食欲の秋に注意!胃もたれ・胸やけの原因と正しい対処法【医師解説】
【医師解説】食欲の秋に注意!胃もたれ・胸やけの原因と正しい対処法
「食欲の秋」は旬の食材が豊富で食事が楽しい季節ですが、つい食べ過ぎてしまい、胃もたれや胸やけといった胃腸トラブルを招きやすくなります。この記事では、食欲の秋に食欲が増す理由、胃もたれ・胸やけの正体、そして予防・対処法について医師が詳しく解説します。
食欲の秋と胃腸トラブル:なぜ起こるのか?
秋に食欲が増える科学的根拠
秋になると食欲が増すのは、単なる「季節の気分」ではなく、体の仕組みによるものです。
-
セロトニン分泌の低下
日照時間が短くなると「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが減少し、満腹中枢の働きが弱まります。その結果、食欲が高まり、肉やチーズなどセロトニンの材料となるトリプトファンを多く求めるようになります。 -
基礎代謝の上昇
気温が下がると体は体温維持のためにエネルギーを多く消費し、基礎代謝が上昇します。エネルギー消費が増えることで、食事から補おうと食欲が増進します。
胃もたれ・胸やけの正体と原因
胃もたれ(消化不良)
胃もたれは、胃の働きが低下し胃が重苦しく食べ物が残っている感覚が続く状態です。
主な原因
-
食べ過ぎ・飲み過ぎ
-
脂っこい料理(ラーメン・揚げ物・肉の脂身など)
-
アルコールの過剰摂取
-
ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れ
-
加齢による消化機能の低下
特に脂質は消化に時間がかかり、十二指腸で胃の動きを抑えるホルモンが分泌されるため、食べ物が胃に長く停滞して胃もたれを引き起こします。
胸やけ
胸やけは、みぞおち付近が焼けるように熱く感じる症状で、酸っぱい液体がこみ上げる「呑酸」を伴うこともあります。
主な原因
-
胃酸の逆流(逆流性食道炎)
-
食べ過ぎ・飲み過ぎ
-
高脂肪食、カフェイン、香辛料、炭酸飲料などの刺激物
-
食後すぐ横になる習慣
-
肥満による腹圧の上昇
食道には胃のような粘膜保護機能がないため、逆流した胃酸が粘膜を刺激し、胸やけが起こります。
胃腸を守る生活習慣と対処法
胃腸にやさしい食べ方
-
消化の良い食材を選ぶ:おかゆ、うどん、豆腐、白身魚、やわらかい加熱野菜
-
避けるべき食品:揚げ物、脂身の多い肉、刺激物(コーヒー・香辛料)、炭酸飲料
-
調理法の工夫:蒸す・煮る・茹でるなど油を控える
-
食べ方の工夫:小さく切る・よく噛む・ゆっくり食べる
食後の注意
-
食後すぐに横にならず、1〜2時間は体を起こして過ごす
-
姿勢は背筋を伸ばして、腹部を締め付けない服装にする
-
食後の運動は軽い散歩がおすすめ
薬の活用
-
胃の動きを助ける漢方薬(六君子湯など)
-
消化酵素製剤(キャベジン、太田胃散)
-
胃酸を抑えるH2ブロッカー(ガスター10など)
受診を検討すべきサイン
-
胃もたれ・胸やけが長引く
-
体重減少や嚥下障害、貧血を伴う
-
内服しても改善しない
この場合、胃カメラ検査で胃炎・胃潰瘍・胃がん・食道がんの可能性を確認することが重要です。
