【米沢市 きだ内科クリニック】熱中症の知識｜症状・予防・応急処置・治療まで詳しく解説

 

 

はじめに

 

近年、夏季の気温上昇に伴い、熱中症を発症する方が増加しています。
熱中症は、正しい知識と対策によって予防できる病気です。

米沢市にお住まいの皆さまが安心して夏を過ごせるよう、きだ内科クリニックでは、熱中症に関する情報を提供いたします。

 

熱中症とは？

 

熱中症は、高温多湿な環境下で体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもることで発症する病気です。

以前は「日射病」「熱射病」などの用語も使われていましたが、これらは熱中症の重症度分類の一部として現在も使用されることがあります。

 

熱中症のメカニズム

 

私たちの体は、

• 皮膚からの放熱

• 汗の蒸発（気化熱）

によって体温を調整しています。

しかし、気温が体温以上になった場合や湿度が高い場合には、汗が蒸発しにくくなり、体温が上昇しやすくなります。
特に、湿度の高さが熱中症リスクに大きく関わっています。

 

熱中症を引き起こす要因

 

【環境要因】

• 高温・高湿な環境（湿度が高いだけでもリスク増）

• 風通しの悪い場所、強い日差し、地面からの照り返し

• 急に暑くなった日や、梅雨明け直後など体が暑さに慣れていない時期

• 室内でも、室温・湿度が高い場合に発生（特に住宅での発症が多い）

【体の状態】

• 高齢者、乳幼児（体温調節機能が低下している）

• 体調不良（疲労、寝不足、風邪気味）

• 脱水、低栄養状態、肥満

• 持病（糖尿病、心疾患、腎疾患など）

• 運動に慣れていない場合

• 二日酔いや下痢による脱水

【行動要因】

• 激しい運動や長時間の屋外作業

• 十分な水分補給ができていない

 

熱中症の症状と重症度

 

熱中症は、症状の重さにより**Ⅰ度（軽症）～Ⅲ度（重症）**に分類されます。

Ⅰ度（軽症）

• 立ちくらみ

• 筋肉痛・こむら返り

• 大量の発汗

Ⅱ度（中等症）

• 頭痛

• 吐き気、嘔吐

• 倦怠感、虚脱感（ぐったりする）

Ⅲ度（重症）

• 意識障害（呼びかけに反応しないなど）

• けいれん、手足の運動障害

• 高体温（体に触れると非常に熱い）

 

初期症状に注意！

• めまい・立ちくらみ

• 全身のだるさ

• 呼吸が速くなる

• 脈が速く弱くなる

• 唇のしびれ

• 頭痛

これらの症状が出たら、すぐに涼しい場所で休み、水分と塩分を補給しましょう。

 

熱中症警戒アラートとは？｜暑さ指数（WBGT）と注意すべきポイントを解説

 

暑さ指数（WBGT）とは？

 

熱中症リスクを把握するために重要な指標が、**暑さ指数（WBGT：Wet Bulb Globe Temperature）**です。

暑さ指数は、以下の3つの要素から計算されます。

• 湿度

• 日射や輻射熱（ふくしゃねつ）

• 気温

単位は摂氏度（℃）ですが、通常、気温と区別するため単位は省略して表記されます。

特に、暑さ指数が28を超えると熱中症リスクが急上昇するとされており、日常生活でも十分な注意が必要になります。

 

暑さ指数別：熱中症リスクと行動指針

 

熱中症警戒アラートとは？

 

熱中症警戒アラートは、熱中症による健康被害を防ぐために発表される注意喚起情報です。

【発表基準】

• 府県内のいずれかの地点で、翌日または当日の暑さ指数（WBGT）が33以上と予想される場合

【アラート発表時の推奨行動】

• 外出を控え、涼しい環境で過ごす

• 室内でもエアコンを適切に使用し、室温・湿度管理を行う

• こまめな水分補給と塩分補給を心がける

• 高齢者や小児、持病のある方は特に注意

• 周囲にも声をかけ、熱中症リスクの高い方を支援する

 

熱中症特別警戒アラートとは？

 

さらに危険度が高い状況で発表されるのが、熱中症特別警戒アラートです。

【発表基準】

• 都道府県内すべての地点で、翌日の暑さ指数（WBGT）が35以上と予想される場合

【特別警戒アラート発表時の対応】

• 不要不急の外出を避ける

• クーリングシェルター（暑熱避難施設）など涼しい場所を利用する

• 国や自治体、事業所などによる共助・公助体制が強化されるため、地域の支援策も活用する

特別警戒アラート発表時は、熱中症による重大な健康被害のリスクが非常に高まっていると考え、最大限の警戒が必要です。

 

熱中症は「気づき」と「行動」が命を守るカギ

 

熱中症は、暑さ指数や警戒アラートを参考にしながら早めに対策をとることで、重症化を防ぐことができます。

• 暑い日には、気温だけでなく**湿度や暑さ指数（WBGT）**を意識しましょう。

• 警戒アラートが発表された場合は、無理な外出や活動を避け、涼しい場所で安全に過ごすことが大切です。

 

熱中症の応急処置

 

1. 涼しい場所へ移動する

2. 衣類を緩め、皮膚を冷却する（氷嚢・保冷剤を首、脇の下、足の付け根に）

3. 水分と塩分を補給する（経口補水液・スポーツドリンクなど）

4. 以下の場合はすぐに医療機関へ

   →米沢市立病院ないし置賜総合病院を緊急受診してください。

   • 意識がない

   • 自力で水分摂取ができない

   • 応急処置でも改善しない

   • 高体温、激しい頭痛や嘔吐が続く

 

医療機関での治療

• 冷却療法（氷枕、冷水による冷却など）

• 点滴による水分・電解質補給

• 重症例では入院し、集中治療が行われます

 

熱中症の予防法

 

【暑さを避ける】

• 日傘・帽子を着用、日陰を利用

• エアコンや扇風機を活用し、室温28℃以下を目指す

• 外出は涼しい時間帯に

• 熱中症警戒アラートや暑さ指数（WBGT）をチェック

• クーリングシェルター（暑熱避難施設）の活用も検討

【服装を工夫する】

• 通気性・吸湿性・速乾性の高い素材を選ぶ

• ゆったりとした服装で熱のこもりを防ぐ

【こまめな水分・塩分補給】

• のどが渇く前から定期的に水分補給

• カフェイン・アルコール飲料は控えめに

• 発汗時は塩分も同時に補給する

【暑さに備えた体づくり】

• 軽い運動で暑熱順化

• バランスの取れた食事と十分な睡眠を

【冷却グッズの活用】

• 冷却シート、スカーフ、氷枕などを活用

• 首元など大きな血管を冷やすと効果的

【休憩をこまめに取る】

【周囲への声かけ】

• 高齢者、乳幼児、障害のある方などには特に気を配る

 

マスク着用下では熱中症リスクが高まります。

• 屋外で人との距離が確保できる場合は、マスクを外すことも検討しましょう。

• こまめな水分補給を心がけ、無理な運動は控えましょう。

 

おわりに

熱中症は、正しい予防と早期対応で重症化を防ぐことができる病気です。
ご自身やご家族の体調に常に気を配り、無理をせず夏を乗り切りましょう。

 

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