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【医師監修】マダニ媒介感染症(SFTS・日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介脳炎)|症状・予防・最新治療を総まとめ【春〜秋は要注意】

[2025.09.20]

【医師監修】マダニ媒介感染症(SFTS・日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介脳炎)|症状・予防・最新治療を総まとめ【春〜秋は要注意】

 

 

マダニ媒介感染症は、野外活動・農作業・レジャー時に病原体をもつマダニに咬まれて感染する重篤な疾患群です。日本でも患者報告は年々増加し、2025年は暫定値で過去最多を更新しました。特に春〜秋は活動期のため、予防と早期対応が極めて重要です。(朝日新聞)

 

深刻化する脅威と最新動向(SFTS/日本紅斑熱/ライム病/TBE)

 

  • SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は国内致死率が約27%と高く、2024年には国内初のヒト-ヒト感染(医療従事者)が確認されました。2024年に抗ウイルス薬ファビピラビル世界で初めてSFTS適応で日本承認となり、治療選択肢が前進しています。(PMC)

  • **ダニ媒介脳炎(TBE)**は北海道などで散発的発生があり、**2024年9月に国内初のワクチン(Ticovac)**が発売されました。(PHARMA JAPAN)

  • 地域拡大の兆候:**岐阜県で初のSFTS患者報告(2025年7月)**など、従来の西日本中心からの広がりも注視が必要です。(beaconbio.org)

 

日本で警戒すべき主なマダニ媒介感染症

 

疾患名 病原体 媒介動物 潜伏期間 主な症状 予後/特徴 治療
SFTS SFTSウイルス フタトゲチマダニ、キチマダニ 等 6–14日 発熱、消化器症状(嘔吐・下痢)、血小板/白血球減少 国内致死率 約27% 対症療法+抗ウイルス薬(ファビピラビル)※2024年に日本で適応承認 (PMC)
日本紅斑熱 日本紅斑熱リケッチア キチマダニ、フタトゲチマダニ 2–8日 発熱、頭痛、発疹(四肢末端に多い)、肝機能障害 治療遅延で重症化・死亡例 テトラサイクリン系
つつが虫病 ツツガムシ病リケッチア ツツガムシ幼虫 5–14日 高熱、倦怠感、発疹(体幹)、刺し口 テトラサイクリン系
ダニ媒介脳炎(TBE) TBEウイルス ヤマトマダニ、シュルツェマダニ 等 7–14日(極東亜型) 発熱・嘔気→脳炎症状 極東亜型は致死率20%超、後遺症も 特異的治療なし(対症療法)/国内でワクチン入手可(Ticovac) (PHARMA JAPAN)
ライム病 Borrelia burgdorferi など シュルツェマダニ 等 数日–数週間 遊走性紅斑、神経症状・関節炎 治療後症状が残ることも ドキシサイクリン/セフトリアキソン等

補足:SFTSはマダニ経由が主体ですが、患者の血液・体液発症した犬・猫の咬傷や体液からの感染事例も報告されています(ヒト-ヒト、動物→ヒト)。医療・介護・家族看護時はPPE徹底が必須です。(朝日新聞)

 

SFTSの「最新治療」と感染経路のポイント

 

  • 抗ウイルス薬の承認ファビピラビル2024年SFTS適応で国内承認(世界初)。重症化が見込まれる症例で使用が検討されます。(Nature)

  • ヒト-ヒト感染の国内確認2024年3月患者の死後処置等で血液曝露した若手医師の感染が公式発表され、その後**詳細な症例報告(2025年)**が公表されました。(朝日新聞)

 

マダニ・ツツガムシから身を守る「具体策」

 

野外活動時の服装・行動

  1. 肌の露出を最小化:長袖・長ズボン・足を覆う靴。シャツ裾はズボン内、ズボン裾は靴下 or 長靴の中。首はタオル/ハイネックで保護。(厚生労働省)

  2. 忌避剤を併用DEETまたはイカリジン配合で**「マダニ忌避」**表記のある製品を、表示通りに使用。(厚生労働省)

  3. 明るい色の服:付着ダニを視認しやすい。地面に直接座らず敷物を活用。(厚生労働省)

帰宅後のチェックと対処

  • 全身確認:入浴・シャワーで腋・鼠径・膝裏・胸の下・頭髪内を重点チェック。上着や作業着は屋内に持ち込まない。(厚生労働省)

  • 刺咬に気づいたら無理に引き抜かない(逆流で病原体侵入・口器遺残の恐れ)。皮膚科など医療機関で除去を。(niid.jihs.go.jp)

  • 経過観察数週間は発熱・頭痛・消化器症状に注意。症状が出たら**「マダニに咬まれた」**旨を受診時に必ず伝える。(受診目安づくりに重要)

動物からの感染予防

  • ペット対策:外に出る犬猫は定期的なマダニ予防薬を。猫は室内飼育推奨。

  • 接し方:触れた後は手洗い口移しなど過度な接触は避ける

  • 発症動物:熱など異常があれば手袋・マスク着用で咬傷/体液曝露を避け、速やかに獣医受診。※SFTSの動物→ヒト事例も報告あり。(PMC)

 

よくある質問(FAQ)

 

Q. 日本で初めて報告されたSFTSのヒト-ヒト感染は、医療従事者でしたか?
A. はい。患者の血液曝露後に若手医師が感染した事例が2024年3月に公表され、2025年に症例論文が掲載されています。(朝日新聞)

Q. TBE(ダニ媒介脳炎)のワクチンは日本で受けられますか?
A. 受けられます。****2024年9月Ticovacが国内発売。リスク地域在住・渡航や屋外活動が多い方に選択肢となります。詳細は医療機関でご相談ください。(PHARMA JAPAN)

 

受診の目安(当院の考え方)

 

  • 発熱+ダニ刺咬歴(数週間以内)

  • 発疹+倦怠感/消化器症状

  • 犬・猫の咬傷や体液曝露後の発熱
    いずれも早期受診を。必要に応じて血液検査・画像検査・感染症専門医と連携します。

院内向け(医療者)メモ:SFTS疑い患者の診療・処置・遺体ケアでは標準予防策+接触・飛沫対策状況により眼防護を徹底(採血・CV抜去・吸引等は特に注意)。(朝日新聞)

 

参考・根拠(主要ソース)

  • SFTSの致死率・疫学:国内CFR約27%(論文/NIID)。(PMC)

  • SFTSのヒト-ヒト感染(日本初):2024年3月公表(報道/NIID発表)、2025年症例報告。(朝日新聞)

  • ファビピラビルのSFTS適応承認(2024年):解説論文・大学発表・業界紙。(Nature)

  • TBEワクチン(Ticovac)国内発売(2024年9月):業界紙。(PHARMA JAPAN)

  • 予防(服装・忌避剤・帰宅後チェック):厚労省/NIID等。(厚生労働省)

  • 地域動向:岐阜県で初のSFTS患者報告(2025年7月)。(beaconbio.org)

 

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