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健診で腎臓の数値が悪いと言われたら|eGFR低下・尿蛋白・シスタチンCでわかる腎機能評価と透析回避の最新対策

[2025.09.27]

健診で「腎臓の数値が悪い」と指摘されたら?eGFR低下・尿蛋白の警告サインと透析を回避する専門的対策

 

 

健康診断や人間ドックで**「腎機能障害」「eGFR低下」「尿蛋白陽性」と指摘され、不安に感じる方は少なくありません。腎臓は“沈黙の臓器”で、機能が30%以下**に落ちるまで自覚症状が乏しいため、放置は危険です。

慢性腎臓病(CKD)は、腎障害(尿蛋白など)またはeGFR<60 mL/分/1.73m²3か月以上持続する状態。日本では成人の5~8人に1人が該当する国民病で、進行すると透析だけでなく心血管疾患リスクも上がります。早期発見・早期介入が腎臓と寿命を守る鍵です。

 

1. 健診で確認すべき「腎機能の3指標」

 

① eGFR(推算糸球体濾過量)=腎臓の“仕事量”

  • 意味:糸球体が1分間にろ過できる血液量の推算(クレアチニン・年齢・性別で算出)

  • 基準eGFR<603か月以上でCKD

  • 進行の目安eGFR 50~60以下から低下が加速し、平均年3~5低下することも

② クレアチニン(Cr)=老廃物の溜まり具合

  • 意味:筋肉由来老廃物。腎機能低下で上昇

  • 注意筋肉量の影響が大きい(男性・筋肉質は高め/高齢・やせは低めに出やすい)

③ 尿蛋白(蛋白尿)=糸球体障害のSOS

  • 意味:本来尿に出ないタンパクが漏れ出るサイン

  • 判定:「-/±/1+/2+/3+」。2+以上は高リスクで要精査

  • 再検のコツ朝一尿が望ましい(脱水の影響を受けにくい)

 

2. 「eGFRは合っている?」— eGFRcrの限界と**シスタチンC(eGFRcys)**の活用

 

健診のeGFRは通常クレアチニン(eGFRcr)を用いますが、クレアチニンは筋肉量に強く左右されます。そこで、筋肉量の影響を受けにくいシスタチンCを使う**eGFRcys(cys-GFR)**が役立ちます。

2-1. いつシスタチンCを測るべき?

  • 筋肉量が多い人(例:若年男性・運動習慣あり)
    Crが高めに出やすく、eGFRcrは実際より低く見積もる可能性

  • 筋肉量が少ない人(例:高齢者・寝たきり・やせ・多くの女性)
    Crが低めに出やすく、eGFRcrは実際より高く見積もる可能性

  • 結果が体感と合わない/数値の整合性が悪いとき
    eGFRcysで補正し判定精度を向上

ポイント:シスタチンCは全身の細胞で産生され、筋肉量の影響を受けにくいため、eGFRcrの弱点を補う目的で用います。

2-2. eGFRcys(cys-GFR)の解釈

  • 意味:糸球体が1分間にろ過する血液量の推算(シスタチンCベース)

  • 読み方数値が低いほど腎機能低下。**CKDステージ(G1~G5)**の判定にも使用可

  • 実務上のコツ:**eGFRcr と eGFRcys の“平均”**を用いると、単独値より腎機能を正確に反映しやすいとされます

2-3. 介入評価にも使える

  • 運動療法や減塩、薬物治療などの介入前後で、eGFRcr/eGFRcysを追跡

  • **低下率の改善(例:低下率30%以上の軽減)**が目標の一つ

2-4. シスタチンCの注意点(値に影響する因子)

  • 甲状腺機能喫煙炎症脂肪量妊娠免疫抑制薬 などで値が変動することがあります
    → 解釈は臨床背景と合わせて行い、担当医と相談を

 

3. 腎機能低下(CKD)の主な原因とリスク因子

 

  • 生活習慣病
    糖尿病(透析導入最大要因)/高血圧(糸球体高圧で障害進行)/肥満・メタボ

  • 加齢・遺伝:加齢で緩やかに低下。**多発性嚢胞腎(ADPKD)**など遺伝性も

  • その他慢性腎炎(IgA腎症など)薬剤(NSAIDs・一部抗生物質・造影剤)喫煙

 

4. 「要精査」を指摘されたら——放置せず踏むべきステップ

 

4-1. まずは再確認(かかりつけ医での再検)

  • 血液・尿再検査(一過性変動の除外)

  • 尿蛋白は朝一尿で評価精度UP

  • eGFRcrの妥当性に疑問があればeGFRcysを追加

4-2. 腎臓内科への紹介が推奨される目安

  • eGFR<45 mL/分/1.73㎡

  • eGFR≦44 は蛋白尿の有無にかかわらず紹介

  • 尿蛋白 1+以上2+以上、または尿蛋白+尿潜血 陽性

  • 3か月以内にeGFRが30%以上低下(急速進行)

  • 画像で嚢胞多数(両側5個以上ADPKD疑い

 

5. 専門医療機関で行う主な精密検査

  • 血液:シスタチンC、電解質(K・P)、酸塩基、貧血など

  • 尿尿蛋白定量(1日排泄量/ACR:アルブミン/Cr比)

  • 画像腎エコー(大きさ・形・結石・嚢胞)

  • 腎生検:原因特定(主に腎炎)に必要時実施

  • 総合判定eGFRcr+eGFRcysの平均で腎機能を評価し、治療方針を最適化

 

6. 透析を遠ざける「保存療法」— 食事・運動・薬物

 

(1)食事療法:まず減塩が最優先

調整項目 目的 目標量の目安
塩分 高血圧予防・腎負担軽減 6g/日未満
タンパク質 老廃物(尿素窒素)増を抑える G3a:0.8–1.0 g/kg/日G3b以降:0.6–0.8 g/kg/日
エネルギー 低栄養・筋分解を防ぐ 25–35 kcal/kg/日
カリウム 高K血症(不整脈)防止 G3b以降:~2,000 mg/日(茹でこぼし活用)

ステージや併存症で個別化が必須。管理栄養士の指導を受けましょう。

(2)運動療法:腎臓リハで進行抑制

  • 有酸素(ウォーキング等)+レジスタンス(スクワット等)

  • 会話可能な強度/週3回×30分を目安(息切れ・痛みが出ない範囲)

(3)薬物療法・生活改善

  • RAS阻害薬(ACE/ARB):血圧・蛋白尿改善、腎保護

  • SGLT2阻害薬:CKD進行抑制に有用(糖尿病の有無を問わず適応拡大の潮流)

  • 禁煙・血圧/血糖最適化NSAIDs乱用回避、造影検査は主治医と事前相談

 

7. 今日からできるチェックリスト

 

  • 再検予約(朝一尿/必要ならシスタチンC)を入れた

  • 家庭血圧を測り記録開始(朝夕)

  • 塩分6g/日未満に挑戦(食品表示の食塩相当量を確認)

  • 水分は適量(心不全・低Na既往は医師指示に従う)

  • NSAIDs常用の見直し(市販薬含む)

  • 禁煙支援を相談

  • 腎臓内科紹介基準に該当しないか再チェック

 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. eGFRは一度下がると戻らない?
A. 脱水・感染・薬剤などの急性因子なら改善で回復します。慢性低下は進行抑制が主目的です。

Q2. eGFRcrとeGFRcysのどちらを信じる?
A. 体格・筋肉量の影響を踏まえ、両者の平均が実臨床で有用です。判断は臨床背景込みで。

Q3. 血圧目標は?
A. 一般に130/80mmHg未満が候補。糖尿病や蛋白尿の有無で個別化します。

 

受診のご案内(山形県米沢市|きだ内科クリニック)

当院では、再検(血液・朝一尿)→eGFRcys追加→精密検査まで一貫対応。管理栄養士の食事指導SGLT2/RAS阻害薬の最適化運動処方透析を遠ざける戦略をご提案します。
eGFR<45尿蛋白1+以上3か月でeGFR30%以上低下などは早期受診を推奨します。

 

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