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朝起きると頭が痛い・だるい原因は?起床時頭痛と倦怠感の病気チェック&受診の目安

[2025.12.07]

朝起きると頭が痛い・だるい…原因と受診の目安(起床時頭痛/倦怠感)

 

 

「寝たはずなのに朝から頭痛」「起床時にだるくて動けない」。それが毎日続くと、単なる寝不足だけでは片づけられないことがあります。起床時の頭痛・倦怠感は、睡眠の質の低下(睡眠時無呼吸など)や自律神経の不調血圧・血糖の変動、まれに脳の病気が関係するケースもあるため、ポイントを押さえて見極めることが大切です。

 

まずはセルフチェック:当てはまるものはありますか?

  • いびきが大きい/息が止まっていると言われた/口がカラカラ

  • 午前中が特にしんどく、午後から楽になる(立ちくらみ・動悸も)

  • 血圧が高いと言われている/起床前後に血圧が上がりやすい

  • 頭痛が徐々に悪化、吐き気・嘔吐、しびれ・麻痺、けいれんがある

  • 寝不足でも寝過ぎでも頭痛が出る/ズキズキ(片頭痛っぽい)

  • あごが痛い・歯ぎしりを指摘された

  • 鼻づまり・黄色い鼻水・顔面痛がある

  • 朝食を抜くとふらつく、冷や汗、動悸(低血糖っぽい)

 

当てはまる項目が多いほど「原因がはっきりする」可能性が上がります。

 

原因① 睡眠時無呼吸症候群(SAS):起床時頭痛+だるさの代表格

 

睡眠時無呼吸症候群(特に閉塞性睡眠時無呼吸:OSA)では、寝ている間に気道が狭くなり、低酸素(酸素が足りない)や高炭酸ガス(CO₂が溜まる)が起きやすくなります。CO₂が増えると脳血管が拡張しやすく、頭痛の一因と考えられています。


国際頭痛分類(ICHD-3)では「睡眠時無呼吸頭痛」を、起床時に出て4時間以内におさまりやすいタイプとして整理しており、睡眠時無呼吸の治療で改善することが記載されています。

 

こんな特徴があれば疑いが濃い

  • 大きないびき、睡眠中に息が止まる(指摘される)

  • 起床時の頭痛、日中の強い眠気、集中力低下

  • 口の渇き、熟睡感がない
    これらは睡眠時無呼吸の典型的な症状として知られています。

 

対応:自己判断せず、内科/睡眠外来で「睡眠検査(簡易検査〜精密検査)」の相談を。

 

原因② 起立性調節障害(OD):朝が弱い・頭痛・倦怠感(特に若年に多い)

 

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は、立ち上がったときの循環調節がうまくいかず、脳や全身への血流が低下して、立ちくらみ・頭痛・倦怠感などが出る状態です。
小児のガイドラインでは、起床・起立に関連する症状を確認し、午前中に起立試験(新起立試験)を行って血圧回復や心拍を評価し、診断基準に沿って診断する流れが示されています。

 

ODっぽいサイン

  • 午前中がつらいが、午後〜夕方に回復しやすい

  • 立ちくらみ、めまい、動悸、朝起きられない
    (※大人でも続くことがあります)

 

対応:水分・生活リズム・運動などの非薬物療法が基本になり、必要に応じて薬物療法や環境調整も検討されます。
※ただし、貧血・甲状腺・感染症など他の原因でも似た症状が出るため、まずは医療機関で評価が安心です。

 

原因③ 高血圧(早朝高血圧/モーニングサージ)

 

起床前後は交感神経が高まりやすく、血圧が上がりやすい時間帯です。朝の血圧上昇(モーニングサージ)が大きいほど脳卒中リスクと関連する報告もあります。


一方で、高血圧は多くの場合「症状がない(サイレントキラー)」ため、頭痛だけで高血圧と決めつけるのは危険です。

 

重要:頭痛+血圧が非常に高いときは“救急レベル”のことがある

 

血圧が 180/120mmHg 以上で、胸痛・息切れ・麻痺・ろれつ不良・視覚異常などを伴う場合は、高血圧緊急症として救急対応が必要です。
(頭痛も症状になり得ますが、通常の高血圧では症状が出ないことが多い点がポイントです。)

 

対応:朝の家庭血圧(2〜3回測って平均)で傾向を把握し、内科で相談が安全です。

 

原因④ まれだが要注意:脳腫瘍など「頭の中の病気」

 

脳腫瘍による頭痛は、朝に強い(起床時に悪い)/咳やいきみで悪化することがあり、睡眠中に頭痛で目が覚める人もいます。


さらに、吐き気・嘔吐、けいれん、手足のしびれや麻痺、視力障害などの神経症状があれば、早急な受診が必要です。

 

原因⑤ 睡眠習慣×一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛)

 

片頭痛:寝不足でも寝過ぎでも誘発されることがある

 

片頭痛は睡眠と強く関係し、睡眠不足・睡眠過多のどちらでも誘因になり得ます。
ズキズキ、吐き気、光や音がつらい、動くと悪化…が典型です。

 

緊張型頭痛:首・肩のこり、枕や寝姿勢の影響

 

締め付けられるような痛み、首肩こりが強いタイプは緊張型頭痛が疑われます。寝具・姿勢・日中のストレスの影響が重なることもあります。

 

原因⑥ 歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム):朝の頭痛+あごの痛み

 

歯ぎしり(ブラキシズム)は、朝の頭痛や顔面痛、あごのだるさにつながります。
「歯のすり減り」「起床時に顎が重い」「家族に歯ぎしりを言われた」なら、歯科や口腔外科の相談も選択肢です。

 

原因⑦ 副鼻腔炎(蓄膿症)など:顔面痛・鼻症状を伴う

 

副鼻腔炎では鼻づまりや膿性鼻汁に加え、顔面の痛み・圧迫感、頭痛が出ることがあります。
ただし「副鼻腔頭痛」と思っていても、実は片頭痛だったというケースもあるため、鼻症状が乏しい場合は自己判断しすぎないのが大切です。

 

原因⑧ アルコール・カフェイン:睡眠の質低下や離脱で朝つらい

 

  • 寝酒:寝つきは良くなっても、その後は睡眠が浅くなり、夜間覚醒が増えやすいとされています。

  • アルコールは睡眠時無呼吸を悪化させ得るため、いびきや無呼吸が疑われる人ほど注意が必要です。

 

原因⑨ 低血糖:冷や汗・ふるえ・動悸+頭痛やだるさ

 

血糖が下がりすぎると、頭痛、冷や汗、ふるえ、動悸、疲労感、めまいなどが出ます。糖尿病治療中の方は特に注意が必要です。

 

見逃すと危険:一酸化炭素(CO)中毒(“朝の頭痛”の緊急原因)

 

換気不良や機器トラブルで起こる一酸化炭素中毒は、頭痛・だるさ・めまい・吐き気など、風邪に似た症状が出ます。
「家の中にいると悪化し、外に出ると軽くなる」「同居家族も似た症状」「暖房器具使用中」なら要注意です。疑うときはまず新鮮な空気の場所へ移動し、救急要請や緊急受診を検討してください。

 

すぐ受診(救急)すべき危険サイン

 

次のいずれかがあれば、夜間・早朝でも救急受診の対象になり得ます(頭痛の“赤旗”)。

  • 突然の激しい頭痛(今までで最悪)

  • 片側の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、けいれん、意識がぼんやり

  • 発熱+首のこわばり、繰り返す嘔吐

  • 頭を打った後の頭痛

  • 血圧180/120以上+胸痛・息切れ・神経症状

  • CO中毒が疑わしい状況(家族も体調不良、換気不良など)

 

受診の目安(どこに行く?)

  • いびき・日中の眠気・起床時頭痛:内科/睡眠外来(SAS評価)

  • 朝起きられない・立ちくらみ・午後に改善:内科/小児科(ODや貧血など)

  • 血圧が高い・朝の血圧が気になる:内科(家庭血圧の相談)

  • 神経症状を伴う/頭痛が進行:脳神経内科・脳神経外科

  • 鼻症状+顔面痛:耳鼻科

  • 顎の痛み・歯ぎしり:歯科/口腔外科

 

受診前にメモしておくと診断が速くなるポイント

  • 頭痛は「いつ」「どこが」「どんな痛み」「何時間」「吐き気・光過敏は?」

  • 睡眠:就寝/起床時刻、途中で起きる回数、いびき、家族の指摘

  • 血圧(可能なら朝と夜の家庭血圧)PMC

  • 飲酒・カフェイン量、鎮痛薬の使用頻度

  • 鼻症状、顎の痛み、めまい・動悸の有無

 

まとめ

起床時の頭痛・だるさは、睡眠時無呼吸(SAS)・起立性調節障害(OD)・血圧の問題・一次性頭痛(片頭痛/緊張型)・歯ぎしり・副鼻腔炎・低血糖など幅広い原因があり、まれに脳疾患や一酸化炭素中毒といった緊急疾患が隠れます。


「いつもの頭痛と違う」「神経症状がある」「悪化している」なら、早めの受診が安全です。

 

執筆・監修:きだ内科クリニック 院長 木田 雅文
(医学博士/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 専門医)

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