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【教育用資料】内視鏡業務における筋骨格系障害(MSDs)とは

[2025.06.02]

【教育用資料】内視鏡業務における筋骨格系障害(MSDs)とは

― 看護師・スタッフも「人間工学の視点」で自分の体を守るために ―


✅ MSDs(Musculoskeletal Disorders)とは?

MSDsとは、筋肉・関節・神経・骨格系に関連する障害・痛みの総称であり、繰り返し動作や長時間の不自然な体勢によって生じます。
医療現場では、腰痛、肩こり、手首・指の障害、頸肩腕症候群、手根管症候群などが代表的です。


🩺 内視鏡業務はMSDsの高リスク職種

医師だけでなく、看護師・技師・洗浄スタッフも以下のような共通リスクにさらされています:

リスク要因 看護師に起こり得る例
長時間の立ち仕事 検査中の介助、器具渡し、体位保持
同一姿勢の維持 検査ベッド脇でのモニタリング、前傾姿勢の維持
反復的な手首動作 内視鏡の洗浄・滅菌作業、鉗子の準備
不適切な高さの機材・画面配置 覗き込む姿勢・腕を高く上げたままの作業
緊張状態での業務 無意識に体が強張る、肩が上がる、呼吸が浅くなる

📊【内視鏡医に関する実態調査(看護師にも応用可能)】

🔸全国Web調査(352名)

  • 内視鏡が原因と思われるMSDsを経験:56.8%

  • 障害部位:手首・手指>腰>首

  • 平均内視鏡検査件数が多いほどリスク増加

🔸多施設調査(114名)

  • MSDs経験者:68.4%

  • 主な症状:腰痛・肩こり・腕の倦怠感

  • 月10件以上のESD施行で有意なリスク上昇

💡看護師は医師と比べ「軽度で見逃されやすいMSDs」も多いため、予防が特に重要です。


👨‍⚕️ 内視鏡業務におけるMSDsの好発部位と症状(看護師例)

部位 主な症状 発症要因の例
肩・首 こり、痛み、可動域制限 前かがみ姿勢、モニターの高さ不良
鈍痛、ぎっくり腰様症状 長時間立位、無理な体位保持介助
手首・肘 しびれ、だるさ、腱鞘炎 鉗子準備、洗浄時の強いひねり動作
手指 感覚異常、握力低下 細かい作業の繰り返し、鉗子操作
下肢 だるさ、むくみ 立ちっぱなし、足元のクッション不足

🚨 見逃されやすい“サイン”に注意!

  • 肩が重い・首が回りにくい

  • 検査が終わると腕がだるい

  • ベッド脇で姿勢が崩れていると感じる

  • 鉗子やスコープを持つ手が疲れやすい

  • 勤務後、腰に痛みが残る・ストレッチしたくなる

これらは**MSDsの「初期症状」**かもしれません。
“いつものこと”と放置せず、自分の身体に意識を向けましょう。


🛠 MSDs予防の実践ポイント:Ergonomic Endoscopy 7 Tips

1. モニター・術者・患者の一直線配置

▶ 体のねじれを防止。患者さんの頭側の位置も再確認。

2. モニターの高さ=目線より15~25度下へ

▶ 首や肩の緊張軽減。

3. 検査台・作業面の高さ調整

▶ 肘が体から離れず脇が自然に締まるように。

4. 座位と立位を交互に使う

▶ 検査内容に応じて、助手席でも座れる体制づくり。

5. 業務の偏りを減らし、こまめに休憩

▶ タイマー活用で「2時間に1回3分ストレッチ」など。

6. 「20-20-20ルール」実践(眼精疲労対策)

▶ 20分作業→6m以上先を20秒見る。

7. ストレッチ習慣

▶ 肩・腰・手首など、仕事前後に1分間の簡単ストレッチ。


🧰 その他の対策と工夫

  • エルゴノミックタイムアウト(手技前の機材配置確認)

  • フロアマット・足台の使用(足への負担軽減)

  • グリップのついたスコープ保持補助具の導入

  • 洗浄エリアの配置改善(手首に優しい角度)

  • 全スタッフでの情報共有(週1ミーティングで身体の状態確認)


🧑‍⚕️ 整形外科・リハビリ専門職との連携も重要

  • 症状が出たら早めに受診・診断

  • 院内フィジカルチェックを年1回の業務に含めることも推奨。


✅ 最後に:内視鏡スタッフ全員でMSDs対策を

「内視鏡業務=アスリートのような連携と体力を要する業務」
身体のケアを怠れば、医療の質にも影響します。

看護師・技師・医師が一丸となって体を守る意識と工夫を持ち、
安全で継続可能な業務体制を。

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