夏場のヒートショックとは?原因・症状・予防法を徹底解説【熱中症との違いも】
【医師監修】夏場のヒートショックとは?原因・症状・予防法を徹底解説
「ヒートショック」というと冬の浴室で起こるイメージが強いかもしれません。しかし実は、夏場にもヒートショックは発生し、命に関わるリスクとなることがあります。
この記事では、夏型ヒートショックの原因・症状・予防法・熱中症との違いについてわかりやすく解説します。
夏場のヒートショックとは?
夏のヒートショックは、冷房の効いた涼しい屋内と猛暑の屋外との温度差が大きいときに起こる血圧変動です。
急激な温度差によって血管が収縮・拡張し、血圧が乱高下することで、脳や心臓に大きな負担を与えます。
-
冷房25℃の室内から、35℃を超える屋外へ → 血管が拡張し血圧が低下
-
暑い屋外から冷えた屋内へ → 血管が収縮し血圧が急上昇
このような変化が繰り返されることで、脳出血・心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な疾患につながる危険があります。
夏型ヒートショックの原因
-
10℃以上の温度差(屋内外の出入り・部屋ごとの温度差)
-
エアコンの冷やしすぎによる自律神経の乱れ
-
水分不足・脱水で血液が濃くなる
-
入浴時の温度差・長湯・飲酒後の入浴
-
不規則な生活やストレスによる自律神経の低下
夏場のヒートショック症状
-
軽度:めまい、立ちくらみ、倦怠感、動悸、吐き気
-
重度:失神、不整脈、胸の痛み、呂律が回らない、片側の麻痺
-
重篤化:脳出血・心筋梗塞・脳梗塞など命に関わる病気
注意が必要な人
特に以下の方は夏型ヒートショックのリスクが高いです。
-
高齢者(65歳以上)
-
高血圧・糖尿病・心臓病・腎臓病などの持病がある人
-
子ども・乳幼児(体温調節が未熟)
-
妊婦・産後の方
-
筋肉量が少ない人(高齢者・女性)
-
屋外作業や運動を頻繁に行う人
-
熱いお風呂や飲酒後の入浴習慣がある人
夏場のヒートショック予防法
室内環境の工夫
-
エアコンは 25~28℃に設定し、外気との差を10℃以内に保つ
-
扇風機やサーキュレーターで冷気を分散
-
就寝中はタイマーで切らずに朝まで弱めに使用
-
トイレや脱衣所にも温度差対策を
水分・栄養補給
-
喉が渇く前に 1日1~2リットルの水分補給
-
水・麦茶が基本、大量発汗時は経口補水液を利用
-
夏野菜・果物・味噌汁などからも水分・電解質を摂取
入浴の工夫
-
湯温は 38~41℃、10分以内の短時間入浴
-
入浴前に水分補給
-
食後・飲酒後・薬服用後は避ける
日常生活の工夫
-
羽織れる服を用意し、急な温度差に対応
-
適度な運動で暑熱順化を促す
-
睡眠・栄養を確保し、自律神経を整える
熱中症との違い
-
熱中症:高温多湿環境で体温が上昇 → 脱水と体温上昇が原因
-
夏型ヒートショック:急激な温度差による血圧変動が原因
両者は相互に関係し、脱水があると血圧変動が起きやすくなるため、水分補給は両方の予防に有効です。
まとめ
夏場のヒートショックは「涼しい室内」と「暑い屋外」の行き来で起こる、見落とされがちな健康リスクです。
高齢者や持病を持つ方は特に注意が必要で、エアコンの使い方・水分補給・生活習慣の見直しが最大の予防策となります。