左側腹部痛の意外すぎる原因|見落としがちな危険疾患と腹部外からの関連痛を専門医が徹底解説【きだ内科クリニック】
【専門医が解説】左側腹部痛の“意外すぎる原因”ランキング|見逃されやすい危険な病気とは?
左側腹部(左脇腹・左下腹部)の痛みは、一般的に「腸の不調」「便秘」などと思われがちですが、実際には 腹腔外の病気、緊急度が高い疾患、稀な解剖学的異常 など、意外な原因が潜んでいることがあります。
本記事では、最新の医学データと臨床経験に基づき、
“検査で異常なし”でも注意すべき原因
“命に関わることがある”危険な腹痛
“腹部以外が原因”の意外な疾患
をわかりやすく解説します。
🥇【第1位:検査で異常なしと言われる「非特異的腹痛」】
急性腹痛全体の調査では、最も多い診断名が 「非特異的腹痛」 です。
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検査しても原因が特定できない
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多くは自然軽快(2〜3日)
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しかし長引く場合は“隠れた重症疾患”が潜む
左側腹部痛でも同様で、「異常なし=安心」ではありません。
🥈【第2位:腹腔外に原因がある“意外な腹痛”】
腹痛の原因は必ずしも腹部とは限りません。
左側腹部痛を引き起こす「腹腔外の病気」は意外と多いです。
● 神経・筋骨格系(チクチク・ピリピリ系の痛み)
・帯状疱疹(ヘルペス)
皮膚症状が出る前に 左腹部に鋭い神経痛 が先行することが多く、見逃されやすい代表。
・前皮神経絞扼症候群(ACNES)
急性腹痛患者の約2%がこの疾患と報告。
画像・血液は異常なしでも 腹壁神経の絞扼が原因 で強い痛みが出現。
・脊椎疾患(胸椎・腰椎の神経根症)
ヘルニアや圧迫骨折が、腹痛として現れることがあります。
腰痛なしで側腹部痛のみのケースも。
● 胸腔内・心臓疾患(関連痛)
腹部以外からの“関連痛”として左腹部に出ることがあります。
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左肺炎、左気胸、左膿胸 → 左上腹部痛
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急性冠症候群(心筋梗塞など) → みぞおち〜左上腹部の違和感
特に高齢者は典型症状が出にくいため危険。
🥉【第3位:命に関わる“危険な左側腹部痛”】
以下は緊急受診が必要な重篤疾患です。
● 脾臓の疾患(脾梗塞・脾破裂・脾動脈瘤破裂)
突然の激しい左上腹部痛。
脾破裂・動脈瘤破裂は 致死的な腹腔内出血 を起こします。
● 大動脈の病気(腹部大動脈瘤破裂・大動脈解離)
左下腹部痛が 30%、左側腹部痛が 2% と報告され、
場所で除外できない“最も危険な腹痛”。
● 左側に起きる“虫垂炎”(非常に稀)
腸回転異常・内臓逆位などの解剖学的異常があると
右下腹部ではなく 左下腹部痛 として虫垂炎が発症します。
🩺【女性が注意すべき左下腹部痛】
女性では婦人科疾患が見逃されやすく、突然の激痛=緊急対応が必要なことも。
● 異所性妊娠(子宮外妊娠)
激しい下腹部痛+不正出血。
卵管破裂を起こすと 出血性ショックに至る危険な疾患。
● 卵巣茎捻転
卵巣嚢腫がねじれることで発症。
突然の強い痛み・嘔吐を伴い、緊急手術が必要。
🩶【見逃されがちな慢性の左側腹部痛】
● 腸の癒着
手術歴がある人は要注意。
画像で異常なしでも 癒着による牽引痛 が続くことがあります。
● 尿路結石
“じっとしていられない激痛”が特徴。
消化器痛とは痛み方が違うため「意外」と感じられる原因。
🔚【まとめ:左側腹部痛は“意外な病気”のサイン】
左側腹部痛は、
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消化器
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泌尿器
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婦人科
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心臓
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神経
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筋骨格
など多岐にわたる臓器から発生します。
痛みが強い、繰り返す、長引く場合は放置せず受診が必須。
とくに、突然の激痛・出血・発熱・冷や汗・嘔吐を伴う場合は救急受診が必要です。
