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ピロリ菌未感染の胃がん検診は何年ごと?最新研究が示す最適間隔と見逃さない内視鏡戦略【きだ内科クリニック】

[2025.11.22]

ピロリ菌未感染(陰性)の方へ|最適な胃がん検診の間隔と検査戦略

 

 

ポイント要約

  • ピロリ菌(Helicobacter pylori)未感染の方は、胃がんリスクが非常に低い一方、ゼロではありません

  • 未感染者の胃がんは全体の約1%前後と推定され、小さく平坦で見つかりにくいタイプが多いのが特徴です。

  • 検診はリスク層別化(血液検査など)と質の高い内視鏡観察を組み合わせる戦略が最適です。

 

1. ピロリ菌未感染のリスクと背景

 

胃がんの大部分はピロリ菌感染に関連します。未感染の方は総じて低リスク群ですが、未感染でも発生する「ピロリ陰性胃がん」が存在します(全胃がんの約0.4~5.4%、概ね約1%)。
このタイプは粘膜の色調差が乏しく、平坦で小さい病変が多いため、丁寧な観察が重要です。

 

2. 検診間隔の目安(未感染・特段の自覚症状なし)

 

従来の対策型検診(50歳以上・2年ごと)は感染者・除菌後を含む集団設計です。未感染者では間隔を延長しても効率的とする検討が進んでいます。

  • 推奨の一例45歳から5年ごとに胃内視鏡(数学モデルによる検討で効率的と示唆)。

  • 専門家の実務感覚でも「3~5年に1度」が概ね妥当とされます。

  • もちろん、症状がある場合は時期を問わず受診・検査をご相談ください。

※検診間隔は年齢・家族歴・生活習慣・併存症などで調整します。個別に医師へご相談ください。

 

3. リスク層別化(ABC検診)と「真の未感染」の確認

 

  • ABC検診(ピロリ抗体・ペプシノゲン):抗体陰性・PG陰性のA群低リスクと判定。
    原則、積極的な内視鏡は勧奨されませんが、症状があるこれまで一度も画像検査歴がない場合は医師へご相談を。

  • 抗体価が低くても偽陰性が混在することがあります。必要に応じて
    尿素呼気試験・便中抗原などを追加し、内視鏡所見も併せて**「真の未感染」**かを慎重に評価します。

 

4. 胃カメラが重要な理由と観察の工夫

 

ピロリ陰性胃がんは見つけにくいため、検査は**胃内視鏡(胃カメラ)**が基本です。

  • 特徴:小型・平坦・色調差が乏しい病変が多く、丁寧な観察が不可欠。

  • 観察技術NBI(狭帯域光)や拡大観察(IEE)などの高度観察を併用すると拾い上げの精度向上が期待できます。

  • 感染状態の読影:内視鏡画像から現感染・既感染・未感染の所見を総合的に評価します。

当院では、必要に応じて適切な検査方法やタイミングをご提案し、精密検査が必要な場合は連携医療機関とも協力して診療いたします。

 

5. 特殊なハイリスク群:間隔を短くするケース

 

  • 家族歴(第一親等内):胃がん家族歴が濃厚な場合は、定期的な内視鏡を推奨。
    遺伝性腫瘍症候群(例:リンチ症候群)では、30歳頃から1~2年ごとの内視鏡が目安です。

  • 若年者のスキルス対策:若年者では萎縮を伴わない胃がん(未分化型)が主体。予防は**早期のピロリ検査・除菌(Test & Treat)**が基本で、ルーチン内視鏡は省略されることがあります。

  • 生活習慣・合併症喫煙・多量飲酒・高塩分GERD(逆流症状)自己免疫性胃炎などがある場合は、医師と検査間隔を短縮するかを個別に検討します。

 

6. 受診の目安(当院の基本方針)

 

  • 45歳以上・未感染・症状なし3~5年に1度の胃カメラを検討

  • 症状あり(胃痛・つかえ・吐き気・体重減少など)時期を問わず早めに受診

  • 家族歴・遺伝性、生活習慣リスクあり2~3年など、より短い間隔を個別提案

 

まとめ

  • ピロリ未感染の方は低リスクですが、見逃されやすいタイプの胃がんが存在します。

  • リスク層別化+質の高い内視鏡観察を柱に、45歳以降は3~5年を目安に検診をご検討ください(個別調整あり)。

  • 症状がある、家族歴や生活習慣リスクが高い場合は、間隔を短縮して対応します。

胃カメラの時期や検査内容はお一人おひとりで異なります。最適な検診計画を医師と一緒に考えましょう。
ご相談・ご予約:きだ内科クリニック|https://kida-clinic.jp/

 

参考(院内向け要約テーブル)

項目 未感染・特段のリスクなし 補足
推奨間隔 45歳から5年ごと(実務上は3~5年で調整) 数学モデルで効率性が示唆
検査戦略 **胃内視鏡(胃カメラ)**中心 陰性胃がんは内視鏡での丁寧な拾い上げが必須
観察技術 **NBI/拡大観察(IEE)**の併用 小型・平坦・色調差乏しい病変に有用
リスク層別化 ABC検診は参考。A群でも偽陰性に注意 追加検査・内視鏡所見で「真の未感染」を確認

 

※本記事は一般的な目安です。診断・治療は医師の診察に基づき個別に判断します。

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