが見つかった場合にその場でのポリープ切除に対応し、検査と治療を分けずに負担軽減につなげる方針が示されています。また、不安が強い方には鎮静剤の使用も可能で、経験豊富な内視鏡専門医が検査を行う旨が案内されています。

 

執筆・監修:山形県米沢市 きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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