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大腸カメラ前処置で下剤を吐いた・飲みきれない時の対処法|検査は中止?受診の目安

[2025.12.07]

大腸カメラ前処置の下剤(腸管洗浄剤)で吐いてしまったり、量がつらくて飲みきれなかったりするのは珍しくありません。大事なのは、自己判断で中止・キャンセルしないこと。多くの施設は「吐いたら連絡」を前提に案内しています。

 

 

なぜ「下剤をできるだけ飲む」ことが重要?

便が残ると内視鏡が“便の向こう側”を見られず、ポリープや小さながんを見落とす原因になり得ます。準備が不十分だと検査時間が延びたり、中止・再検査になったりすることがあります。

 

吐き気・嘔吐が出た時の対処法

 

吐き気・嘔吐が出た時の対処(その場でできる5ステップ)

 

吐き気が強いのに無理に飲み続けるのは逆効果です。以下を基本にしてください。

  1. ステップ1:いったん服用を止める
  2. ステップ2:体を起こして休憩(目安30〜60分)
    吐き気が落ち着くまで待ち、再開は「少しずつ・ゆっくり」に切り替えます。
  3. ステップ3:口をゆすぎ、少量のクリア飲料で水分補給
    脱水予防のため、許可されている範囲で透明な水分を。めまい・頭痛・混乱など脱水サインにも注意。
  4. ステップ4:再開できそうならペースダウン(ストロー・冷やす等も併用)
    「規定ペースに戻す」よりも、吐かずに続けられる速度が優先です。
  5. ステップ5:“吐いた時点で”医療機関に連絡する(重要)
    嘔吐があったら、内視鏡室(または当直)へ連絡するよう明記している施設が多いです。

 

大腸カメラ前の下剤服用中に現れる危険な兆候

 

今すぐ連絡・受診を考える「危険サイン」

 

次の症状がある場合は、下剤を中止して早急に医療機関へ連絡してください。

  • 鋭い/持続する強い腹痛、お腹を押す・動くと痛い

  • 嘔吐が止まらず水分が保てない、ふらつき・意識がぼんやりする、尿が極端に少ない(脱水)

  • お腹が異常に張って苦しい、既往に腸閉塞などがある

  • アレルギー症状(発疹、息苦しさ、顔や喉の腫れ)

これらは安全面(脱水・電解質異常など)でも放置が危険です。

 

下剤の飲み方のコツ

 

味がつらい・量が飲めない時の「飲み方のコツ」

 

吐き気の原因は、短時間に多量の液体を飲むこと自体でも起こります。工夫で改善することがあります。

  • 冷やして飲む/ストローで飲む(味や匂いがマシになりやすい)

  • 少量の香味を足す(施設の指示がある場合のみ。赤・紫などは避ける案内が一般的)

  • 「休み休み」でOK:吐くくらいなら中断→再開が基本

  • 温度を変える:冷たいとダメなら“ぬるめ”の方が飲める人もいます

 

※吐き気止め(制吐薬)を自己判断で追加せず、使ってよいかは処方元に確認してください(持病・薬で相性があります)。

 

検査当日の対応

 

全量飲めなかった…検査はできる?「便の目安」と当日の行動

 

便の“仕上がり”の目安

 

多くの説明書では、最終的に「黄色くて透明、尿のよう」になり、固形物やカスがほぼない状態が理想とされます。

 

ただし“自己判断で終了”はNG

施設によっては、便がきれいに見えても「指示された量は最後まで飲む」よう明記しています。
一方で、嘔吐してしまった場合は「休憩して可能な範囲で続け、予定通り来院して事情を伝える」という案内もあります。

 

結論としては、飲めた量・吐いた回数・便の状態をメモし、検査施設に連絡したうえで来院が基本です。

 

医療機関での対応

 

医療機関でできる「リカバリー(サルベージ)」とは?

 

自宅で準備が不十分でも、当日に追加対応して検査を成立させられることがあります。

  • 追加の下剤投与浣腸や洗腸などの“追加前処置”

  • 内視鏡中に、状況に応じて洗浄・吸引を増やす同日サルベージを検討する、という推奨もあります。

  • どうしても難しい場合は、日程変更(早期の再検査)になることもあります(安全と精度を優先)。

 

「下剤を飲めない人」への投与ルート(施設限定)

 

経口が困難な場合、経鼻胃管で投与する方法や、研究として胃カメラで十二指腸へPEG液を注入する方法が報告されています。ただし適応・安全管理が必要で、提供していない施設もあります。

 

再発防止のために

 

次回つらくしないために:事前に相談したいポイント

  • 前回吐いた/飲めなかったことは必ず申告(下剤の種類・量・分割方法の変更で改善することがあります)

  • 分割内服(split-dose)は国際的にも推奨が強く、同じ下剤でも「タイミング」で効きとつらさが変わります。

 

執筆・監修:きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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